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54件
C.M.B.森羅博物館の事件目録
著者 加藤元浩(著)
CMBと刻まれた“3つの指輪”は「知の守護者」の証――神からの謎掛けに挑む!! 魅力的な謎と緻密なロジック、そして躍動するキャラクター! 『Q.E.D. 証明終了』の加藤元浩が繰り出す、ネオ・ミステリ!!
C.M.B.森羅博物館の事件目録(45)
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C.M.B. 4 森羅博物館の事件目録 (講談社コミックス)
2007/01/22 23:09
真実がもたらすもの
3人中、3人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:くまくま - この投稿者のレビュー一覧を見る
古代ローマの遺跡、フォロ・ロマーノで殺された遺跡調査員は、ユダヤの財宝を見つけた、という言葉を残した。その言葉に導かれて集まったのが…
イスラエルとマルタ騎士団。かつて領地を持たなかった国と、今なお領地を持たない国。古代ローマにまでさかのぼるユダヤ教とカトリックの対立が現代に悲劇をもたらす。この作品の中には、複数の対比軸が出てきます。
扱うのが危ういようなテーマを作品として完成させたのは見事だと思うけれど、軽々に扱いすぎのような気もします。信仰している人々に感想を聞いてみたいところですが…
ちなみに、マルタ騎士団の拠点は、ヴァチカンではなく、ローマにあるらしいです。
C.M.B. 16 森羅博物館の事件目録 (講談社コミックス)
2011/05/06 22:43
一言をきっかけとして歴史が引き起こす事件
2人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:くまくま - この投稿者のレビュー一覧を見る
ナスカの地上絵の一部を崩して、観光のために道路を建設しようという計画が持ち上がる。それに反対するスペイン人学者のサイードは、指輪の主として榊森羅をペルーに呼ぶ。しかし実際に会ったのはサイード博士の死体だった。
高いところはどこにもないナスカの地上絵付近での、謎の転落死。地元の人間は彼の死を喜んでいるようにも見えるのだが、森羅が解き明かす脅威の部屋にある真実とは?
インドネシアのバリ島に伝わるレヤックが引き起こした殺人事件や、学校の七不思議にまつわるちょっとした事件、盗品ブローカーのマウがはめられそうになる「クファンジャル」が収録されている。
ナスカの地上絵の事件のトリックはかなり壮大なものなのだけれど、事件が夜に起こったことを考えると、かなり無理がある気もする。しかし、この短編のキモはトリックにあるわけではない。その終わり方にある。以前もこんな終わり方をした話があったので、作者が描きたいテーマなのかも知れない。
本編から少し離れるが、マリア・ライヘは自分の生活を犠牲にしてナスカの地上絵を守ろうとしたから本当に尊敬されているのだと思う。もっとも、そんなことができる人は居ないから尊敬されるのだろうけれど。
C.M.B. 14 森羅博物館の事件目録 (講談社コミックス)
2010/06/19 16:16
権力が作る正義の姿
2人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:くまくま - この投稿者のレビュー一覧を見る
幻の蝶と20世紀のアルゼンチンの闇をつなぐ「ワールド・エンド」、日常の行き違いの原因を探る「すごろく」、司法浪人生が覗く愛憎劇「花屋の娘」を収録。2本目、3本目はどちらかというとQ.E.D.で扱いそうなテーマという気もするので、1本目が個人的には好き。
世界に八頭しかない幻の蝶"ポンテンモンキチョウ"の9頭目の写真を辿り訪れたアルゼンチンで、森羅たちは1976年の汚い戦争で行われた軍事政権による民衆弾圧の後遺症に巻き込まれていく。
法は権力を縛るのが理想だと思うけれど、権力による暴力を正当化することだってできる。そしてそういう時代が生み出す異常な状況は、普通の人を怪物にしてしまう。
エンディングにあるのは勧善懲悪ではなく、権力が作る正義の姿。

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