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この世のメドレー
著者 町田康 (著)
「先生は人間からすればゴミクズですがミミズやミジンコからすれば神様のような存在です」
世界を睥睨し超然と生きよう。余を名乗り、生死を乗り越え、超然の高みに到達したはずだった。
しかし超然境に浸る余を、ひとりの小癪な若者が、破滅への旅へ誘い出す。
言葉の濁流に飲み込まれろ! ノンストップ膝栗毛 圧巻の長編小説! 「どつぼ超然」待望の続編
この世のメドレー
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紙の本この世のメドレー
2016/04/23 01:37
「メドレー」っていうか「ジャム・セッション」
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投稿者:あられ - この投稿者のレビュー一覧を見る
本棚の整理をしていたら出てきたので、おっ、懐かしいじゃないか、と思い、3年ぶりくらいで再読しようとしてみたが、完全に再読することは少し無理で、ところどころ、シェフのきまぐれサラダ並みに気の向くままにかじり読み散らし、はたと気づいたのだが、これは「おいしいところ取りでつなげたメドレーを聞かせてくれるミュージシャンとサシで向かい合ってる」っていうか、「グレイトフル・デッドが延々とジャムってるCDを早送りしながら聞いてる」感覚。嫌な気持ちにはならない。だが、取り立ててよい気持ちにもならない。最初に読んだときに爆笑した箇所を、「くすり」という擬音を立てて、ページを繰る。そんな体験をして、また本棚に戻す。
全部をまた読み直すことはもう二度とないかもしれない。でも本棚に残しておくことにした。こんなに魅力のない登場人物はめったにいない、と思わせてくれる「余」と「袂君」だが、彼らの言葉は、ところどころ、めっぽうおもしろい。久しぶりに聞き返してみたら「お、このリフ、いいじゃん」って思って、手放さずにいたCDと同じ。読んでいる間にグルーヴ感が高まってきて、最後、はじけて終わるのが、初読のときは爽快だったなあ、なんて。