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死にとうない
著者 著者:堀和久
―誰も、わしの過去を知らない。わしのたどってきた茨の道を知らない。あまりにも恥深き半生だったゆえに、わしも、おのれの過去をことさら口に出すことはしなかった。病床に臥した仙がいの眼裏に、七十年近い昔の乞食旅をつづける雲水姿が浮かぶ。「大悟透徹した禅師」「無欲恬淡の風雅人」「童心をもつ洒脱飄逸の大和尚」などと評される仙がいだが、若き日に投身自殺まで図った苦悩の修行と悟りを重ね、たどりついた境地―八十八歳にして、新しい発見をする。日々、新しい世界がひらけてくる。死にとうないのう・・・。
※本作品は、紙書籍から表紙画像の一部が異なっております。あらかじめご了承ください。
死にとうない
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紙の本死にとうない 仙厓和尚伝
2016/11/30 09:04
悟りとは?
1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:ももたろう - この投稿者のレビュー一覧を見る
子供だましのような絵に驚くような讃をサラリと書いた和尚の伝奇小説。
中絶に失敗してこの世に生まれ、意気地なしの父親に圧死されず、山に棄てられたが、2日経っても生きていて、木こりに拾われ家に戻された。
しかし、そんな子どもだから厄介者であり、近くの寺で遊んでいるうちにその和尚に懐いて、坊さんになってしまった。
貧弱で醜いことから「四国猿」といじめられながらも精進し、出世の道を歩む。
しかし、それは挫折に次ぐ挫折で、崖から身を投げたこともある。
それでも死ねず、最初の悟りを得た。
何度も悟りを得るものだが、
最後の悟りは臨終の間際だった。
発した言葉は「死にとうない」「ほんまに、死にとうないのう」であった。
長年に渡る父母への頑ろうなしこりを解いて、一生を終えた。
どんな醜い過去も輝いている今の為にあった。
懸命に生きている限り、何度でも悟りは開けるものだ。