- みんなの評価
1件
殺殺草紙 大江戸奇騒天外
著者 駕籠真太郎
残虐非道なお姫さまと奇天烈忍者軍団が活躍する時代劇連作。地獄テーマパーク、内臓風呂、人体徴税、お家騒動、そして驚愕のラストシーン…!! これぞカゴシン流・忍者ウルトラ残酷武芸帖。本作品は、2004年に平和出版より紙単行本として出版されたものを、太田出版が2013年に電子書籍化したものです。
殺殺草紙 大江戸奇騒天外
ワンステップ購入とは ワンステップ購入とは
この著者・アーティストの他の商品
前へ戻る
- 対象はありません
次に進む
殺殺草紙 大江戸奇騒天外 (PEACEコミックス)
2004/05/22 01:02
目一杯のグロテスク!
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:カルバドス - この投稿者のレビュー一覧を見る
奇想天外という言葉が、これほどまでに似合う漫画家がいるだろうか。漫画家・駕籠真太郎が描く世界は、どこもかしこも「ありえない!」。が、パロディの本質というのだろうか、真面目なあれやこれがネタとなり、いつの間にか失笑や苦笑のブラックユーモアへと昇華(?)されている。ありえない世界を笑うのか、はたまたネタが面白くて笑うのか、何度読んでもハッキリしない。
登場する人物もまた、どういうわけか魅力的だ。上手下手で言えば、上手いとは言い難い。しかし、惹き付けられてしまう。無邪気に残忍だったり、荒唐無稽に馬鹿だったり、絶対的な変態だったり、「人間失格!」と言われても仕方がないほどの人物が多い。昔の見せ物小屋のような単なる怖い物見たさなのか、これもどうもハッキリしない。
書名にもあるように、舞台となる時代は江戸時代。様々なシチュエーションを笑い飛ばしてきた作者だけに心配はしていなかったが、「まさかこれほどまでとは!」と、思わず唸ってしまった。描かれているのは、人間でありながら人間ではない生き物、とでも言おうか。恐ろしくも馬鹿馬鹿しい、そう、まるで一昔前のB級スプラッタームービーを観ているかのような感覚だ。
作者は女性の裸も性行為も描くが、これがまた全然興奮しない。画力の問題ではなく、おそらくは内容に起因するのだろう。もしくは、あまりにもコミカライズされているためだろう。本書にもSMチックな描写が随所に見られるが……イヤらしさを感じろと言われても困ってしまう。
本書もこれまでの例に漏れず、良くも悪くもグロテスク。大いに猟奇的であり、大いに変態的である。一度ハマったらやめられないクセになる味わいは、まるでドリアンのよう。口にするまでは怖いが、慣れてしまえばその先にあるのは美味なる快感だけである。
試してみますか?