ルサンチマン
著者 花沢 健吾
<カラー5ページ増量!!>
ダメ男・坂本拓郎が30歳の誕生日に出会った運命の彼女。
それはバーチャルリアリティーのゲーム世界の中で生活する、
AIキャラクター・月子だった!
「現実を直視しろ。おれ達にはもう仮想現実しかないんだ」
友人にも背中を押され、どんどん月子に惹かれていく拓郎だったが‥‥‥
月子には他に好きな人がいる? もしかして現実世界が見えている!?
謎だらけの彼女の存在には、この世界の秘密が隠されていた……!!
※本商品は過去に発行されていた商品の収録内容から変更はありませんので
(カラー増量ページ除く)、重複購入にご注意ください。
ルサンチマン 4巻
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評価内訳
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ルサンチマン 1 (ビッグコミックス)
2005/04/03 01:20
アンリアルしか生きることのできないダメ男たち魂の叫び!
6人中、5人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:まさぴゃん - この投稿者のレビュー一覧を見る
濃い。濃いよこの設定(苦笑)。とくに、ダメ男の本音の部分は、同じ男性としてマジに涙なしには語れない。これで泣けない男は、まずいないはずだ。現実世界で圧倒的な敗者になってしまったら、それこそゲームの世界に逃げるしかないだろう。だって、夢も希望もない腐った現実から、「逃げ」そして「癒し」を求めるのは、人間の権利だもん。そうすると働かない集団が(=引きこもり)増えてしまうので、時の権力からは嫌われてしまうかもしれないが。既に4巻で完結した同作品。最初の一巻のインパクトは、すごかった。それは現実の敗者となったダメ男のルサンチマン(=恨み)が、映像とともにまさに見事に表現されているからだ。
もう一点秀逸な点はオンラインゲームの世界観のつくり込み。ここでは恋愛系も格闘系などのアクションゲームもRPGも全てのプレイヤーが一緒くたにごっちゃになっている。「第九帝国」という格闘系の集団をまとめ上げている人物が、このオンライン上の帝国はサイバーテロで米国から仮想敵国に認定されている。そして恋愛系のプレイヤーがよくPK(プレイヤーキラー)に殺されるという現象もおきている。巻末の設定から議会制度もある。そしてなによりもNPC(ノンプレイヤーキャラクター)は、一度死んだら二度と再生できないという「死」の観念までも存在する。このオンラインの世界は今でこそマンガだが、FFやリネージュなどで知られるオンライゲームの究極目指すところは、これなのだ。
つまり仮想現実が「もう一つの現実」となること。
これはこれまでのオンラインゲームについて表現されてきたどのマンガにも小説にも、それほど大きく取り上げられなかったテーマ(富樫さんの『幽遊白書』や『ハンターハンター』にその萌芽はあるが)。現実に敗北して美少女ゲームに逃げてきているプレイヤーの「この世界が破壊されたら…」と涙するシーンは、ぐっときた。これは現実との区別が全くつかない世界だ。さらっとエンターテイメントしているが、その設定はものすごく濃い。最終的な終わらせ方は、僕的にはなかなか微妙だった。が、是非読んで判断して欲しい。それだけのパワーのある作品だ。こういう作品を読むと、『電車男』もニートの増加も、凄くつながっている気がしてくるなぁ。
ちなみに仮想現実空間での「神」のデザインは、なかなかにいい。パワーがあって、僕は凄く好きでした。