- みんなの評価
3件
国家とハイエナ
著者 黒木亮
破綻国家の国債を二束三文で買い叩き、欧米で債務国相手に訴訟を起こし、勝訴判決を受けるやタンカーや人工衛星を差し押さえ、投資額の10倍、20倍のリターンをむしり取る「ハイエナ・ファンド」。
狙われた国家は、その強奪的金融手法に対して徹底抗戦しようとするが、権力者たちの既得権益に群がる腐敗体質が手枷足枷となり、なかなか光明を見出せない。
そうしたヘッジファンドのやり口と破綻国家の汚職を防止しようと、国際NGOが動き出した。しかし、肝心のNGOの中からも金に窮してヘッジファンドへ転職するメンバーが出現。
正義と欲望の狭間で、三者はいつしか三つ巴の熾烈な金融バトルを繰り広げ始める。
最後に笑うのは、果たして誰なのか?
「本書に書いてあることはすべて現実に起きたことである。国、企業、団体、政治家、著名アーティストなど、実名になっている箇所や社会的出来事の記述は事実に沿っている」(著者)
国家とハイエナ
ワンステップ購入とは ワンステップ購入とは
この著者・アーティストの他の商品
前へ戻る
- 対象はありません
次に進む
国家とハイエナ
2017/09/25 18:31
金融ものが好きな方へ
1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:本都ユーザー - この投稿者のレビュー一覧を見る
日本ではほとんど知られていない国とファンドの暗闘。
国の債権を買い占めて支払いをせまるあたり、なるほど「法律書を持ったハイエナ」とは言い得て妙である。
作者の著書には専門用語が多く出てくるし、またそれらが絡み合ってくるので読み進めるのに簡単ではない部分もあるが、それが世界観の奥深さを作り出している。
国家とハイエナ
2016/12/28 21:14
人は何をするのか
1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:怪人 - この投稿者のレビュー一覧を見る
金融の世界とはあまり縁がない生活をしている身としては、この本は驚愕の一言だ。倫理観はなく、法律論を悪用しているだけの知能犯にしかみえない。債務国にある2つの問題、国家のリーダーたちの汚職と腐敗、そしてそれにつけ込むヘッジファンドと係わる弁護士たち。人間の頭脳がこのような場面に浪費されるとは嘆かわしい。
国家のGDPを上回る売り上げ企業、資金力をもったファンドは国家を蹂躙し、操る。資金力にものを言わせて、民主政治の議員や政府を思いのままに動かしてゆく。
政治家がしっかりしなくてはいけない。真のリーダーを要請するシステムはないのだろうか。
国家とハイエナ
2017/03/30 17:49
黒木ファンなら満足の一冊
2人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:ブレーブス坊や - この投稿者のレビュー一覧を見る
著者の作品はほとんど読んでいます。
「トップレフト」の衝撃や、「法服の王国」の堅さはなく、「排出権商人」の意外と知られていないビジネスを丹念に調べて物語に仕立てた作品だと思います。
著者の作品から得られる知識や視点は私にとってはとても貴重で、いつも楽しみにしているので、今回も裏切られず満足感を得られました。
ストーリーや登場人物は、以前の作品と重なるところがあるので、次の作品は少し変化があれば良いなという気もします。
ただ、黒木ファンやグローバルに活躍されている方なら満足の一冊ではあると思います。