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ザ・スターボウ 完結
著者 石ノ森章太郎(著)
ヒロは、星間を飛び回り、色んな動物を捕獲しては宇宙動物園へ売るのが商売のハンター。ハントの最中に宇宙船の不時着に遭遇し、乗務員を救い出したヒロだったが、救出した女性は彼を探していたと語る。彼女は、リンクルスターの王女・リリル。ヒロの父であるキャプテン・ヒデに贈ったリングを求めて来たのだと言う。形見として、現在はヒロの腕にあるリング。それは、アーマゲボム(最終兵器)の秘密が記されているもので……!?
ザ・スターボウ(1)
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2018/02/03 18:07
やっぱり石森SFは面白い
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投稿者:みなとかずあき - この投稿者のレビュー一覧を見る
1978年前半に『月刊少年マガジン』(!)に掲載されたSFマンガ。今から40年も前の作品ということになる。2018年は石森生誕80周年らしいので、ちょうど40歳の頃に描いていたということか。10代でプロデビューしているので十分ベテランだったかもしれないが、ある意味脂ののりきった頃だったのだろう。
とはいえ、これはもう石森版「宇宙からのメッセージ」としかいいようがない。マンガ版「宇宙からのメッセージ」は別にあり、ちょうど同じ頃に別の雑誌に載っていたはずだけれど、映画「宇宙からのメッセージ」に設定も似ている。映画は大勢の共同作業から成るわけなのでいろいろと不満があったのかもしれなところを、この『ザ・スターボウ』で自分なりのものを作り出したかったのかも知れない。もっと穿った見方をすれば、当時はスペース・オペラ的SF作品が受けていたので、出版社から何でも良いから描いてくれと言われたものだったのかとも思える。
そういう点から言うと、この作品は『宇宙からのメッセージ』共々『スター・ウォーズ』に似ている(今から考えればかなり違うけれども、”Episode 4”だけ考えれば)とも言えるし、日本人としてはこの手の話はどうしても『八犬伝』を思い出してしまい、二番煎じ三番煎じの感が拭えきれない。
それでも読み出せばついつい嵌まり込んでしまい、続きを続きをと読みたくなってしまう。今回は電子書籍「期間限定無料」版で読んでしまったが、これなら続きを買うしかないでしょう(と言いつつ、私は紙の本で持っているのだけれど)。
この作品が雑誌に掲載されていた頃はちょうどマンガからやや離れていた時期なので、石森作品の中でも馴染みが薄い作品だし、その後単行本や全集版で読んだのも10年以上も前のことなので、ある種新鮮な気分で読むことができたのは儲けもの。
さらに、意外と今の関心と一致する言葉を冒頭に見つけて、うれしくなってしまった。
「・・・冷たく熱い塵の中からひとつの星が生まれる。100億年ほどの、ほんの一瞬の後に、それはやがて死滅する。死んだ星は塵となり、その塵の中からまた星がひとつ生まれる。ーさよう、宇宙では時は輪となり、悠久を経巡る。時は無意味となり、その存在を止めるのだ」(p.5)