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7件
東京BABYLON[愛蔵版]
著者 著者:CLAMP
「あなたは東京がきらいですか?」除霊を生業とする陰陽師・皇昴流が、東京を舞台に事件を解決。彼を支えるのは双子の姉・北都と、暗殺集団の跡取りという顔を隠す桜塚星史郎――。CLAMP初期代表作を愛蔵版で!
東京BABYLON[愛蔵版](3)
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東京BABYLON 3 愛蔵版 (単行本コミックス)
2016/09/29 00:23
桜塚星史郎の、狂気の恋の結末
4人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:星月夜 - この投稿者のレビュー一覧を見る
ネタバレの感想になります。
北都ちゃんが『どこか遠くに行ってしまわないで』と告げるのが、切ない。
「貴方もその人も辛い経験をなさったんです
今度は二人一緒に『ペア』で幸せにならなければなりませんよ」
という台詞が、X17巻の星史郎の願いに繋がっていて、切ない。
昴流はやっと、星史郎に嫌われたくない気持ちに気付くが、
好きな人に嫌われる怖さは、SECRETで既に星史郎も感じている。
暗殺術の逆凪に、昴流の好きな動物を使っていたことがSECRETの一つ。
鈍感なのは昴流のほうだろう。
天使の昴流が、暗殺者と知らず、悪魔の星史郎を好きになり、堕天使にされてしまう。
昴流の左手に、赤い血と桜の花びらが落ちてくる。
見上げた時が、悲しい初対面。報われない恋の始まりだった。
本来、見られたら殺さなければならない状況で、
殺害場面の記憶を消し、話しかけ、一心惚れしてしまう。
「桜の下にいる人たちは苦しくないんですか?」の一言で。
「君と僕がまた出会えたら
一年間だけ一緒に過ごしましょう
君は僕と正反対の『心』を持っている
優しくて純粋で誠実で
きっと『君』はそのまま大人になるでしょう
その『綺麗』な『心』のまま」
もう既に、僕より『君』が先に来ている。僕より、昴流『君』を優先している。
暗殺現場を見られた星史郎が、恋に落ちた瞬間の、美しくて切ない告白。
星史郎は、昴流の容姿ではなく、『心』を『綺麗』と告白している。
中身に惚れたのは、強い気持ちで揺らぎがないと思う。
そして星史郎は、印を刻む前の9歳の昴流だけを『君』と呼ぶ。
この『君』と『貴方』の使い分けは、X16巻の最期の告白にも繋がっている。
つまり「『桜』の下で」出会った時から、昴流『君』を愛していたのである。
では、星史郎が一心惚れまでするきっかけになった、昴流の言葉の意味は?
「桜の下にいる人たち」とは、死体ではなく、陰陽師の二人を指していると解釈する。
本当は暗殺業に苦しんで、 何も感じないと言い聞かせていたのだろう。
「特に」何も感じないと言うのは、何かを感じているから。
桜塚護の継承式の秘密を明かし、昴流を桜の十字架にかける態度から、
桜塚護を終わらせようと必死なのが伝わる。
それに、暗殺のプロが、病室で昴流を殺める気はないだろう。
ボコった後の昴流を看護婦に助けて欲しいとまで考えていたかもしれない。
右腕を折ったのも、北都ちゃんに危機感を与え、最期の術をかけさせる為。
昴流の利他的な優しさは、星史郎には残酷だったのかもしれない。
暗殺者の自分は昴流と一緒に生きられないのに、勇弥くんの中で昴流の腎臓が生きることに嫉妬したから、
内臓から血が出るまでボコったのかもしれない。
それに、愛してもいないと嘘を言うのは、愛する自覚があるから。
包帯を巻いた状態でそんな嘘を言っても、かなり苦しい。
星史郎が裏切ったのは、昴流を愛する自分の気持ちと、
『昴流をどこか遠くに連れて行かないで』と頼んだ北都ちゃん。
昴流が病室で握った左手で、暗殺術などかけられる筈もなく。
昴流の心だけ術で攫い、鏡の中に閉じ込める。
最後に、またもや昴流の左手に花びらが落ちる。
桜塚護を終わらせて、『真白』な『桜』を咲かせて欲しいと告げるように。
昴流の為に右目を失明し、殺めた北都ちゃんを抱える、狂気の星史郎。
青年に成長した昴流が桜塚護を終わらせようと決意する最後、
背景の団地に散る花びらは、『真白』な『桜』だろうか。
