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バクマン。 カラー版
【デジタル着色によるフルカラー版!】一握りの者にしか得られない栄光を手にするため、険しい“マンガ道”を歩む決意をした二人。高い画力を持つ真城最高と、文才に長ける高木秋人がコンビを組み、新たなマンガ伝説を創る! 新時代成功物語開始!!
バクマン。 カラー版 20
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バクマン。 1 (ジャンプ・コミックス)
2009/02/28 21:58
非現実的なほど恵まれた彼らに明日はあるのか!?
15人中、13人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:空蝉 - この投稿者のレビュー一覧を見る
漫画、アニメ大国であるこの日本において漫画家になりたいと願う少年少女は数多い。そしてそう夢を抱いた若い芽が、画力を磨きストーリーを練り周囲の反対を押し切って漫画家になるまでのサクセスストーリーを描いた作品は過去にもいくつかある。 簡単にあらすじを述べれば本書「バクマン」もその一環に収まってしまうかもしれない…が、決定的に違う点が一つある。
歴代の漫画道マンガが「ありそうな話」であればある程読者の心を捕え共感と希望を膨らませてくれるのに対し、この漫画はその逆から始まるのだ。
主人公の中学生サイコー(最高)はアニメ化したギャグ漫画の原作者を叔父に持ち飛び抜けた画力の持ち主。クラスメイトの秀才・シュージン(秋人)はサイコーの画力と「頭ガイイ」点に目をつけ、作&画コンビで漫画家になろうと詰め寄る。 一方サイコーの想い人は声優を目指す夢見る可愛い子ちゃん(死語)で、漫画家になったら結婚する約束までこぎつけた。さらに彼女の母親と叔父は両想いながら結ばれなかった過去を持っていた…
と、良く言えばドラマチックに運命的で、悪く言えばこの上ないご都合主義の偶然の上に成りたっているストーリーである。彼らは親の反対も恋の挫折も金や環境の心配すらない、いや、かなり恵まれた環境からスタートを切った。 時折見せる漫画専門用語や業界事情が現実的ではあるが、どこまでも「ありえね~っ!」と言いたくなるくらい、ありえない。
けれどここまで気持ちよく恵まれたスタートを切ってくれると、どん底からのレベルUP&サクセスストーリーを見慣れた読者としては今後の展開が逆に全く読めない。彼らがどういう風にどれだけ悲惨な困難を迎え落ちていくのか、現実味がないだけに予想できないのだ。
『DEATH NOTE』で一世を風靡した著者だが死神の力を持ちながらも破滅した前作同様、彼らに明るい未来はあるのか否か?今後も目が離せない。
バクマン。 11 (ジャンプ・コミックス)
2011/02/11 21:42
フィクションとノンフィクション
8人中、8人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:エリック@ - この投稿者のレビュー一覧を見る
週刊少年ジャンプ連載。
かつて「DEATH NOTE」で社会現象を巻き起こした大場つぐみ・小畑健のコンビが繰り出す『漫画家マンガ』の傑作。
物語の概要としては、将来の夢もなくただ漠然とした学生生活を過ごしていた中学生・真城最高が、同級生の秀才・高木秋人に刺激され、週刊少年ジャンプに連載できる人気プロ漫画家になるため奮闘するというもの。
『漫画家マンガ』とは、主人公が漫画家で、作品自体も漫画業界が舞台となっているジャンルを指し、これまでも数年サイクルでこのジャンルの作品は出現している。しかし、過去の『漫画家マンガ』はムーブメントを生み出すほどのエネルギーはなく、数あるジャンルの中の一つの泡沫ジャンルという扱いで、読者には読み流されてきた経緯にある。
そこにきて本作「バクマン。」の登場だ。
本作ほどにフィクションとノンフィクション、或いは漫画業界の虚と実を、徹底的に織り交ぜて物語を展開し、かつ面白く読ませる『漫画家マンガ』は他にないと言っても良いだろう。
シリーズ第1巻こそ、連載開始初期ということで「主人公の相方となる高木秋人が、脈絡なく『漫画家になろう!』と主人公に持ちかける」であるとか「主人公の漫画が連載されアニメ化されたならば、ヒロインと結婚できる」など、いかにも漫画的で唐突感のある話で満ちている。
だが、それ以降は、中学生で尚且つ漫画執筆経験のない主人公が工夫を凝らしながら原稿を仕上げていく様子であるとか、実際に完成した原稿を出版社に持ち込んだ際の担当編集との折衝内容等、妙にリアリティの高い、生々しいやり取りが描かれている。
現在も絶賛連載中の本作であるが、人気の高まった要因の一つには、上記の通り、「フィクションとノンフィクション」をバランスよく組み合わせていることが挙げられるだろう。
