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オーディンの鴉
著者 福田 和代
不可解な遺書を残し、閣僚入り間近の国会議員・矢島誠一は謎の自殺を遂げた。真相を追う特捜部の湯浅は、ネット上に溢れる矢島を誹謗する情報を目にし、匿名の人間による悪意に戦慄を覚える。やがて、彼にも差出人不明の封筒が届きはじめ……。
オーディンの鴉
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オーディンの鴉
2016/11/08 23:47
実にスケールの大きな巨大データシステムの恐怖を巧みに利用した推理ものでした。
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投稿者:ナミ - この投稿者のレビュー一覧を見る
実にスケールの大きな巨大データシステムの恐怖を巧みに利用した推理ものでした。標題でもある「オーディンの鴉」とは「北欧神話の最高神オーディンの肩にとまる、フギンとムニンと呼ばれる2羽の鴉のことであり、この鴉たちは世界中を飛び回って情報を集めてくるのである。」(P-153)。本作で出てくる「オーディンの鴉」は、アメリカで実在すると言われている“エシュロン”や“カーニボー”といった通信傍受システムをもっと進化させた概念のもので、電子情報はもとより、カード情報や防犯カメラ情報まで全て利用可能なシステムであり、多数の有力者と多数のデータシステムが複合的に組み合わされた巨大データシステムである。余りにも巨大なシステムゆえ、その実態は把握しにくく、本作に登場する瓶子剛造や平田次席検事もそのシステムの一構成要素に過ぎないものである。余りに壮大で空想的システムのため実在しないものとして闇に葬られて終わるが、「オーディンの鴉」は潜伏しただけで生きているのである。これは是非続編が欲しい作品ですね。