- みんなの評価
1件
テスカトリポカ
著者 佐藤究(著者)
心臓を鷲掴みにされ、魂ごと持っていかれる究極のクライムノベル!メキシコで麻薬密売組織の抗争があり、組織を牛耳るカサソラ四兄弟のうち三人は殺された。生き残った三男のバルミロは、追手から逃れて海を渡りインドネシアのジャカルタに潜伏、その地の裏社会で麻薬により身を持ち崩した日本人医師・末永と出会う。バルミロと末永は日本に渡り、川崎でならず者たちを集めて「心臓密売」ビジネスを立ち上げる。一方、麻薬組織から逃れて日本にやってきたメキシコ人の母と日本人の父の間に生まれた少年コシモは公的な教育をほとんど受けないまま育ち、重大事件を起こして少年院へと送られる。やがて、アステカの神々に導かれるように、バルミロとコシモは邂逅する。
テスカトリポカ
ワンステップ購入とは ワンステップ購入とは
この著者・アーティストの他の商品
前へ戻る
- 対象はありません
次に進む
2024/10/03 15:51
惨さと快感と
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:ふみちゃん - この投稿者のレビュー一覧を見る
ネタバレ
第165回直木賞受賞作品、タイトルの「テスカトリポカ」はアステカの神殿に祀られている神、夜空の神、神々の中で最も大きな力を持つとされ、ナワトル語を直訳すると tezcatl (鏡)、poca (煙る)「煙を吐く鏡」という意味になる、黒曜石の鏡のことを示す。殺人が3度の飯よりを好きだという、身の毛もよだつような人間が多数登場する、子供の心臓を超富裕層に売ることによってから巨額の金を得るという獣のような連中(彼らは最終的には神の生贄にされるのだが)、それは「われらは彼の奴隷」だから。殺人に手を染め始めたコシモの身を案じるパブロの姿が切ない、それを留めらないわが身の歯がゆさ、どうしても私もあいつ等が許せなくなる(でも途中でそのあまりにも切れ味のいい殺人にすかっとしてしまったことも事実だが)