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リーマン・ショック・コンフィデンシャル
著者 アンドリュー・ロス・ソーキン , 加賀山 卓朗
気鋭のジャーナリストが鋭く抉りだすリーマン・ショックのセンセーショナルな内幕。800‐CEO‐READビジネス書大賞受賞作。《フィナンシャル・タイムズ》紙の年間ベスト・ビジネスブックに選出。金融ノンフィクションの傑作
みずからの利益か、世界金融システム破綻の回避か? 迫り来る未曾有の危機に際して、リーマン・ブラザーズCEO、ポールソン財務長官、バーナンキFRB議長、ガイトナーNY連銀総裁、ウォーレン・バフェット、そして巨万の富を稼ぐウォール街のトップは、何を考え、何を語り、いかに行動したか?
リーマン・ショック・コンフィデンシャル下 倒れゆくウォール街の巨人
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リーマン・ショック・コンフィデンシャル 下 倒れゆくウォール街の巨人
2015/10/25 00:14
リーマンは倒れた、そしてAIGが焦点になる
1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:okadata - この投稿者のレビュー一覧を見る
2008年9月12日CNBCにテロップが流れた。「関係筋によると、リーマンの問題解決に公的救済はない模様」13日土曜日、ポールソンがウォール街の全CEOを招集し冒頭でポールソンはこう言った。「週があける前に、何らかの解決策を見いださねばならない。公的資金注入はその答えではない。あなた達だけで解決してもらう。」買い手の2社は支援なしでは資金は出さない。その片方のバンカメCEOのケン・スミスもここにおり、参加者は全て状況を知っている。もしリーマンが倒れたら次はメリルリンチ、そしてモルガン・スタンレー、ゴールドマン・サックス(GS)と破綻は連鎖する。この日のメンバーではないがAIGやGEも危ない。メリルもバンカメとの合併に意欲を見せておりもしバンカメがリーマンを助けたら今度はメリルが窮地に陥る番だ。7月にGS出身の財務次官ロバート・スティールがCEOに就任したワコビアも危ない。AIGの方は新たな損失が見つかり資金は600億ドル必要と見積もられた。
14日朝、イギリスのバークレイズはリーマンのバッドバンクに他の銀行が330億$融資すれば残りを買収することを表明していた。CEO達は拠出を決意しリーマンは救われるかに見えた。しかしイギリス政府はアメリカの金融危機を持ち込むのを嫌い許可しなかった。なぜアメリカ政府が何もしないのにイギリス政府がリスクをとる必要が有るのか・・・
ついにプランBがスタート、連銀は貸し出し枠を拡大する準備を始めたがそれをリーマンに利用させるとモラル・ハザードが拡がるためその日の内にリーマンに破産申請させる必要が有った。政府に破産を強制する権限はないのだが。もはや時間も策も残されていないリーマンの取締役会はこの日の夜遅く破産を決定し、15日にチャプター11を申請した。その裏では1株29$と言う金融業界市場最高のプレミアでのバンカメのメリル買収が決まった。
16日午後1時連銀の繋ぎ融資が受けられなければAIGは後数分でキャッシュ不足で破産するところまで追いつめられていた。AIGは世界的な金融システムの事実上の要であり、もし破綻すると世界中の金融機関のレバレッジを支えたCDSの保証が消えあらゆる銀行が資金調達の必要に迫られる。さらにAIGは世界中で8100万件の生命保険を発行しその総額は1.9兆$を越える。AIGの破綻は大恐慌を再来させかねない、まさしくTOO BIG TO FAILだ。連銀はAIGにLIBOR+8.5%と言う高金利で850億$を貸し付けたがその後のAIGのモラル・ハザードはオバマ大統領のボーナス奪還宣言によく知られている。
ポールソンは9月19日に不良資産救済プログラム(TARP)を発表し、10月3日下院の再審議でようやく可決された。とにかく各銀行に先ず資金援助を受け入れてもらう、そうしておかないとTARPを利用する銀行は危ないと狙われるためだ。TARPの準備金は7000億$(70兆円)。2008年9月24日に成立した麻生内閣の景気対策が75兆円、09年度の当初一般会計予算が88.5兆円だ。
のちにポールソンはリーマンを救済しなかった理由を定期的に修正している。最初は警告のため、そして後にはその権限がなかったと。それでもバークレイズをつなぎ止める手は残っていたしモラル・ハザードがなくなったわけでもない。このように批判される部分はあるにせよよくこれだけの手を打ったものだ。ブッシュ大統領が全く金融システムを理解しておらず、ポールソン、ガイトナー、バーナンキ達に丸投げだったことは幸運だったのかもしれない。麻生政権の景気対策も使い道はともかく非常時の対策としてはもっと評価されるべきなのだろう。鳩山内閣のぐだぐだ進行が1年前に始まっていればと考えるとちょっと怖い。
リーマン・ショック・コンフィデンシャル 下 倒れゆくウォール街の巨人
2022/02/19 16:45
わかっていても止められない
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:いて座O型 - この投稿者のレビュー一覧を見る
「リーマン・ショック」の裏側で何が起こっていたかを、詳細にリポートした歴史に残るであろう名著。
名だたる大金融機関が、次々と危機に直面するものの、様々なしがらみや、政治的問題に翻弄され、立ち往生寸前に陥っていく状況は、まさに迫真の内容で、リーマン・ブラザースの倒産でその自体が極に達する。
最後のほうで東京三菱が重要な役どころで登場するのも面白い。
リーマン・ショック・コンフィデンシャル 上 追いつめられた金融エリートたち
2022/02/19 16:38
リーマン・ショックの裏側
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:いて座O型 - この投稿者のレビュー一覧を見る
いわゆる「リーマン・ショック」と言われる事件の裏側で、どういうことが起こっていたかを、実際にそこにいた人たちからの取材で詳細にリポートした、歴史に残るであろう名著。
リーマン・ブラザースの倒産そのものは、「リーマン・ショック」が極致に達したときに発生しているので、上巻では主にその前史を追うことになる。
渦中の人物の行動をメインに、一気に読み切ってしまえる躍動感のある内容と、読み進めやすい訳。