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絵とき 生きものは円柱形
著者 本川達雄 文 , やまもとちかひと 絵
自分の体の形を考えてみましょう。指は? 円柱形です。腕は? 足は? 胴体は? どれも円柱形。そして体全体でも円柱形です。ネコもイヌも、足や尾や胴体など円柱形が多い。植物も、平たい葉という例外もありますが、根、幹、枝など、やはり円柱形が多い。なぜ生きものの形には、こんなにも円柱形が多いのでしょう? その理由を考えていくと、生きものに共通するある特徴と、生きもののルーツが見えてきます。
絵とき 生きものは円柱形
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絵とき生きものは円柱形
2011/07/30 11:42
形は実はとても大事なんだ。
1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:銀の皿 - この投稿者のレビュー一覧を見る
羽や葉はなぜ平たいの?胴体や足はなぜ円柱形が多いの?
生きものの形には深い意味があることを、こんなところから説明している本です。同じ著者の「絵ときゾウの時間とネズミの時間」と同様、大人対象の同名書をもとに、絵を使って子どもにもわかりやすいように組みなおしたもの。対象は一応小学中級からとなっています。
生きものの形には、ちゃんと「その形の持つ性質」が反映している。平たい形ではすぐに倒れてしまう。まん丸よりは少し長くて方向がある円柱形の方が移動しやすい。単純化した形で説明してある分、それがとても基礎にある重要な考えであることがかえって伝わってくる気がしました。
形には大事な理由がある。これは生きもの共通の形の話でしたが、人の作ったものにも、形に大事な理由があるということかも。例えば挨拶の形とか他人に理解してもらう話し方の手順とか。人間は複雑にしすぎてわかりにくくしてしまったのかもしれませんが、文化的な「形」にもちゃんと意味がある。おなじ「形」という言葉を使うことからも共通性が感じられます。(すみません、どんどん好き勝手に話を広げてしまう、大人の悪いところです。)
絵本にする場合には絵の役割もとても重要です。その点では、同じ著者のものでも「絵ときゾウの時間とネズミの時間」のほうが私の好みでした。本書のやまもとさんの絵は端整で丁寧なのですが、壁画風にしようとしたのでしょうがところどころに意図的にある汚れが本物過ぎて気になってしまうなど、ちょっと読む流れをギクシャクさせられてしまうのです。
それでも、単行本を読むよりも端的に言いたいことが伝わってくるのがこういう絵本へのアレンジの強みでしょう。前著の書評でも書きましたが、単行本の方を大人が読んで、みんなで感想を話しあうこともできます。「じゃあ、あれはなんであのかたちなの?」と会話で疑問を広げていくことで知識も広がるかも。夏休み、そんな読み方も素敵ではないでしょうか。