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4件
WATCHMEN ウォッチメン
著者 著:アラン・ムーア , 画:デイブ・ギボンズ
SF文学の最高峰ヒューゴー賞をコミックとして唯一受賞し、タイム誌の長編小説ベスト100にも選ばれた、グラフィック・ノベルの最高傑作! アメリカン・コミックスがたどり着いた頂点がここにある――。
“金曜の夜、ニューヨークで一人の男が死んだ――”
1985年、核戦争の危機が目前に迫る東西冷戦下のアメリカで、かつてのヒーローたちが次々と消されていた。これはヒーロー抹殺計画のはじまりなのか? スーパーヒーローが実在する、もう一つのアメリカ現代史を背景に、真の正義とは、世界の平和とは、人間が存在する意味とは何かを描いた不朽の名作。
●収録作品●
『WATCHMEN』#1-12
(c) & TM DC.
WATCHMEN ウォッチメン
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WATCHMEN
2009/03/09 23:06
「35分前に実行したよ」
15人中、13人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:峰形 五介 - この投稿者のレビュー一覧を見る
物語の舞台は1985年のアメリカ。ただし、我々が知ってる1985年ではないし、我々が知ってるアメリカでもない。
そこはニクソンが十年以上も大統領を続けているアメリカ。
そこはウォーターゲート事件が発覚しなかったアメリカ。
そこはベトナム戦争に勝利したアメリカ。
そして、派手なコスチュームをまとったスーパーヒーローが実在するアメリカ。
フランク・ミラーの名作『バットマン:ダークナイトリターンズ』と同様に『WATCHMEN』の世界でもヒーローたちの自警行為は法で禁じられ、ごく少数のヒーローだけが政府の工作員として(時には兵器そのものとして)活動している。
ある夜、そんなヒーロー/工作員の一人が殺害される。アメリカの敵対国が刺客を放ったのか? ヒーローに恨みを持つヴィランが復讐を果たしたのか? それとも……?
スーパーヒーローの物語を描く際にリアリティを重視するのは危険だ。リアルに描けば描くほど、スーパーヒーローという存在の滑稽さが際立ってしまうのだから。下手をすると、ギャグにしか見えなくなる。しかも、笑えないギャグだ。
この『WATCHMEN』がお寒いギャグマンガにならなかったのは、登場するヒーローたちが己の滑稽さを自覚しているからだろう。滑稽さだけではなく、非力さも自覚している。悪事を働くヴィランたち(彼らもコスチュームをまとっている)を退治したところで、この世界に迫る本当の危機を打破できるわけではないのだ。
それでもヒーローたちはコスチュームをまとわずにはいられない。滑稽で非力な道化役を演じずにはいられない。なぜなら、ヒーローだから。
物語の終盤、コスチューム姿のヒーローたちがある場所に集結する(ドクター・マンハッタンだけはコスチュームを着ていない。全裸がデフォルトなので)。黒幕までもが必要もないのにコスチュームを身に着けている。しかし、そこで繰り広げられるのはコスチュームヒーローの物語に相応しい勧善懲悪の大団円ではない。かといって、巨大な悪の前に善が膝を屈するわけでもない。もっと残酷で幸福で邪悪な結末が待っているのだ。
ヒーローとして生きることしかできない者にとって、アラン・ムーアが描く世界は悪夢だろう。悪と戦って華々しく散ることさえ許されないのだから。
WATCHMEN
2017/12/12 21:19
アメリカ
1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:L療法 - この投稿者のレビュー一覧を見る
この傑作を遅ればせながら拝読。本作はもう一つのアメリカを舞台とすることで、現実のアメリカ文化、歴史も描き、アメリカとは、アメリカの法とは何かを突きつけてくる。共和党、あるいは右派的なもの、陰謀論についての知識があれば、なお良いのかもしれが、それを抜きにしてもハードボイルド作品としてとても楽しめる。末長く名を残すようなレベルの作品であると思う。未読のあなた、お読みください。
WATCHMEN
2015/03/01 11:35
ヒーローの現実
1人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:pinoko - この投稿者のレビュー一覧を見る
先に映画を見ていたのですが、元の漫画の方が断然良いと聞いてさっそく読んでみました。この漫画の中のヒーロー達は何とも人間的で個性的。その中で一番優秀で正義感溢れるまっとうなヒーローが世界平和の為に選ぶ手段が「最悪」というのが何とも皮肉。過去に存在した独裁者達もこんな風に悪い事をしている意識なんてなかったのかもと想像してしまって怖い。 逆にヒーローグループの中でもはや「悪」に近い存在の嫌なヤツが最後には一番まともに見えるてくるのも良く出来ていた。