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17件
少女ファイト
「あの日から、友達は作らないって決めたんだから」大石練(おおいしねり)・15歳。バレーボールの名門・白雲山(はくうんざん)学園中等部に在籍。練はずっと自分を抑え続けていた。小学校時代に全国大会で準優勝したチームのキャプテンであったほどの実力を隠しながら。集団スポーツの中で、自分を殺さなければいけない理由は――。それでもバレーを辞められない想いとは――!! バレーボール群像劇スタート!
少女ファイト(18)
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少女ファイト 1 (イブニングKCDX)
2006/08/14 23:34
「イブニング」で一番気になる作品
7人中、7人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:GAWA - この投稿者のレビュー一覧を見る
講談社のコミック誌「イブニング」には、「もやしもん」や「さくらん」や「極悪がんぼ」といった個性的で魅力あふれる作品群が連載されている。立ち読みで済ますことができないので「イブニング」だけは買っている。
そんな「イブニング」連載作品の中で今一番続きが楽しみなのはこの「少女ファイト」である。
主人公は中学三年(女子)で、「イブニング」の読者層とはずいぶん世代が違うのだが、連載の第一回ですっかりひきこまれてしまった。
小6のときにバレーボールの全国大会で準優勝したチームのキャプテンという実力の持ち主でありながら、いまではスポーツ採用の私立中学で球拾いや洗濯などの雑用にこき使われるバレー部万年補欠の3年生というのが主人公の大石練。
この主人公、過去にいろいろとトラウマというか因縁というかなにかひどく重たいものを背負い込んでいるらしいということがほのかに示されたのが第一回。
それ以降、徐々に明らかになっていく練の過去と、次第に練が苦境に陥っていく展開に目が離せなくなっていった。
練が個性豊かな周りの登場人物とどう絡んでいくのか、そしてどう這い上がっていくのか、続きが気になる作品である。
少女ファイト 2 (イブニングKCDX)
2007/06/11 11:00
それしか描けないんだろ?
7人中、6人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:AQUIZ - この投稿者のレビュー一覧を見る
少々非現実的な学園、命懸けで漫画を描く少年。今度はバレーボールだ。
暑苦しい熱気は、一歩踏み外すと「マンガ」であるだけに、虚構だからと白々しく、魔法の世界ほどには現実との相違が無いことが、余計に大人を萎えさせる。
ヨヲコ漫画で描かれる少年少女には、もっと楽で安全な道がいくらでもある。安っぽい剣を握らされて、魔王を倒して来いと送り出される勇者たちと違う。
例えば、主張せず、こだわらず、無難に日々を過ごすことだけに邁進すれば良い。
なのに、少年少女は必死に生き抜かなくてはいけない道を進む。立ち止まったり、脇に逸れたり、逆戻りすれば命が終ってしまうように。実際、そこで彼らの生涯は終るのだ、多分。
後は抜け殻のように(一見すれば解放され楽に)生きていくだけ。
少女たちの前にあるのは、バレーボールじゃなくても構わなかっただろう。
この世にある、何だって良かった。
どんなことでも、気楽に接することは安全で簡単だ。成功者だけを称えるのも、揚げつらうのも極めて簡単だ。しかし、ヨヲコ漫画の少年少女は、闇雲に熱く必死だ。
有り得ない、馬鹿らしい、と、嘲笑する隙も与えないほどに。
学園物、青春物、と括るのは容易いし、強ち間違ってさえもいない。
日本橋ヨヲコという作家は、結局のところ「それ」しか描けないのでは無いかとも思う。
例え、老人やロボットを主人公に据えたって、同じ「それ」しか描けない。
日本橋ヨヲコの漫画は、どれもこれも、みんな同じだ。
なあ、「面白い漫画」しか、描けないんだろ?
少女ファイト 6 (イブニングKCDX)
2009/11/08 00:23
いま1番好きなマンガ
5人中、5人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:MESSY - この投稿者のレビュー一覧を見る
待ちに待った第6巻。期待は裏切られず、5巻までと同じように何度も読み返しています。
どうしてこんなに好きなんだろう?いろいろ考えてみました。
最初に「読んでみるか」という気になったのは、シンプルだけど力強く、しかも不思議でさえある題名に魅かれたからです。次いで1巻の表紙をみて、力強いけど美しい絵柄に魅かれました。
それからは読めば読むほど好きになっていきました。
まず登場人物たち。中心になるのは高校1年生の女子バレー部員たち6人ですが、それぞれに心に抱えている傷を乗り越えていく過程が丁寧に描かれており、感情移入してしまいます。
作者の芸の細やかさを感じさせるのが、6人の間の呼び方。日本人にとって(実は世界中のどんな民族でも多かれ少なかれそうではないかと思うのですが)相手をどう呼ぶかはその人との距離感を表す重要な問題ですが、作者はこの変わり方を(変わらないぶりも含めて)とても丹念に描くことで、登場人物の性格や距離感の変化を鮮やかに浮き彫りにしています。青年マンガですが、この辺のセンスは女性の作者ならではと思います。
物語はいかにもマンガらしい荒唐無稽なところがいっぱいありますが、それでも作者の強いメッセージが十分に補っていると思います。人と人の触れ合い、人としてのあるべき優しさ、といったことについて、作者は読者に盛んに語りかけていると思います。
もっとも、私は作者についてほとんど知りません。他の作品も読んだことがありません。偉そうにコメントできる立場ではないとも思いますが、それでもこのマンガは傑作だ、という気持ちはまったく揺るぎません。絵柄を含めて登場人物もストーリーも心に沁み込んでくる、そんなたぐい稀な傑作だと思います。
この6巻では、作者の自負も感じ取れました。作中で重要な役割を与えられている少年マンガを原作とした映画について、登場人物の一人に「女の子にこそ観てほしい」と言わせているのは、作者の本音だと思います。そういう意味では、私のようなおっさんが書評を書くというのは作者にとって不満かもしれません。
次の巻が出るのはまた先になりますが、とにかく楽しみに待ちたいと思います。マンガで次巻がこれほど待ち遠しいのは、今年刊行が再開した「西遊妖猿伝」くらいです(本当は中断したままの「カムイ伝」と「青龍」も出てきたら同じほど熱狂するとは思いますが)。