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4件
魔少年ビーティー
著者 荒木飛呂彦(著者)
ありとあらゆる手品やトリックを自由自在に使いこなす不思議な転校生・ビーティー。友人の公一と魔少年・ビーティーが体験する様々な怪事件に、数々の奇抜なトリックが登場する!! 巨匠・荒木飛呂彦の渾身の連載デビュー作が、ついに電子化! スリルとサスペンスがあふれる荒木ワールドを堪能せよッ!!
魔少年ビーティー
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魔少年ビーティー
2002/07/31 22:24
天才の初連載作品
5人中、3人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:木野下 - この投稿者のレビュー一覧を見る
荒木飛呂彦の歴史は、1960年に彼が生まれたことから始まった。1980年に『武装ポーカー』という作品で手塚賞に準入選し、マンガかとしての道をあゆみ始め、1982年には本作『魔少年ビーティー』によって初の連載をスタートさせる。そして、1984年からは『バオー来訪者』の連載経て、1987年から連載が開始された『ジョジョの奇妙な冒険』に到る。
この作品は、『バオー来訪者』よりも描かれた年代が古いにも関わらず、非常に初期の『ジョジョの奇妙な冒険』に登場する、奇妙な知恵や技術が醸し出す雰囲気に近いものを持っている。主人公ビーティーは、虫を捕らえるための知恵や、人を騙すための奇術を知っている。そのために、自分よりも体が大きく、力を持った存在にも対抗して、勝利することができる。
彼のこういった能力は、歴代のジョジョたちが困難な状況から抜け出すために、生き抜くために発揮する能力と同一である。また、良質な児童文学に登場する主人公のこどもたちも、自分の身を自分で守るために、こういった能力を持っている。自助の知恵、もしくは、自然な生命の力、といって問題のないものだろう。若い作家が、老練な作家ですら描くことができない場合の多い、自助の精神を描いていることに驚かされる。
もう一つ、最初期の作品であるにも関わらず、全編を通して漂っている感覚に驚かされた。《奇妙》という言葉に尽きるこの感覚は、前述の良質な児童文学を描く作家であり、奇妙な味わいを残す作品を書く作家の題名ともいえる人物、故ロアルド・ダールに相通ずるところがある。
ダールという作家は、『ジョジョの奇妙な冒険』に大きな影響を与えた、もしくは、元ネタとなったといわれることもある作家である。だが、荒木飛呂彦の創作活動に影響を与えているとするのなら、もっと大きく強く根本的なものがあるのではないだろうか。
荒木飛呂彦の作品には、底意地の悪さを感じさせるような何かがある。それは、きっと作者の内にある喜びだろう。作品によって読者を愉しませるという作者の喜びと同時に、読了後に残る奇妙な感覚によって読者の気持ちを動かしてしまうことを想像する喜びが、作者の中に存在している。
これが、ダールと荒木の作家としての共通点なのかもしれない。
魔少年ビーティー
2018/06/02 16:26
さすがの初連載
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:るう - この投稿者のレビュー一覧を見る
荒木氏の初連載作品。あの頃の少年漫画では珍しい頭脳系。主人公・ビーティーがどんな大人になったのか、ちょっと心配。
魔少年ビーティー
2001/11/20 02:32
荒木飛呂彦さんの初めての連載作品
2人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:mikako - この投稿者のレビュー一覧を見る
中学生の公一君の前に現れた不思議な転校生ビーティーがさまざまなトリックを使って、敵視した相手に「然るべき報いを」与える5つのエピソードが収録されています。絵は今の荒木さんの作品とは全然違います。この漫画の面白いところは、ビーティーの使うトリックが図解入りで解説されていることです。昔子供向けの雑誌などで見た楽しさを思い出します。
ビーティーから制裁を受ける相手とは暴力的な人が多いのですが、一編だけ、ビーティーが好きな女の子と仲良くしている相手、などという単なる嫉妬なんてのもあります。パンチ力は少ないものの、ビーティーの危なさが表現されますね。
お気に入りは最後の「そばかすの無気味少年の巻」。公一の父が車ではねてしまった少年が、そのまま公一の家に居座ってしまいます。少年は公一の家に寄生する目的で当り屋行為を行ったのです。居合わせたビーティーはこの少年と賭けをするのですが、なんとその賭けに負けてしまうのです。エスカレートする少年の行為にビーティーが与えた「然るべき報い」は?
この回だけはビーティーの衣装過多で、その前の回の「恐竜化石泥棒事件の巻」に出てくるガードマンの西戸と共に、絵の雰囲気が印象的でした。