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猫舌男爵
著者 皆川 博子
棘のある舌で少女を舐め苛む怪異な男爵の物語……? 日本の稀覯本『猫舌男爵』の翻訳に取り組む外国人翻訳家ヤン。だが、言葉と文化のギャップは誤解と憶測を呼び、ヤンと本の関係者たちを思いがけない運命へ導く。爆笑必死の表題作他、死期が近づくと水槽に入る奇妙な世界の死生観と孤独を描く「水葬楽」、女性画家の生涯を死亡時点から遡ることで驚愕の真実が明かされる「睡蓮」等、小説の無限の可能性を広げる奇談集。収録作:猫舌男爵/オムレツ少年の儀式/睡蓮/太陽馬
猫舌男爵
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猫舌男爵
2016/12/18 00:08
幸せを運ぶ本
3人中、3人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:szk - この投稿者のレビュー一覧を見る
荘厳な音楽が奏でられ、厳粛で神聖な雰囲気が漂う物語集。『睡蓮』はある女性画家の生涯が死から幼少時代へと逆流し語られている。概ね書簡や記録のやりとりだが、群衆が大多数の意見にいかに流れ易いかがよく分かる。彼女はあの男に抹消されたと言っても過言ではない。死んでからの評価なんて無だ。『太陽馬』は物々しい余韻が残る。私は幸運を信じる。さて『猫舌男爵』これは実に面白い。訳者ヤンくんは情熱的で破天荒。周りの人々もなんだかんだ自分勝手。まわりまわって幸せを運ぶ『猫舌男爵』だけれど、その内容を知る術はなし。気になるって!