- みんなの評価
50件
慈英×臣シリーズ
著者 崎谷はるひ(著) , 蓮川 愛(イラスト)
【イラスト付き】 刑事の小山臣が新進気鋭の画家・秀島慈英と恋人同士になって4年、同棲を始めて1年が過ぎた。幸せではあるが、画家としての地位を確立していく年下の恋人に、自信を持てない臣。そんな二人の前に慈英の大学時代の友人・三島が現れ、慈英につきまとう。不安を感じる臣だったが……。表題作ほか商業誌未発表短編も同時収録。
つむぐ幸福論 慈英×臣作品集 【電子限定おまけ付き】
ワンステップ購入とは ワンステップ購入とは
この著者・アーティストの他の商品
前へ戻る
- 対象はありません
次に進む
あざやかな恋情
2007/01/08 20:28
痛ましい残像の上に築かれる揺るぎない愛
12人中、11人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:hamushi - この投稿者のレビュー一覧を見る
「ひめやかな殉情」「しなやかな熱情」に続く、臣と滋英のお話の三作目。
崎谷氏の作品では、破綻した家庭で愛情薄く育ったことによるトラウマが、物語の前面に出されることが多いですが、このシリーズではとくにそれが痛ましく、またそれだけに、二人の絆が深まっていく様子が、細やかに描かれているようにも感じます。
母親に育児放棄された状態で疎まれながら育ち、結局捨てられてしまった過去を持つ臣と、おそらくは持って生まれた天才性の代償として情愛面が大きく欠落した人として育ってしまった滋英の二人が、病的な共依存に陥らず、互いをはぐくむような関係を築くことができたのは、現実にはまずあり得ないような奇跡でしょうが、それを夢物語と感じさせないだけの物語の厚みがあるので、納得感を持って読むことができます。
ただ、納得感はそれとして、やはり痛みの強い物語ではあると思います。
三作目になるこのお話では、臣の精神的な弱さの根になっている過去の家庭のありさまに加えて、滋英の幼少期のエピソードと、もう一つ、完全に救いの見えない形で崩壊してしまった別の兄弟たちの顛末も語られていて、お話の主役は、誰のこともはぐくまず、守れないまま崩壊した「家庭」の残像そのものであるかのようでした。
作者が、さまざまな作品のなかで、そうした「家庭」について、いろいろな角度から描こうとする意図が何であるのか、一読者には分からないことですが、崎谷作品に限らず、このジャンルには、何らかの形で破綻した「家庭」を背景に持つ作品がずいぶん多いように感じます。
「家庭」が本来、命や愛をはぐくむ器であるべきことを思えば、そこからこぼれ落ちて傷ついてしまった登場人物たちが、自分のための居場所と愛情を見つけていく過程の物語を読みたいと願う、(おそらくは年若い)読者が多くいるという事実は、社会のなかに実在する何らかの大きな傷を反映したものと考えられるのかもしれません。そのことがむしょうに気になるからというのが、このジャンルの作品を読み続けている大きな理由の一つでもあります。
2021/02/18 10:10
待ってた
4人中、4人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:なつゆき - この投稿者のレビュー一覧を見る
20年ぶりの続編です。
ミッフィーこと未紘も30半ばになり照映と穏やかな生活がうかがえる本書ですが、編集者としては多忙な毎日を送っているようで、不規則な生活にストレスが重なり胃を痛めてしまいます。
干支が一回りするくらい共に居る照映と未紘も年を取りこれから万が一のことを考え、慈英と臣のような関係も視野に入れるようになったようです。
慈英や臣におだやかで真面目そうで、気が利いてふつうそうなのにとんでもない度量の広さを持っている、と評されている佐藤くんにカレシが出来た話は慈英や臣に衝撃のニュースだったみたいです。
しかし「夜の佐藤くん」はそのイメージを覆すかのような一面を見せています。
慈英と臣の今後について照映と未紘の会話に出てくるので、その後の話を期待してしまいます、崎谷先生どうかよろしくお願いします。
2021/03/04 08:26
たまたま買ってしまい
3人中、3人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:太郎の母 - この投稿者のレビュー一覧を見る
内容・シリーズ物と知らず購入してしまい、悩んだ末にシリーズ全部買って初めから読みました。
物語は長い月日が経っているにも関わらず、色褪せす面白く一気に本当読めました。
色々な事件や各々の葛藤思惑有ったけど繰り返し読みたい作品です。
Hontoでこれ以外の作品は、慈英・臣シリーズの括りになっているのにこの作品は別って何?
他の作品でも結構シリーズから数件漏れたりシリーズ括りしてないとか有るが、電子書籍は読み返す事多いので其処のところきっちりして欲しい。