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37件
春の呪い
著者 著者:小西 明日翔
妹が死んだ。名前は春。まだ19才だった。 妹が己のすべてだった夏美は、春の死後、家の都合で彼女の婚約者であった柊冬吾と付き合うことになり―…。 妹の心を奪った男との季節が巡り始める。 新鋭が贈る話題の初連載作、待望の第1巻!!
春の呪い(2)
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春の呪い 1 (ZERO−SUM COMICS)
2016/05/07 22:20
歪んでしまって
3人中、3人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:まめ - この投稿者のレビュー一覧を見る
歪んでいる自分に気づきながらも、想うことをやめられない二人が苦しかったです。
想いが一方通行で、向き合わない。気づいているけど、向き合えない。
苦悶の表情が、台詞以上の想いを伝えてきて、ぐっときました。
二巻で救いがあればいいなと思います。
2021/07/05 22:06
物語の構成の妙、細かな伏線も効いている
2人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:ごろんごろん - この投稿者のレビュー一覧を見る
妹の春が冒頭で亡くなる場面から物語は描かれる。
妹さん視点から考えると「出落ち」からのスタートで、1コマ目で登場する春さんの死は物語の終盤まで揺るがない、ともいえる。春の死は確定的であるが、残された近しい者達の距離感や捉え方は、春の姉夏美と、妹の交際相手(冒頭時点)の冬吾とで異なる(一巻終了時点)。表紙絵に描かれる通り、同じ場所に入るが、見ているもの、見えているものが異なる。
姉夏美の視点からは、妹よりも居づらさを感じずにはいられない家庭環境(ステップファミリーで、異母弟もいる)の中で、自身が妹と比べられ劣等であると周囲に陰ながら言われてもなお、同母妹である春には気を配り、妹との楽しい思い出を共有財産のようにしていき、妹の闘病中も献身的に寄り添い、自身の進路や就労先も妹のことを最優先に生きていったこと、妹の死後も続く葛藤や苦しみが描かれていく。
姉妹の交際相手になる冬吾の視点からは、親の意向に沿うままに学校や就職先を「選んだ」という意思もないままに従って生きてきた男性が、そのまま親の指示で選ばれた春との交際、そして思いがけない彼女の死とともに、いわば強制的に立ち止まった状況になる。彼は当初、あることを意図的に隠して夏美と交流するのだが…。
一巻の時点では、姉夏美が、妹のSNS上の偽名アカウントとしか思えない女性「アキ」を偶然見つけて、姉の知らなかった妹の考えていたことなどに心が揺れる場面までが描かれる。
全2巻のこの物語は、全てを通し、人物の表情や身にまとうもの、小物などが違和感のないように描かれ、説明的な文言がなくても、十二分に心情や状況、行動背景などが読み取れるようになっている。
2021年春ごろにテレビ東京系列でドラマ化(1回30分、全6回)された作品と比べると、ドラマの方が明らかに「それはこの人物にここで無理やり語らせなくてもいいのに」という部分まで独白や会話で表現されているに対し、原作漫画の方はその説明を文字で語らせなくても、読み手に伝わるようになっているのだ。
基本的には時系列で進む物語であるが、登場人物の葛藤や煩悶、過去への振り返りなどが緻密に描かれている。
2017/01/09 23:02
すごい。苦しい。
3人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:hopper - この投稿者のレビュー一覧を見る
視線の描き方や、名状しがたい表情の描き方が、尋常じゃない。
人は、矛盾した感情を持つし、その矛盾に苦しみ、その苦しみこそが感情というものなのかもしれない、というテーマなのかなと、思いました。
呪いとは何なのか。
呪いを共有していたことに気づくことが転換点のよう。そうすることで、主体が変わる。