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  • みんなの評価 5つ星のうち 4.5
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戦国時代の終焉 「北条の夢」と秀吉の天下統一

織田信長と友好関係を保ち、領地を拡大させてきた北条氏。しかし、本能寺の変によって、この状況は一変する。北条氏と佐竹・宇都宮氏など関東諸勢力との戦いは熾烈をきわめ、両陣営の背後では、羽柴秀吉、徳川家康が蠢き、激しい外交合戦が繰り広げられる。戦国時代末期、「関東統一」を夢見る北条氏とそれにあらがう戦国武将たちとの戦いを追いながら、次第に秀吉の圧力に抗しきれなくなっていく北条氏の挫折を描く。

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みんなのレビュー4件

みんなの評価4.5

評価内訳

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圧巻の手法

6人中、6人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:ふぅみん - この投稿者のレビュー一覧を見る

戦国時代末期に「関東統一」を目指した小田原の北条氏。織田信長や徳川家康と同盟関係を築きながら、佐竹氏や宇都宮氏など関東の諸勢力と激しく対立した。北条氏政・氏直父子は、軍事的には敵対勢力を追い詰めることに成功したが、しかし結局は豊臣秀吉によって滅ぼされてしまう。すなわち、本書では、関東覇権をかけた天正十二年の「沼尻の合戦」の実態に迫りつつ、同時期の「小牧・長久手の戦い」との関連を考察するなど、戦国時代末期の中央と関東の政治的状況を明らかにする。約850通もの戦国武将たちの手紙を解読し、従来ほとんど知られなかった関東の覇権争いの実態を分析してゆく手法は圧巻である。

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研究本

0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:七無齋 - この投稿者のレビュー一覧を見る

天正5年から小田原開戦までの経緯を北条氏中心に研究した秀逸な本。沼袋合戦や名胡桃問題、小幡信定と原一義の友情など読みどころがたくさんある。丹念に資料を研鑽した良書である。

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小牧・長久手の戦いと連動した北関東の争乱

0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:aya - この投稿者のレビュー一覧を見る

北条氏と佐竹・宇都宮連合軍が激突した「沼尻の合戦」に、はじめて焦点を当てた本。新書ながら、史料を丁寧に読み込み客観的かつ論理的に史実を再現しようとしており、とても信頼性が高い。同時期に中央で繰り広げられた「小牧・長久手の戦い」との関連が丁寧に記述・論考されているのもよい。

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関東戦国史は宝の山かも

11人中、11人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:やすのり - この投稿者のレビュー一覧を見る

 先入観とは怖いものだ。滅亡時の経緯が極めてお粗末(に見える)ことから氏政、氏直父子については愚かで無能という印象が一般的。浮かんでくるエピソードも、汁かけ飯に小田原評定ではどうにもならない。
 しかし冷静に考えてみれば、北条家の勢力を過去最大まで拡大した氏政、氏直父子が単なる愚か者であるはずがない。例えば近隣の大名家と比べてみても、今川、武田は滅亡。上杉にしても御舘の乱により勢力範囲は大幅に縮小している。
 とは言っても具体的にどんな経緯で勢力を拡大していったのか?内政、軍事、外交においてどんな活動を行っていたのか?ということを知る機会はほとんど無かった。
 本書では二人の業績が時系列に沿って丁寧に紹介されている。信長との関係では、下手にでつつも独自性確保を狙う、したたかな駆引きを見せているし、秀吉台頭時の上方情勢についてもそれなりに把握、家康を仲介として最低限の交渉は行っている。軍事活動も活発で調略も交えつつ着実に勢力を拡大している。その過程では奥羽や出羽の諸勢力との連携や対立もあり、活動範囲は思いの外に広い。
 これらのことは専門的に戦国時代史に関わっている人々にとっては常識に属すことなのかもしれない。しかし本書は、私のように小説やマンガ、テレビ、ゲーム等から歴史への興味を深めた人間にとっては氏政、氏直父子ひいては北条家の歴史的位置付(上方との緊張あふれる関係性)に関するイメージが一新され、関東戦国史に対する関心を呼び起こすきっかけになると思われる。
 表題にもある「北条の夢」については新書という性格上、実感的に捉えづらかったというのが正直なところです。それについては、「北条氏康(菊池道人著 PHP文庫)」などもあわせて読むことで補足できるのではないでしょうか?

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