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17件
小説 言の葉の庭
著者 著者:新海 誠
雨の朝、高校生の孝雄と、謎めいた年上の女性・雪野は出会った。雨と緑に彩られた一夏を描く青春小説。劇場アニメーション『言の葉の庭』を、監督自ら小説化。アニメにはなかった人物やエピソードを多数織り込んだ。
小説 言の葉の庭
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小説言の葉の庭
2016/03/20 22:16
艶のある文章
4人中、4人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:オオバロニア - この投稿者のレビュー一覧を見る
本作は、靴職人を目指す高校生と儚げな高校教師の物語です。恋愛小説寄りの青春小説といったポジションになると思います。各章で視点が変わる(2人の周辺人物含む)ため2人だけの閉鎖的な世界にならず、俯瞰的に2人の行く末を追うことが出来て良い具合のドライさがあります。
また本作は雨や木々、ビル群の描写がよく出てくるのですが、その書き方が非常に艶のある書き方で普通の作家さんにはない魅力を感じました。映像作品にもその艶っぽさが顕れているのかどうか、とても観てみたくなりました。
小説言の葉の庭
2016/09/22 17:01
孤独で、寂しく、てうまく歩けなくなったって、ちゃんと立ち直れるよとホッとする物語
4人中、3人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:ooparts2000 - この投稿者のレビュー一覧を見る
うらさぶる 心さまねし ひさかたの
天(あめ)の時雨(しぐれ)の 流らうみれば(万葉集)
(うら寂しい気持ちがいっぱいに広がる はてしなく広がる大空から時雨が はらはらと流れ落ちるのを見ると。)
いくつものエピソードが挿入されているが、全編を通しての基本のテーマが万葉集のなかのこの詩ではないかと思う。
人が誰しも持つ孤独、淋しさ。使われるシチュエーションは雨。
新宿御苑で雨宿り。孝雄と雪野は出会う。雪野は同じ学校の古典の先生だと気づいて欲しくて別れ間際に詩を残す。
雷神(なるかみ)の しまし響(とよ)もし
さし曇り天も降らぬか 君を留めむ(万葉集)
(雷が鳴って少し曇って雨が降らないかな。あなたを引き留めたい。
さて、1人称で語る「私」は高校生の孝雄、古典の先生の雪野、11歳上の孝雄の兄、体育の伊藤先生、
孝雄の2年上の相澤祥子と次々と変わる。戸惑いつつも読み進めていくと、彼らのそれぞれのストーリーが
一つの大きなストーリーに紡ぎだされていきます。
靴職人の夢を持つ孝雄。生徒のいじめにあい退職することになった雪野。二人は雨の日、新宿御苑の東屋で再会する。
思わず孝雄の口から出てきたのは…
「雷神の 少し響(とよ)みて 降らずとも
我は留(と)まらん 妹(いも)し留めば。」(万葉集)
(あなたが願うなら私は留まるよという男性の歌。最初に出会ったときの雪野歌の返し歌)
素敵ですね。万葉集が小道具に使われ、お互いの気持ちが通じていきます。そして2年後のエピローグへ。
人生は寂しくなんかないよと新海監督は伝えたかったのかな。最後はホッとする物語でした。
小説言の葉の庭
2021/08/30 20:11
雨の日に電車で読みたい本
1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:butnot - この投稿者のレビュー一覧を見る
新海誠作品お馴染み、ウブな少年×年上ガールの設定
大都会の洗練された多様性が透明感ある情景描写で浮かび上がる。
オススメの読み方は、「雨の日に、電車の中で」。作品世界に没頭できる。