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「断罪のイクシード」シリーズ
巷を騒がせている連続殺人に巻き込まれ殺されかけた藤間大和は、転校生の東雲静馬に魔術で命を救われて、彼女の家で意識を取り戻す。「って、なんでお前、裸!? せめて隠すとかしろよっ!?」「どうしてこの私が、貴方に気を使わなければならないのよ。貴方こそ気を使って自分の眼を潰しなさい」「おかしくないソレっ!?」 化け物によって起こされている連続殺人を止めるべく、この町に来たという静馬に大和は協力を申し出るが、返ってきたのは冷たい拒絶。それでも大和は静馬を追いかけて超常の夜へ赴くのだが――。第2回GA文庫大賞優秀賞作品登場! ※電子版は文庫版と一部異なる場合がありますので、あらかじめご了承ください
断罪のイクシード ―白き魔女は放課後とともに―
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2011/05/06 22:36
ねこみみ登場
2人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:くまくま - この投稿者のレビュー一覧を見る
孤高の女子高生魔術師、東雲静馬と共に戦うことを決めた藤間大和の前に、猫耳の人狼少女・結城ニアが現れる。行き倒れていたところを助けようとする大和にいきなり襲いかかって来たのだが、そのまま放っておくわけにもいかず、結局家に連れ帰ることになる。…妹には誤解されシメられちゃうのだけれど。
その頃、街の不良たちには、ジェイルクラッシュという魔術要素を含んだドラッグが流行していた。その流出元と目される逆十字を追いかけているうちに、ニアの養父を殺した男と遭遇してしまう。逆上して獣化してしまうニアは、娘として仇をうつことができるのか?
2011/01/07 22:24
自分を追い込む少女と、彼女に手を伸ばす少年
4人中、3人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:くまくま - この投稿者のレビュー一覧を見る
高校生の藤間大和は悪夢を見た。自分が黒犬に食い千切られ殺されるリアルな夢を。友人の雨森穂波にそんな話を話しながら行った教室で、人形の様に美しい転校生・東雲静馬に出会う。だが彼女は、他人とのコミュニケーションを真っ向から拒絶していた。
彼女と再会したのは夜。日課のトレーニングを行っていた大和は、本当に黒犬に殺されかけてしまう。絶体絶命の彼を助けたのが東雲静馬だった。彼女は魔術を使い、悪魔と一人戦っているらしい。悪魔という存在は、大和の古い記憶を刺激する。彼の剣の師匠である神原天童が戦った存在と、彼が残した一振りの日本刀、式刀・破錠、そして塞ぎ込んだ自分の姿を。
心中から突き動かされるものがあり、静馬に協力を申し出る大和なのだが、すげなく断られてしまう。一体彼女が抱えるものとは何なのか、そして大和は彼女を救うことが出来るのか?
第2回GA文庫大賞優秀賞受賞作とのことなのだが、応募作品としては異例だと思われることに、作中に登場する伏線が多く回収されないままに残される。大概、応募作品は一巻完結で構成するものだと思い込んでいたので、意外だった。もともと続巻を予定して書かれているのだろうか?もしそうではないならば、印象ベースで半数以上の伏線が残されたままというのは、いかにも不親切という気がする。
主人公を取り巻くクラスメイトたちも多く登場するのだが、静馬から突き放されたところから始まるので、心理的に近づくまでのプロセスが必要だったり、静馬の事情を描写したりするのに紙幅を割かれるので、クラスメイトにまでは手が回らなかった様に思われる。イラストにも登場しているのに、本文中での扱いが軽いというギャップが物足りなかった。
全体的に色々と裏設定を盛り込み、設定が複雑になっている様なので、紙幅との関係で消化不良の感が否めない。今回でメインキャラの関係は出来上がったので、2巻以降ではスッキリとストーリーを展開させられると思うので、そこに期待したいと思う。
2015/09/14 11:28
取り戻した日常の行く末は…赤信号?
