- みんなの評価
1件
焼け野の雉
著者 梶 よう子
わけありの夫・羽吉と離縁し、飼鳥屋を営む女主人のおけい。九官鳥・月丸との暮らしも順調なある日おけいは大火に見舞われる。何とか逃げ延びお救い小屋での生活が始まるが……。江戸に生きる人たちを鮮やかに活写し、幸せとはなにかを問う傑作長編小説。
焼け野の雉
ワンステップ購入とは ワンステップ購入とは
この著者・アーティストの他の商品
前へ戻る
- 対象はありません
次に進む
焼け野の雉
2023/05/10 05:56
『ことり屋おけい探鳥双紙』続編
1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:くみみ - この投稿者のレビュー一覧を見る
『ことり屋おけい探鳥双紙』続編。一人で飼鳥屋を営む女主人に次々と降りかかる災難。大火に見舞われ、大切なものを失った主人公の、心の葛藤と生命の息吹を描いた目映い時代ミステリ。
繊細な小鳥の描写がとても可愛くて癒された。鳥の習性や扱い方なども勉強になり、命を飼う事の責任を考えさせられた。
被災者が集まる「お救い小屋」で、標的を作り攻撃し、フラストレーションを解消しようとする弱さ。時代に関係なく、人の脆さとエゴに嫌気がさした。立場が同じなら自分も流される可能性があると怖くもなる様なリアリティがあった。醜い諍いの他にも事件など憤るシーンが多いけれど、それ以上に「心の成長」が力強く描かれていて、躓きそうな心に寄り添う温かさを感じた。
淡い恋模様や、築かれた人の縁など、まだまだ先を見たいと思う人情溢れる作品。
九官鳥の「月丸」と、子供ながらに正しさを追求する「長助」が、特にお気に入りのキャラクター。