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4件
友がみな我よりえらく見える日は
著者 上原隆
ホームレス同然の生活を続け妻子からも捨てられた芥川賞作家、アパートの五階から墜落し両目を失明した市役所職員、その容貌ゆえに四十六年間、一度も男性とつきあったことのない独身OL……人は劣等感にさいなまれ深く傷ついたとき、どのように自尊心をとりもどすのか。読むとなぜか心が軽くあたたかになる、新しいタイプのノンフィクション。
友がみな我よりえらく見える日は
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友がみな我よりえらく見える日は
2010/11/28 11:19
「人は自分でつちかってきたやり方によってのみ、困難な時の自分を支えることができる」(本書21頁)
9人中、9人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:ぶにゃ - この投稿者のレビュー一覧を見る
この本の書名は、石川啄木の短歌から採られている。
友がみなわれよりえらく見ゆる日よ
花を買ひ来て
妻としたしむ (『一握の砂』所収)
そしてこの本は、書名が示すとおり、ひとりぽっちの哀しみにあふれている。
哀しみと、しかし決して人生を捨てようとしない強靱さに満ちている。
14人あまりの、それぞれの人生の断片が端正な文章で綴られている。
酔っぱらってアパートの5階から墜落し、両眼を失明した著者の友人。
その容貌のせいで、46歳まで独身のままの女性。
以前は大手建設会社の社員だった50歳のホームレス。
漫画を描くことによって、自己を恢復させようとしている定時制の高校生。
うつ病のために、希望していた職業に就くことを断念せざるを得なかった若者。
結婚相手が女たらしだとか、泥棒だとか、男運が悪かったタクシードライバーの中年女性。
洗濯をせず、風呂にも入らず、週に一度、下着を使い捨てにする離婚男性。
学歴を捨て、妻子を捨て、仕事を捨て、有名であることを捨てた芥川賞作家。
……等々。
フィクションではない。
いずれも著者がその目で視、耳で聴いた話をその通りに書き綴った作品である。
「その通りに書く」という作業はかなり困難な作業であるはずだが……。
人の一生とは何であろうかと、ふと想うときがある。
しかし、答えはどこからもあらわれてこない。
友がみな我よりえらく見える日は、
僕はいったい何をするだろう。
何をしただろう。
有名であることを捨てた芥川賞作家が、カタカタと自転車を押しながら言った言葉が忘れられない。
「自分で歩く自分の道は自分独自のもので、ひとりで歩くしかない」(101頁)
友がみな我よりえらく見える日は
2022/02/07 13:22
気持ちが落ち着く
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:ヒグラシカナ - この投稿者のレビュー一覧を見る
両目を失明した友人を見舞う話し。
自分が病気になったり、周囲も体調を崩したり
する経験を重ねている中で、この作品を読むと
誰にも話せない気持ちが共有されるようで落ち着く。
前向きに持っていく話しではないけれど、力強さを
感じる。
友がみな我よりえらく見える日は
2017/05/10 11:15
いろいろな人生
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:松山富士夫 - この投稿者のレビュー一覧を見る
色んな生き方を読めました。よかったです。