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135件
海街diary
著者 吉田秋生
【無料試し読み閲覧期間:5日間】
男の部屋で朝を迎えた三姉妹の次女・佳乃(よしの)に父の訃報(ふほう)が届いた。母との離婚で長い間会っていない父の死に、なんの感慨もわかない佳乃は…。鎌倉(かまくら)を舞台に家族の「絆(きずな)」を描いた限りなく切なく、限りなく優しい吉田秋生の新シリーズ!!
【期間限定 無料お試し版 閲覧期限2025年5月11日】海街diary 1 蝉時雨のやむ頃
閲覧期限:2025/05/11 23:59
海街diary 9 行ってくる
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蟬時雨のやむ頃 (flowers comics)
2008/10/05 13:28
進化し続ける作家
30人中、30人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:カフェイン中毒 - この投稿者のレビュー一覧を見る
祖母が亡くなり、残された鎌倉の家に住む三姉妹のもとへ、
子供の頃、家族を捨てて出て行った父親の訃報が届く。
当時の母の苦しみを知るため、複雑な想いを抱える長女。
お父さんが死んだと聞かされても、なにも感じないことに戸惑う次女。
死顔を見ても、知らないオッサンだと言う三女。
葬儀で三姉妹は、存在すら知らなかった中学生の四女に出会う。
すでに母を亡くし、父親を看取り、頼りにならない継母を気遣い気丈にふるまう四女。
いったいこの中学生の少女は、
悲しみや寂しさ、やりきれない想いをどこに吐き出してきたのだろうか。
彼女を甘える存在であるべき子供に還し、家族として迎えたのは三姉妹だった。
末っ子が、出会って間もない姉たちと暮らすことを決断するのに十分なエピソードが、
とてもとても印象的である。
鎌倉の生活に、姉たちとの日々に、少しずつ慣れていく少女。
彼女を受け入れ、見守り、自分たちも様々なことを乗り越えていく三姉妹。
なんでもない毎日を、ときに印象的に切りとっていく物語だ。
もうすぐ続きの巻が出るはずで、久しぶりに1冊目を読み返してみた。
胸が締めつけられるような感覚はあいかわらずで、吉田秋生のすごさを思い知る。
大ヒットした『BANANA FISH』の連載を終えた頃、彼女が何かのインタビューで語っていた。
この作品の連載中から、ベタなこと、こっ恥ずかしいと思っていたことが、
開き直って描けるようになったかなと。
デビュー時からとても器用に作品をまとめ、短い中にも必ず心を打つものを残してきた彼女が、
たしかに近年、ストレートなセリフを書くことが多くなったように思う。
短編を描くときに、それが弊害になったりしないのかと気をもんだが、
まったくのとり越し苦労だったことが、すぐにわかる。
重いテーマをあいかわらず軽やかにまとめあげ、そのくせ「物足りなさ」など感じさせもしない。
昔の作品のほうがよかったなどとは言わせない、ベテランの実力なのだと思う。
蟬時雨のやむ頃 (flowers comics)
2007/06/18 21:58
人と出会うということ、人と交わるということ。
21人中、21人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:サトウジョン - この投稿者のレビュー一覧を見る
鎌倉を舞台に、ある家族とその周辺の人々のそれぞれの関係・他人との交わりの姿を細やかに描いた物語。
父の女関係が原因で両親が離婚。その後母も再婚を機に実家を出、残された3人姉妹は祖母とともに古い家に暮らし続けた。
厳格だった祖母が亡くなり、それぞれが成人した今も3人姉妹は鎌倉の家に住み続けている。
そんなある日、別れたきり会っていない父の訃報が突然に届いた。
相続の件もあるし是非、と言われて訪れた父の居所は山形の田舎。そこで3人は父の娘だという中学生に迎えられる。
そう、彼女は3人の義理の妹になるのだった・・・・・。
これが表題作である「蝉時雨のやむ頃」。
他に次女とその恋人との偽りを描いた「佐助の狐」、4人目の妹がメインの友情モノ「二階堂の鬼」が収録おり、どれもテーマは一貫して“人と人とのかかわり”である。
家族・男女・友情・・・それぞれの交流の形が、決して重過ぎない筆致で明るく軽やかに描かれている。
なにより3姉妹(後、4姉妹)の家庭での姿が実に自然で魅力的。
特に好きなのは3人が台所に座り込んで自家製の梅酒を味見しているシーンなのだけれども、家族であり気のおけない女友達であり・・・という雰囲気がとても心地よく感じられる。
ベテラン・吉田秋生だけにストーリーそのものが安定感のあるこなれ具合なのは勿論だけれども、さらに鎌倉という舞台そのものも演出効果に一役買っているように感じる。
港町であり古都であり、洒落た都会のようで情緒的な町並みでもあり、海の明るさと暗さが印象的で象徴的なようでもあり。
普遍的なテーマを描いたこの作品にこれ以上なく相応しい舞台だと思った。
性別、世代にかかわらず多くの人に読んでもらいたい作品である。
家族や友人や恋人や、身近な人たちに対してふいに感謝の念がわく・・・・、そんな気にさせてくれる作品は貴重だと思う。
真昼の月 (flowers comics)
2009/02/04 19:56
鎌倉の四姉妹シリーズ第2巻。切なくて、心にしみる話やねんなあ
9人中、9人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:東の風 - この投稿者のレビュー一覧を見る
幸(さち)、佳乃(よしの)、千佳(ちか)の香田三姉妹のもとで、ともに暮らすことになった浅野すず。中学生の彼女が山形から鎌倉に来て、家族のひとりとして次第に馴染み、溶け込んでゆく姿を描いた第1巻もよかったけれど、この第2巻もいいですねぇ。切なくて、じんと心にしみる話の味わいが素晴らしく、途中で何度か、目頭が熱くなりました。
◎すずが、佳乃の彼氏の謎を探る・・・・・・「花底蛇(かていのじゃ)」
◎すずと、友達の美帆(みほ)が、お互いの気持ちをぶつけ合う・・・・・・「二人静(ふたりしずか)」
◎すずに思いを寄せる風太(ふうた)の気持ちと、足を失くした裕也(ゆうや)の気持ち、ふたつの気持ちが交錯する・・・・・・「桜の花の満開の下」
◎香田姉妹の祖母の七回忌。幸と、家を捨てて出て行った母・都(みやこ)が衝突する・・・・・・「真昼の月」
以上、四つの話を収めています。
すずの気持ち、風太の想いを中心に話が進んでいく最初の三つの作品もよかったけれど、一番読みごたえがあって、「重いけど、深くて切なくて、ええ話やあ」と感動したのは、おしまいの「真昼の月」でした。仲違いした母との確執など、色んなこと考えて悩む幸姉(さちねえ)の姿に、ズドン!ときたから。
幸とすずが肩を寄せ合う絵に、佳乃と千佳の声がかぶさる一コマ。姉妹の絆、家族の絆が見事に描き出されていて、胸が締めつけられました。姉妹が寄り添うこの構図、第1巻『蝉時雨のやむ頃』にもありましたっけ。表題作の中、町を見下ろす石段の上で。