- みんなの評価
1件
質的社会調査の方法――他者の合理性の理解社会学
「他者を理解する」とは、どのようなことなのだろう。社会調査がますます重要視されるなか、第一線で活躍する研究者が手の内をすべて明かし、質的調査の醍醐味を伝える。初学者から一般読者まで、読みながら熱気とおもしろさを体感できる、新しい教科書。
質的社会調査の方法――他者の合理性の理解社会学
ワンステップ購入とは ワンステップ購入とは
この著者・アーティストの他の商品
前へ戻る
- 対象はありません
次に進む
質的社会調査の方法 他者の合理性の理解社会学
2017/06/09 20:14
質的調査というか、社会学や文化人類学の初学者にもぴったり
4人中、4人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:miyajima - この投稿者のレビュー一覧を見る
「断片的なものの社会学」が面白かったので、同じ著者が書いている資質的調査の本を見つけて早速購入。
本書で扱われる質的調査は「フィールドワーク」「参与観察」「生活史」の3つ。私としては質的分析というのは要するにノンフィクションとどう違うのかという点について、あまり確固たるものが持てないままでしたが、本書を読んである程度納得。
要するに質的社会調査を社会学という学問を支えるものとしているのは、それが私たちと縁のない人々の不合理に見える行為の背後にある理由(これが「他者の合理性」といわれるものです)を誰にでもわかる形で記述し解釈することにあるというのです。
「特定の状況下におかれた特定の人々についての解釈」を続けることで、仮説や命題の形に収まらないけれど、当事者の体験が量的調査では見えてこない、それまでの思い込みを覆すような視点を提供してくれることになるのことがあるというわけです。
誰かを観察したり、その人の生活史に耳を傾けることで、特定の社会問題の背景知識を得て(歴史と構造」)、その社会構造についての新しい見方を獲得する(理論化)というのが社会学を意味づける手段としての質的社会調査ということなのですね。
初学者向けの本なので、依頼書の書き方とかレコーダーの扱い方といった実に基礎的な事から始まるので、質的調査だけでなく社会学や文化人類学の初学者にもぴったりなのではないかと思います。何より、本書に挙げられた推薦図書がどれもおもしろそうなので、少なくとも買ったままで読んでいない本は読んでみようと思いました。