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79件
風光る
著者 渡辺多恵子(著)
時は幕末。文久3年(西暦1863年)の京都。富永セイは、兄と父を「幕府を倒し天皇政治を起こそうとする長州勤皇派」に殺されてしまう。仇を討とうと考えたセイは、長州勤皇派に対立して兄が入隊したかった、壬生浪士組の入隊試験を受けた。そのために、名前を神谷清三郎とかえ、性別も男と偽った。なんとか入隊を許され、副長助勤の沖田総司の下に付くことができた清三郎。ところが、まわりはケダモノのような浪士だらけ。頼りにしていた沖田総司も自分が考えていた人物とはちがっていて幻滅してしまう。沖田総司 だけではなく壬生浪士組自体、あてにならないと思い、夜にこっそり抜けだそうとした清三郎はそこで…!? ●収録作品 風光る
風光る 45
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風光る 1 (別コミフラワーコミックス)
2001/10/11 20:52
凄い漫画
12人中、12人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:LR45 - この投稿者のレビュー一覧を見る
別に新選組ものの漫画や小説って珍しくないし、結局沖田と土方がお涙ちょうだいで剣もほろろになるってはなしでしょ、と読む前は思っていた。正直、新選組ほど勘違いファンの被害に遭っている歴史上の集団もいないだろうし。しかも、主人公は女の子だし。
しかし、なにごとも見た目だけでは判断できないものだ。
この漫画のなにが凄いかって、時代考証の奥深さだ。
かなりディープである。たとえば、主人公のセイが生理の時にどうしたかとか、そういうことまで文献を調べてきちんと書いている。
作者も端書きのなかでいっていたけれど、やっぱり少女漫画かといわれるようなものにはしたくない、という意気込みがはっきり見える。
もちろん、学者ではないだろうから、調べたといってもその中に間違いはあるだろうけれども、その心意気に惚れ込んでしまった。
また、そんななかでも、エンターテイメントであることを忘れていない。新選組ものの作品のなかでも珠玉の一品であるといっても過言ではないと思う。
ぜひ、この書評を読まれた方に買って読まれることを強くお勧めする。
風光る 19 (flowersフラワーコミックス)
2006/01/27 20:25
待ちに待った風光る(19)発売!
2人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:いちごプリン - この投稿者のレビュー一覧を見る
任務で大阪へ赴いた局長・総司・セイの三人。そこでセイちゃんが出会った遊び人、浮之助の正体にびっくり!!
セイちゃんの恋も進展しそうな予感で、総司の行動や言動にハラハラドキドキさせられちゃいました。(まったく、総司は気づいてないのか確信犯なのか・・・という感じです。)
私てきには、土方さんの素直じゃない可愛い一面が見られただけで大満足☆
それに、歴史が苦手な私でも、この1冊で当時の情勢がどうなっていたのかよく分かりました。楽しみながら歴史の勉強ができました☆
続きを早く読みたい1冊です!
風光る 15 (flowersフラワーコミックス)
2004/02/17 01:43
久しぶりに出会えた。こんなに心を鷲掴みにする少女漫画に。ついでに苦手だった歴史・時代物も克服できた。
2人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:パンちゃん - この投稿者のレビュー一覧を見る
歴史物・時代物の小説は苦手だった。なぜなら、分かりにくいし作品の中に入りづらいから。読者自身が、その時代の背景をある程度分かったうえで読むことが必要と言われてるようで、私のように歴史は全くといっていい程にちんぷんかんぷんな人間は置いてけぼりにされることもしばしばあった。
歴史物・時代物の漫画も苦手だった。なぜなら、歴史ちんぷんかんぷんの私でさえ嘘臭いと違和感を感じずにはいられない絵のものがしばしばあったから。
そんななか、この作品は私を見事に歴史好きにしてくれた。
主人公の富永セイは、性別を偽り神谷清三郎と名乗り新選組に名前を連ねる女の子。
「私は女子ではありません。武士です」が口癖の彼女だが、彼女の秘密を知る沖田総司に密かに片想い中。沖田にとって一番大切なのは主君である新選組局長・近藤勇。近藤と副長の土方のためなら命さえも惜しくないと言い切る。自分は一番大切な存在にはなれない——そんな男に恋するなんてつらすぎる。恋敵がいることよりもつらい事だと思う。だが、最近ようやく沖田に微妙な変化が見え隠れし始めた。おやおや?とセイちゃんの恋を応援する読者としてはにやけてしまう。
武士(おとこ)と認められたからこそ沖田の傍にいることができ、女子に戻ったら傍にはいられない。彼女のこの切ない想いの行方はどうなってしまうのか。
恋のことばかりではない。この巻ではセイちゃん大ピンチが立て続けに起こる。新入隊士の中村五郎に女子だと見抜かれ執拗に求愛されるなか、今度は元服の問題が持ちあがる。元服するということは、前髪を剃らなければならない。今までの月代を半分だけ入れた姿でさえ、15巻現在になってもまだ痛々しく見えるのに、前髪まで無くなったらと思うと可哀相で本当に涙が出そうになった。彼女の恋は応援したいが、そこまでして沖田の傍にいたいのかと思うと、いじらしいという感情を通り越してやり切れない気持ちになる。さらにはセイの亡き父親の友人である医師の登場で女子だとバレそうな事態になったりと危機が彼女を襲う。
新選組といえば、土方歳三、沖田総司、斎藤一の名前くらいしか知らず、何やら池田屋事変というものがあったらしいということしか知らなかった。そんな歴史ちんぷんかんぷん人間の私でさえも、この作品はすんなりと受け入れられた。登場人物に魅力があるのはもちろんだけど、時代背景が分かりやすいうえに絵がとても丁寧。特に背景は素晴らしく、隅々までじっくりと見てしまう。
家屋(屋根の形)から女性の髪の結い方まで江戸と京での違い、そして時代考証もきちっとしており、史実をふまえながら面白く分かりやすく作者流に描かれてある。所詮少女漫画と軽く見られないための努力が隅々までに行き届いていると思う。作者のこだわりと妥協を許さない真っ直ぐな姿勢が気持ちいい。
でも忘れてはならないのが、新選組を扱った作品ではあるけれど、あくまでもセイちゃんの恋と青春を軸にした少女漫画だということ。
私は特別に新選組ファンではないが、この作品における新選組は大好きだ。