例えば、「漫画雑誌である週刊少年ジャンプについて、どういう流れで連載が決まるのか、どういう流れで連載が打ち切られるのか」というルールについて、本作中でも詳細に描かれているが、その内容は『実際の少年ジャンプについても同一のルール』である。
「実際の週刊少年ジャンプの連載ルールを漫画の中で明らかにして良いのか?!」と読者は一様に驚きを持ちながら本作を読み進めたものと推測される。そういった驚きこそが、「もしかするとこの作品は業界の実態を描いている物語なのではないだろうか」という良い意味での疑念を読者に抱かせることに成功した要因と言えるだろう。
勿論、実際の週刊連載については、本作で描かれているほどに単純な話ではないだろうが、それでも全くの出鱈目ではないことも確かだ。
他にもノンフィクション要素としては、作中に登場する週刊少年ジャンプの担当編集者のコメントやアドバイスの存在が挙げられる。
それらの多くは本作の主人公たちへの助言という形で描かれているものの、そのあまりにも限定的でかつ的確なコメントを読んでいると、見方を変えれば『主人公たちと同様、今、まさに週刊少年雑誌への連載を狙っている新人漫画家たちへのアドバイスなのではないか』と思えてしまう。ややもすれば穿ちすぎた見方であるが、そういう捉え方も、作品の楽しみ方としてはアリだと思う。
本来、虚構の世界の存在に過ぎない登場人物たちが、時折、実感の篭められた肉声を放つ瞬間があり、それらが読者を作品に引き込む大きな魅力の一つとなっている。
当然のことながら、本作は少年漫画である。
単にリアリティがあるから持て囃されているのか、というと必ずしもそうではなく、少年漫画らしくライバルあり、恋あり、涙ありと、漫画としての王道も漏らさず盛り込まれている。ジャンプ伝統の「友情」「努力」「勝利」を現代版に翻訳し、密やかに作中に反映されている点も見逃せない。
ともすれば青臭い演出も、漫画を盛り上げるために必要なフィクションだ。それを恥ずかしがることなく、全面に出していることは爽快ですらある。
また、フィクションといえば、作画作業それ自体もそうだ。
原作・大場つぐみの世界を、作画・小畑健が見事に昇華している。作画の凄みがどの程度発揮されているかについては、コミックス各巻の各話間の余白ページをご覧いただきたい。原作ネーム(作品の絵付きシナリオの様なもの)を実際どのように作画したのかという、Before・Afterがはっきりと掲載されている。
アノ原作ネームが、この完成原稿になるのかというという驚きも、この作品の楽しみ方の一つと言えるだろう。
まとまりなく複数の要素を書き連ねたが、上記内容こそが、『漫画に必要なフィクションと上述のノンフィクション要素とを自然に組み合わせている点こそ本作の妙』と評する所以である。
少子高齢化の影響もあってか、週刊少年誌については各誌とも、少年誌の名に反して年々対象年齢が高めの作品を送り込む傾向にある。
本作は少年少女にとっても興味を持って読める内容になっているし、私のように少年誌の対象年齢ではない年齢層からしても、一社会人目線で漫画業界を知るという意味で、また違った楽しみ方の出来る作品だと思う。
蛇足であるが、本作シリーズは「このマンガがすごい!2010(宝島社)」において栄えある1位を獲得した作品でもある。
「世間で認められたメジャーな作品は好きではない」という斜に構えた見方も当然ありえるが、変な先入観や予断は捨てて、多くの人たちにこの作品を読んで欲しい。
メジャー誌から、しかも、王道バトルマンガ以外のジャンルで自信を持って推薦できる作品はそうはない。
原作者の実話を基にした実録マンガではないからこそ、原作・作画の両氏の実力があらん限りに振るわれていることが分かる。
『計算型』漫画家の渾身の一作を是非。
バクマン。 1 (ジャンプ・コミックス)
2009/02/05 13:08
平成の「まんが道」キター!
6人中、6人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:ぱせりん - この投稿者のレビュー一覧を見る
藤子不二雄Aの「まんが道」は、唯一無二の作品だと思っているので、あれを超えられる作品は今後出ないと思っているのですが、平成の今だからこその「まんが道」、期待してます。
神絵が進化しているのに驚きました。
あのレベルでも常に絵柄を模索しているのですね。
「DEATH NOTE」の頃より、ちょっと漫画絵っぽくなっています。
髪の毛の照りとかデザインっぽい。
女の子のかわいさもUP。
個人的には女の子は桂正和っぽいなあと思いました。
おまけとして大場ネームと小畑ネームが載っていたのですが、今まで私は小畑は絵がうまいだけと思っていたのですが、漫画がうまいのですね。
大場ネームより明らかに小畑ネームのがわかりやすく面白くなっている。
なるほどねえ・・・。
すごく情報量が多い漫画で読むのに時間がかかりましたがとても面白うございました。
でも、最初のスタート以前からめちゃくちゃ恵まれているのがイマドキなのですかねえ。
おじさん蔵書の古い漫画発掘から、梶原一騎たちの再評価につながればいいなあ、と思います。