- みんなの評価
1件
世界が終わってしまったあとの世界で
著者 ニック・ハーカウェイ (著) , 黒原敏行 (訳)
最終戦争後の世界。幼いころから苦楽をともにしたぼくと親友ゴンゾーは、一種のトラブルシューターとして活動している。ある日、戦後世界の秩序を維持している装置〈ジョーグマンド・パイプ〉の大火災を消し止めるよう依頼されたぼくらは、大量破壊兵器によってもたらされた混沌のなかへと乗り込んでいくが、行く手には奇怪な陰謀が待ち受けていた――。大型新人による波瀾万丈の近未来青春アクション・サスペンス登場!
世界が終わってしまったあとの世界で(下)
ワンステップ購入とは ワンステップ購入とは
この著者・アーティストの他の商品
前へ戻る
- 対象はありません
次に進む
世界が終わってしまったあとの世界で 下
2016/03/06 07:14
果てしなき饒舌が語る崩壊後の世界
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:かしこん - この投稿者のレビュー一覧を見る
またしても分厚い本(上下巻)を読んでしまった。
これもいわゆる“ポスト・アポカリスプもの”ということになるのかな。
恐怖の大量破壊兵器<逝ってよし爆弾(ゴーン・アウェイ・ボム)>を使用した戦争<逝ってよし戦争(ゴーン・アウェイ・ウォー)>により文明が破滅した後の世界の物語。
第一章がその後の世界で起こる破滅的トラブルの知らせをメインキャラクターたちが受けるのが酒場ということで、なんとなく『ブラックライダー』を思い出す。
テイストは全然違うんだけどね。 かなりユーモア度が強いです。
(原題が“THE GONE-AWAY WORLD”ということは、<逝ってよし世界>?)
“ぼく”という語り手による一人称のこの物語は、第二章から<現在>に至るまでの過去を振り返って語り出す。 それもあふれんばかりの饒舌で。 そしてまったく物事を真剣に受け止めないかのような語り手故に、すべての出来事はどこか緊張感がなくのほほんとしていて、壮絶な世界を描いている割にどこかファンタジック(たとえに『指輪物語』を出してくるまで、てっきり異世界ものかと思っていたほどだ)。
無駄話が多いので読み飛ばしそうになるが、時折真実をついた“人生の格言”めいた一文がきらめいて見え、そして回想パートは実は青春小説として独立して読むことも可能。
日本人としては「ニンジャ」の使われ方はどーよ!、と是非ツッコミを入れたいが、世界のサブカルに取り込まれてしまったものはもう仕方がないのかなー、とあきらめるしかない様子。 なんだかかなしい。
しかしこの饒舌&ふざけっぷりも慣れてくるとそんなに苦痛ではなく、下巻は早かった。
あぁ、このSF的ワンアイディアを自然に物語に放り込むために必要な仕掛けだったのかな? いやいや、作者本人のきっと資質だ、と納得する(デビュー作だし)。
ちなみにこの著者、ニック・ハーカウェイはあのジョン・ル・カレの息子だそうである。
大学卒業後は映画界で仕事をしたいと思ったものの果たせず、本書を書きあげてエージェントに売ったのが35歳のときで、そのときすでに結婚している。 しかし解説読んでもそれまでなんらかの職についていた的な記述がなく・・・大金持ちであろうおとーさんに食べさせてもらっていたのかしら、という疑惑がついわいてしまうのは、私が苦労を知らないお坊ちゃまが苦手だからでしょうか。