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
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愛刀・破錠が封印していた魔王の魂と神殺しの力を解放してしまい、様々な勢力から狙われる運命となった藤間大和の命を救うため、彼の右腕を切り落とし、レジャーランド・マリンコスモスに混乱を導いた逆十字教団「小隊」リーダーの漆原雄一郎について行くことを、東雲静馬は選んだ。それは、彼女が好意を寄せる少年を、彼女のために不幸にしないための決断…。だがそれを、当の大和が許すはずもなかった。
妹の藤間ましろから全ての事情を聞き取り、自身に秘められた秘密を知った大和は、勝手な行動をした静馬を自分たちの日常に引きずり戻すため、猫耳の人狼少女・結城ニアと単純馬鹿の猪塚青磁を引き連れ、時の王権アイオーンの所有者・漆原雄一郎の許へ向かう。そして、彼らとはまた別の理由で、炎の王権イグニスの所有者・火倭秋晴は、マリンコスモスに降臨し、その炎をふるうのだった。
一方、主戦場から引き離された鬼兵隊隊長の土御門明日奈は、天使の環を持つ本物の悪魔、殺戮鬼ジルと対峙していた。師・榊原天童の授けた榊原一刀流を、一閃・煌から秘閃・八裂まで極め、さらにそれを極限まで磨き上げた歴史の力が、人間を神の領域まで引き上げた一太刀を放たせる。
同じ剣を修め、友人と言った良かった二人が、なぜ道を違えたのか?その理由が漆原雄一郎の口から語られる。自分で言っちゃったらお仕舞いだろというのは抜きにして、自分を理解して欲しい、対等な存在として扱って欲しいという人間的な誘惑から、英雄と呼ばれる存在すらも逃げることが出来なかったという、オチがついている。
そして人間を辞めかけてまで友人を引きずり戻しに行った少年は…。ここから「未来日記」が始まってもおかしくない。しかし、シリーズは完結だ。後半、かなり盛り返した気がするな。
2015/08/24 10:12
ふたつの時間の流れの衝突
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
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小隊のリーダー・漆原雄一郎に藤間大和の秘密を知らされた東雲静馬は、彼が魔術師の世界に関わり続けるリスクを知り、彼をこの世界に引き込んだ者の責任として、彼を普通の世界に戻すための憎まれ役を演じようとする。
しかし、突然、敵対してきた静馬の言葉に大人しく従う大和ではない。当然、ガチンコバトルになるのだが…。
一方、他国の介入を招く前に今回の騒乱を鎮圧したい護国課だったが、敵の策にはまり戦力は分断され、兵装を潰されて弱体化したところに、敵の主戦力を相手にしなければならない羽目に陥ってしまう。
藤間大和を人間として生かしたかった過去の人々の想いが、藤間ましろの口から大和に知らされる。一方で、戦中から時の王権の力で現代にやって来た漆原雄一郎は、過去の想いをそのまま現代にぶつけようとする。それは、時間という緩衝を許さない、急激な変化を与える行為だ。そしてそれを止めようとするのは、じっくりと時間をかけ成長してきた大和なのだ。
次巻でいよいよ全ての決着がつく。巻末には、短編「黒鉄の鍛冶屋と白の魔女」を収録している。
2015/08/17 13:11
楽しい日のはずが…
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
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夏休みを前にして、藤間大和は友人の梶十四郎の招待で、レジャー施設のプレオープンに参加することになった。常磐京子や雨森穂波も一緒だ。大和はせっかく仲良くなる機会ということで東雲冬馬も誘うのだが、寺の片づけをするという口実で断られてしまい、猪塚青磁もそちらの手伝いに行くことになる。
夏休み前の楽しい日のはずだったが、招待されたレジャー施設マリンコスモスを建設した上杉コンツェルンのトップは、護国課の前身である葬魔局に所属する魔術師だった。そして、大尉と呼ばれる何者かの下で、藤間大和と東雲冬馬を利用する、大規模な魔術災害を企てていたのだ。
そのために、友人たちを魔術を巡るいさかいに巻き込んでしまった大和。その頃、静馬は、かつて榊原天童が住んでいた寺の地下に、魔術師の工房を発見していた。そしてそこで厳重に封印された日記の中には、大和にまつわる秘密が記されたものがあった。
自らの行動により、過去の人々のやさしい思いを無にしていたと知った静馬は、大和のためにある決断をする。
今巻で終わりのような雰囲気で始まったものの、終わってみれば大規模な戦いの前哨戦に過ぎなかった。そして、次に大和の前に立ちはだかった人物は、意外な人物。大和の姉弟子であり、護国課鬼兵隊隊長の土御門明日奈も登場し、色々と自覚した大和が自分の筋を通すために戦いに挑む。