- みんなの評価
4件
小倉昌男 経営学
著者 小倉昌男 (著)
全体を通して読み取れるのは、「学習する経営者」小倉の謙虚さと、そこからは想像もできないほど強い決断力である。成功した人物にありがちな自慢話ではない。何から発想のヒントを得たか、誰からもらったアイデアか、などがこと細かに記されている。講演会やセミナー、書籍、マンハッタンで見た光景、海外の業者に聞いた話、クロネコマークの由来…。豊富なエピソードから伝わってくるのは、まさに学習し続ける男の偉大さである。
一方で、並々ならぬ決断力を持っていたのだと思わせる記述がいくつかある。宅急便に注力するため、大口の取引先であった松下電器との長期にわたる取引関係を終結させたこと、三越岡田社長のやり方に反発し、「とてもパートナーとして一緒に仕事をしていくことはできなかった」として取引関係を解消したこと、運輸省を相手に訴訟を起こしたこと…。いずれも確固たる論理がその根底にあった。それにしても見事な決断力と言わざるを得ない。
終わりの部分で紹介されている宅急便の各種サービス内容や、有名なNEKOシステムなどの話は、流通・物流の関係者以外には興味がわかないかもしれないが、全体的に読みやすく、興味深いエピソードが満載なので、読んでいて飽きることがない。経営者としての小倉の人となりが伝わる、好感の持てる1冊である。(土井英司)
小倉昌男 経営学
ワンステップ購入とは ワンステップ購入とは
この著者・アーティストの他の商品
前へ戻る
- 対象はありません
次に進む
小倉昌男経営学
2016/01/31 16:11
感想
1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:Otto - この投稿者のレビュー一覧を見る
ヤマト運輸の経営者が経営について書いた本である。経営の知識を伝えたいと思い、会長退任後、生涯で一冊の本という思いで書いた経営本である。
2020/05/06 11:26
ヤマトを日本を代表する企業へ育てた小倉昌男さんの頭の中が垣間見えた
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:Wtk - この投稿者のレビュー一覧を見る
ヤマトが商標登録している「宅急便」は、著者である小倉昌男さんが始めた個人宅配のサービス。これは、今のヤマトを作った礎であるとともに、ヤマト最大のイノベーションだったと思います。
この本を読んで印象的だったのは3点です。
まず、小倉さんが宅急便ビジネスは儲かると確信するに至った過程において、他の類似するものからイメージを掻き立て、数字を使って論理的に儲かる仕組みを考えていく様は、非常にエキサイティングでした。「サービスが先、利益は後」はボランティア精神なのではなく、宅急便のビジネスの性質上、お客様に満足してもらえるサービスを作っていけば、必ず儲かる分岐点が来るとの思想が根底にあると感じました。
また、宅急便を始めるにあたって、リスクを先延ばしにするサラリーマン役員から全員反対を受けたとのことですが、労働組合が後押しをしてくれた点は印象的でした。労働組合との関係については、小倉さんも何度か強調されていましたが、経営の数値も理解しつつ現場のシクシクとした痛みを肌で感じている労働組合を、小倉さんは上手く活用していたのだと思います。
最後に「全員経営」の本質は、決められたゴールを社員全員が納得し、自ら考え責任をもって進んでいく集合体なのであると理解できました。私も昨年まで日系のある程度の規模の会社に所属していましたが、やはり目指すところは同じだったのだと感じます。が、納得感を持たせるという大前提、これが非常に難しいですよね。このコミュニケーションこそが、経営や管理職に求められるのだと思います。
長くなりましたが、私は実際ヤマトの内部がどうなの?については知る由もありませんが、宅急便に頼り切りの経営であることは外から見ても思うところです。大きな会社で優秀な社員も揃っているでしょうから、恐らく、アイディアは沢山あると思います。リスクを取る文化取れる文化、全員経営の精神さえあれば、また新たなイノベーションが起き、世界有数の企業になっていくはずです。陰ながら応援しています。
小倉昌男経営学
2017/04/18 22:34
読了メモ
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:りんご - この投稿者のレビュー一覧を見る
労働組合には経営をチェックする機能がある。現場の声を良く聞き出している。(一種の帰属意識、愛社心の表れ)
「サービスが先、利益は後」わかりやすい内容と実行力ー信頼
仮説を持ち、実行し、振り返る
他者のやり方を自社に取り入れるにはどうするか…と考える力が経営者に必要
ライン・スタッフ制ーライン部門から間接業務を取り除き、組織の機動的な活動を進める。実際にはスタッフ部門が頭でっかちになり、命令したりや報告を求めたりする
リーダー(経営者)の条件
論理的思考、戦術的思考ではなく戦略的思考…内部&外部分析、良い時には即座の決断力。見栄を張らずに断る…よく話を聞き、誠意を持って断る。
企業の目的…永続すること→そのための利益→資本を有効に稼働させ、財やサービスを地域社会に提供する役目。雇用も生み出す。