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12件
マルドゥック・スクランブル
著者 冲方丁 (著)
なぜ私なの?
賭博師シェルの奸計により、少女娼婦バロットは爆炎にのまれた。
瀕死の彼女を救ったのは、委任事件担当官にして万能兵器のネズミ、ウフコックだった。
法的に禁止された科学技術の使用が許可されるスクランブル―09。
この緊急法令で蘇ったバロットはシェルの犯罪を追うが、そこに敵の担当官ボイルドが立ち塞がる。
それはかつてウフコックを濫用し、殺戮の限りを尽くした男だった。
代表作の完全改稿版、始動!
マルドゥック・スクランブル The 3rd Exhaust─排気 〔完全版〕
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マルドゥック・スクランブル The 1st Compression−圧縮 完全版
2010/12/17 23:01
再生の物語、新生す
4人中、4人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:峰形 五介 - この投稿者のレビュー一覧を見る
『マルドゥック・スクランブル』を未読の方には旧版の書評やyjisanさんの書評を参考していただくとして、ここでは「旧版を読んでるから、完全版はべつに読まなくてもいいかなー? いや、やっぱり読んだほうがいいかなー?」と迷っている人のために、完全版での変更点について報告をば。
最初に断っておくと、物語の骨格やテーマが変わったわけではない。新しいキャラクターが登場するわけでもなければ、重要なシーンが追加されているわけでもなく(バンダースナッチの面々の過去が語られる程度)、旧版とは別の結末が待っているわけでもない。
にもかかわらず、完全版は旧版とは別物になっている。作者曰く「文章上、必要と思われる修正をできる限り行った」(後書きより)とのことだが、その「必要と思われる修正」の量が尋常ではないのだ。登場人物の心情がより細かく描写されているし、舞台であるマルドゥック市の設定がより深くなっているし、章立てが変わっているし、前日譚『マルドゥック・ヴェロシティ』との間に生じた矛盾が修正されているし、ボイルドを描写する際に(おそらく意図的に)多用されていた「うっそりと」という言葉が大幅に削られているし、最後の戦いのシーンでは「爆心地(グラウンドゼロ)たるべき一点を目指して」なんて文章(『マルドゥック・ヴェロシティ』を読んだ人なら、その意味が判るはず)が出てくるし……と、いちいち挙げていたら切りがないほど。おそらく、手を加えられていないシーンのほうが少ないだろう。いや、少ないどころか、皆無かもしれない。
その数え切れない改訂箇所の中で特に印象に残ったのは二つ。
一つめは一巻第一章の終盤。旧版ではバロットの心情がウフコックの台詞で表されていたが、完全版では当人が直接的な行動に出る。もちろん、それは未遂に終わる。旧版と同様、ウフコックの「最初の優しさ」によって。
二つめは三巻第三章でのカーチェイス。銃弾を撃ち尽くしたボイルドが思わず叫ぶ(これも『マルドゥック・ヴェロシティ』を読んだ人なら、どんな叫びか判るはず)。それをボイルドの視点で描くことなく、バロットが叫びを聞くという形にしているところがニクい。
あ、もう一つあった。「ペーパーバックの西部劇」(旧版三巻P166)が「ネットムービーの西部劇」(完全版三巻P107)に変わっているところ。近未来が舞台だから、ペーパーバックなんてものは時代遅れになっているようで……いまだに電子書籍になじめない私としてはちょっと物悲しさを覚えてしまった。
まあ、そんなどーでもいい話はさておき。
結論として、旧版を読んでいる人にも完全版はお勧めできる。なにか新しいものを求めているのなら拍子抜けするかもしれないが、少なくとも旧版で得られた感動が台無しになることはないはず。
さて、あとは完結編『マルドゥック・アノニマス』を待つばかり。
できれば来年中には刊行してほしいなー。
マルドゥック・スクランブル The 1st Compression−圧縮 完全版
2021/12/31 14:25
沖方作品の傑作
1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:マー君 - この投稿者のレビュー一覧を見る
沖方作品の初期の頃の作品。SFっぽくアニメ化もされている。
焼死されかかった少女と彼女を救った万能アイテムと言われているウフコック。その元相棒ボイルドの戦いの始まり。
何度読み返しても面白い。
マルドゥック・スクランブル The 2nd Combustion−燃焼 完全版
2014/01/08 19:22
すばらしい
1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:ginga.k - この投稿者のレビュー一覧を見る
タイトルの通り、燃える、燃える。萌えもまぁちょっとはw
血を流しながらもバロットのために戦い続けるウフコックと、激しく心を痛めながらもウフコックを使い続けるバロット。二人の葛藤も相まって、ボイルドとの戦いはとてもハラハラした。(ていうかここ前巻の引き所良すぎ
09計画の大元となった研究所、そこでのバロットの邂逅、ボイルドの過去、そして唐突なカジノ。色々濃密な内容なので、一巻の引きが気になった人は是非。