星史郎の報われない狂気の恋の果てに辿り着いた、
三人の結末が、哀しくて切なかった。
東京BABYLON 1 愛蔵版 (単行本コミックス)
2015/12/19 21:37
東京タワーでの「本当に」好きって
3人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:星月夜 - この投稿者のレビュー一覧を見る
東京タワーでの星史郎の告白を描いた BABEL。
星史郎と昴流の、桜の下での運命の出会いを描いた DESTINY。
この二話が、東京Babylonの中で最も好きな話。
昴流と星史郎の関係が、切なく描かれているから。
ここからはネタバレの感想になります。
夜景のきれいな東京タワーで、星史郎が昴流に告白する場面は、最終巻での星史郎の態度を思うと切なくなる。
「とても理不尽なことだけど、
『好き』という感情だけじゃどうしようもないことが、
この東京にはたくさんあるんです
どれほど強く想っても、どうすることもできない…」
この台詞は、ただ、かずえさんの霊を思って語るだけではないだろう。
星史郎が昴流を想う気持ちも含めて、告白していると解釈する。
その告白に対し、
「どうして人間は『好き』なんて感情を持つんですか」と、幼い昴流は問う。
それに対し、星史郎は本心を告白する。
「寂しいからですよ
『好き』という感情さえあれば、『夢』が見られます
『夢』もなく生きてゆけるほど人間は強くないんです
でも僕は本当に昴流くんが『好き』ですよ…」
この時の星史郎に、寂しいという感情があったのだろう。
既に、昴流を『好き』と自覚していたのだろう。
でも、昴流をどれほど強く想っても、桜塚護である以上、どうすることもできない。
星史郎にとって生きることは、人を殺め続けることだから。
では、何故わざわざ、「本当に」好き、と告白するのだろうか?
一巻だけ読んだ時には、「本当に」と付け加える意図が分からなかったが、最終巻を読んで、その謎が解けた。
この「本当に」は、Babylon最後の星史郎の裏切りに繋がるから。
東京タワーの時から、一年後に「愛してもいない」と嘘を付いて、
殺されて暗殺業を終わらせる道も考えていたのだろう。
そう考えると、「本当に」好きと告白する意図が納得出来るのである。
最終巻であのような態度に出る星史郎だが、
どれほど昴流を強く想っても…と東京タワーで告白して、昴流を『好き』だと自覚していない筈がない。
既に東京タワーの時点で、昴流を『好き』で『特別』な気持ちが、切々と伝わってくる。
更に言えば、東京タワーの時ではないだろう。
DESTINYで言うように、池袋駅で再会した時ではなく、
9歳の昴流『君』と「桜の下で出会った時から」。
昴流に殺されて桜塚護を終わらせる事を考えていたに違いない。
この出会いの場面は、X16巻の最期の隠された告白に繋がっている。
DESTINYで、星史郎は見逃す代わりに賭けをする。
「桜の下にいる人たちは苦しくないんですか?」という昴流の一言で。
この一言で、昴流の優しい心に、一心惚れしたのだろう。
その賭けの意味とは何だろうか?
『賭け』は、表の皇の昴流が消える事、
『賭』は、裏の桜塚護の星史郎が消える事を意味していると思う。
星史郎の命を『賭(と)』して桜塚護を終わらせるから、『賭』。
どちらを選んでも、星史郎は出会った時から昴流に惹かれていた。
SECRET以降、星史郎は自分が消える『賭』を選んでいる。
桜の下で、二人が出会った場面の悲しさは、まだDESTINYには仄かに漂うだけで…。
梶井基次郎の小説を題材にしているのだろう。
何故桜の木の下に死体が埋まっているのか、記憶を消された昴流にはまだ分からない。
DESTINYで見逃したのは、昴流に一心惚れしたから。
出会った時から、一年しか一緒に生きられない、報われない狂気の恋。
暗殺者星史郎の、報われない恋心が、BABELとDESTINYから伝わってきて、
何度読んでも、切ない。
2021/05/05 14:36
ヒェーーーー
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:ひとみん - この投稿者のレビュー一覧を見る
この3巻で終わりですか!!!この続きがXですか!!!!CLAMP最高です!!!!