夢喰い探偵―宇都宮アイリの帰還―
著者 義元ゆういち(著)
病弱な少女を元気づけるため……国谷一力(くにや・いちりき)が幼き日に交わした約束――「元気になって、名探偵になろう!」その言葉は高校2年の春、現実のものとなる。美しく成長した少女・宇都宮(うつのみや)アイリが一力のクラスに転校してきたのだ。そして……少女は少年に向け、高らかに宣言する……「さあ、探偵を始めようじゃないか!」学園青春ミステリー、ここに開幕!!
夢喰い探偵―宇都宮アイリの帰還―(1)
ワンステップ購入とは ワンステップ購入とは
この著者・アーティストの他の商品
前へ戻る
- 対象はありません
次に進む
夢喰い探偵 3 宇都宮アイリの帰還 (月刊少年マガジン)
2016/12/05 17:59
探偵になる前に
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:求道半 - この投稿者のレビュー一覧を見る
病弱な少女に恋した本屋の孫の進路は、その娘と探偵になるか、それとも店を継ぐかで定まらず、二足のわらじと言う選択肢も有り得るが、本編で結論が描かれる事はなく、全三巻で自称探偵の女子高校生の物語は幕を下ろす。
高校生活の一時期に起きた、器物損壊、木の伐採反対運動、新刊書籍への書き込み、校内ポスターの異変、お化け屋敷の探検、文化祭の妨害、失踪者の遺体発見、商店街での架空発注の多発、そして窃盗などの事件を解決した少女は、病の再発に備えて、再手術を受けねばならない。
対立組織から命を狙われる訳でもなく、いつでも話を切り上げられる筋であるからして、どのような結末を迎えたとしても違和感は生じないが、全三巻での完結と最終話での新たな冒険の成り行きを考えると、病が完治していない少女が失神時に見る走馬灯で事件の真相を暴く設定が、そもそも必要であったのか疑問が残る。
最終巻には、町の地図や二人の簡単なプロフィールが幕間に挟まれ、作者のあとがきから今後の構想も練られていたと推察するが、読みやすさの裏返しの平板な画面構成や間延びした事件の経緯と推理の展開が、多数の読者を獲得出来なかった理由の一つであろう。病床でのパジャマ姿からの着替えに代表される性的な描写も中途半端で、ソックスの柄の黒への固定化も魅力を減ずる一因となった。
それでも次回作の発表を待ち望む出来栄えであるのは間違いない。
夢喰い探偵 2 宇都宮アイリの帰還 (月刊少年マガジン)
2016/06/08 17:12
惚れた弱み
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:求道半 - この投稿者のレビュー一覧を見る
第一話で探偵になり、名探偵を目指す女子高校生とその助手の男子高校生の活動は、一学期末から夏休み中の校内や近隣住宅地で起こる、ちょっとした迷惑行為を対象として、その解決に寄与するが、その内容は自称探偵となし崩し的に助手にされた高校生に相応しく、遊びの域を脱しない。
ただ、前巻の末尾から登場し本巻では不審者として扱われた刑事の存在が、国谷少年を内発的に探偵稼業に関わらせ、二人が一丸となって未解決事件に取り組む決意を固めさせる契機になった事により、今後は同好会的な安直さから離れ、警察と同等以上の活躍が期待できる。
刑事だけではなく、一巻では端役に過ぎなかった名無しの人物がオカルト研究会の部長である等、探偵アイリの過去と現在を繋ぐ様々な人物や出来事が、単純な一話完結の探偵物語の裏で複雑に絡まり、少しずつ話が広がり始め、最終的にどのような形で結実するのか予想がつかず、二巻までは序章に過ぎないと考えた方が良さそうだ。
実は、徐々に明かされる病弱な少女の身辺こそが本作の最大の謎であり、幼少期の手術と退院後の定期健診を経てもなお、事件の度に意識を失い、走馬灯を見て推理を組み立てる、完治したのか薬の副作用なのか判然としない体調は、探偵であるという自覚に支えられているとは言え、不安定で、各事件の経緯など、本来、瑣末な問題だ。
内輪では屋号で助手の名を呼ぶ、芝居染みた探偵の言動は、親愛の情なくしては理解出来ず、双方がそれぞれの胸中を察するのが先か、志半ばで息を引き取るのが先か、次回以降の展開は推理と恋愛の両面で重要な場面を迎える。
夢喰い探偵 1 宇都宮アイリの帰還 (月刊少年マガジン)
2015/12/22 17:39
探偵から名探偵へ
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:求道半 - この投稿者のレビュー一覧を見る
妖怪やオカルトを連想させるタイトルとは裏腹に、超常現象など全く起きない、女子高生の探偵ごっこが始まった。副題の帰還は、むしろ再会であり、「夢喰い探偵」という作品の続編ではなく、助手を務める男子高校生の初恋を契機に繰り広げられる、日常的な青春ミステリーである。
七十ページ弱の一話完結の、学校が舞台の二篇と商店街を舞台にした一篇、計三篇が収録された第一巻で、既に叙述の型が確立されており、丁寧な描写と小難しくない事件で、読みにくさや違和感を感じさせず、次巻の発売が待ち遠しい作品だ。
病弱な主人公、宇都宮アイリは過去に手術を受けた病院で知り合った同い年の少年と意気投合し、探偵になる夢を心の糧に闘病生活を送り、第一話で、その少年と再会するのだが、高校生になった男の子の戸惑いが、探偵と助手の関係に若干、影響を与え、二人の素性や成育環境を互いに熟知していない、まだ名コンビとは言えない間柄が、今後、どのように変化し、また、本巻の登場人物が今後、再登場してどのような活躍をするのか、長く読み続けて確認したい。
本人は本気であっても探偵ごっこであるから、謎の犯罪組織や怪盗、殺人鬼は現段階では登場せず、漫画の大嘘と呼べる設定がない点に味気なさを感じる可能性があり、発作に伴う真相の把握が本作の目玉とは言い難く、一巻だけで見切りをつける読者もいるであろうが、まだまだ物語の序盤で、第三話の結末で少しだけ顔を見せる知己の男性刑事が、次巻以降、本業ではない探偵と何を張り合うのか、読んでからでも遅くはない。
あからさまではない少女美の発露も、作者が精魂こめて作画したのが分かる見所で、毎回、穿いているソックスやストッキングの柄が変えられ、なぜかお尻の描写が目に付く身体のくねらせ方や、記憶の彼方の初恋の女の子に現実の存在として触れた時の男の子の独白が、薄幸の美少女探偵の運命を引き受ける覚悟の表明へと変わる日が来るのかも気になるであろう。
押しかけ女房ならぬ押しかけ探偵に恋心が皆無とは考えられず、共に過ごす時間が二人を自然に過去と未来に結びつけ、探偵稼業が叶わなくなったとしても、手を取り合って歩む姿は約束されている筈だ。
2019/01/07 16:01
学園探偵
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:みるちゃん - この投稿者のレビュー一覧を見る
ミステリー小説が大好きな2人が高校生になって再会。アイリがわざわざ主人公がいる高校に編入してきたのだが。学園内に起きた出来事をやや出しゃばって解決する。