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13件
山怪 山人が語る不思議な話
著者 田中 康弘
著者の田中康弘氏が、交流のある秋田・阿仁のマタギたちや、各地の猟師、山で働き暮らす人びとからから、実話として聞いた山の奇妙で怖ろしい体験談を多数収録。
話者が自分で経験したこととして語る物語は、リアリティがあり、かつとらえどころのない山の裏側の世界を垣間見させてくれる。
山の怪談。 現代版遠野物語。
目次
序文
I 阿仁マタギの山
狐火があふれる地/なぜか全裸で/楽しい夜店/生臭いものが好き/狐の復讐/見える人と見えない人/狸は音だけで満足する/消えた青い池/人魂、狐火、勝新太郎/親友の気配/辿り着かない道/蛇と山の不思議な関係/汚れた御札/マタギの臨死体験/叫ぶ者/白銀の怪物
II 異界への扉
狐と神隠し/不死身の白鹿/来たのは誰だ/もう一人いる/
道の向こうに/響き渡る絶叫/僕はここにいる/謎の山盛りご飯/山塊に蠢くもの/鶴岡市朝日地区/出羽三山/鷹匠の体験/奈良県山中・吉野町/ツチノコは跳び跳ねる/足の無い人/只見町/山から出られない/行者の忠告
III タマシイとの邂逅
帰らない人/死者の微笑み/迎えに来る者/ナビの策略/椎葉村にて/テントの周りには/宮城県七が宿町/なぜか左右が逆になる/不気味な訪問者/奈良県天川村/帰ってくる人/固まる爺婆/お寺とタマシイ/飛ぶ女/帰ってくる大蛇/呼ぶ人、来る人/狐憑き/真夜中の石臼/狐火になった男
山怪 山人が語る不思議な話
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山怪 山人が語る不思議な話 1
2016/01/29 21:51
日本の山には「何か」がいる
7人中、7人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:ジョンドリー - この投稿者のレビュー一覧を見る
これは真面目で、面白いルポルタージュであった。
タイトルの「山怪」とは著者の造語で、山であった不思議な出来事のこと。ルビは「さんかい」と振られているが、「やまかい」と読むほうがピッタリと来る気がする。
本多勝一や立花隆はあまりにも偉大で手に負えないが、この程度の(失礼!)ルポなら「書こうと思えば自分でも書けるのではないか」と思わせるところが、まずいい(^^)。
本の中では、山を仕事場にするマタギや地元の人たちのちょっと不思議な話が、次から次へと展開される。
この本を読んでいて、山歩きが好きな自分にもひとつだけ不思議な体験があったことを思い出した。
30年ほど前に、日がとっぷりと暮れた真っ暗闇の山道を、ヘッドライトの明かりを頼りに急ぎ足で下りていた時、前方から小さく鈴の音が聞こえた。前方にライトの明かりは見えないので、じきに追いつくと思ったが、鈴の音から判断して距離は一向に縮まらない。不思議に思って歩き続けると、真っ暗闇の道の先に一瞬、人の姿をした影が・・・。影の正体が何だったのか今となっては定かではないが、鈴の音だけははっきりと耳に残った。
そう、日本の山には「何か」がいるのだ。
山怪 山人が語る不思議な話 1
2016/01/10 21:31
現代にもまだ残る異界。
4人中、4人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:なつきちん - この投稿者のレビュー一覧を見る
うーん、これは凄い本ですね。
とても面白かったです!!
著者がマタギの人々から聞き集めた、山での不思議な話を纏めた一冊。
オチらしいオチもなく、変に面白がらせようとしていない分、不思議なリアリティと怖さがあります。
管理人の地元の話もあり、山という異界が決して遠い世界の話ではないことを思い出させてくれます。
マタギという職業が減少していく中で、この聞き書きは資料としても貴重ですよね。
日本の山って、他の国にはない不思議な異世界だとしみじみ感じました。
カバー挿画:柄澤齊
山怪 山人が語る不思議な話 1
2023/04/05 14:49
山には異界がある
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:トマト - この投稿者のレビュー一覧を見る
山に入るときは心して、山の神様に畏敬の念を忘れずに入らなければならないことを改めて肝に銘じました。
そこには、自然を恐れぬ人間を戒めるかのように不思議なことが待ち受けている場合がある。
決して、人間は驕ってはいけない。人間は自然の一部なのだから。
山での不思議な話は、そういっているように思えました。