野生のオーケストラが聴こえる サウンドスケープ生態学と音楽の起源
著者 バーニー・クラウス (著) , 伊達淳 (訳)
サウンドスケープ生態学のパイオニアである著者が、生物たちと自然環境がつくる色彩豊かな音響の意味を明らかにする。
70年代に音楽業界から転身して自然音の傑出した録音収集家となったクラウスは、生物が織りなすサウンドスケープの意味を探るうち、音響にもとづく生態学の可能性を切り開く一つの仮説にたどり着く。さらに野生のオーケストラと音楽の起源の関連を追って、彼の関心はさまざまな民族文化へも分け入っていく……。
音響学、音楽史、民族学をはじめとする幅広い観点を取りこみながら、生物群が奏でる音響の構造や音楽の起源を浮かびあがらせる議論は、各方面の専門家から注目を集めている。4500時間分もの音風景(生物種数にして15000種に及ぶ)を収集してきた蓄積が、著者の洞察を支えている。
祖先がかつてもっていたであろう、自然の音風景の音楽的構造を感じとり、それに調和的に参加する能力は、西洋文明の発展にともない衰退の一途をたどったと著者は指摘する。そしていまや私たちは自然の音風景の圧倒的な破壊者となのだ、と。クラウスが40年間に音録した自然環境の半分以上は、すでに地上から失われてしまった。
本書の終わりに著者の視線は、人間と自然の音の関係を根本から構築し直すという遠大な目標へと向けられている。環境音への私たちの認識を一変させる、必読の書。
野生のオーケストラが聴こえる サウンドスケープ生態学と音楽の起源
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