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38件
新クロサギ
息子に電話で頼まれ、300万円を銀行に振り込んだ老婆・葛飾。だがその直後、本物の息子を名乗る別の電話で、それが詐欺だと知らされ、口座封鎖の保証金として100万円を預けるよう頼まれる。しかしこれも詐欺師の仕業で、彼女は計400万もの大金を奪われるが、そこに弁護士の「園崎」と名乗る男から電話が…。
新クロサギ 18
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新クロサギ 1 戦慄の詐欺サスペンス (ビッグコミックス)
2008/12/27 23:32
仕切り直し
4人中、4人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:くまくま - この投稿者のレビュー一覧を見る
新しい読者を意識して、盛り上がりを期待させる構成になっています。ただ、印象で言うならば、これまでは比較的規模が大きく、法律のギリギリを渡る様な、知的犯罪としての詐欺を多く扱ってきた気がするのですが、今回に限って言うと、シロサギの行動は粗野で稚拙なものが多い気がします。なので、黒崎の儲けもかなり控えめ。今後どのように展開していくかはわかりませんが、ほんの少し、体制批判というか制度批判的なことも加味していくのかもしれません。
二重詐欺、運送詐欺、必勝法詐欺、当選詐欺(前篇)を収録。
新クロサギ 3 戦慄の詐欺サスペンス (ビッグコミックス)
2009/07/04 13:48
会社を立て直すためのお金で生活を立て直す
3人中、3人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:くまくま - この投稿者のレビュー一覧を見る
もともと詐欺は知能犯罪だけれど、最近取り扱う題材は、特に知能犯的な、そして組織的な傾向が顕著になってきたように思う。今回は、導入詐欺、留学詐欺、融資制度詐欺を扱っているけれど、2番目は世間で話題になったものであり、1番と3番は信用度の高い組織の看板がカモを信用させるカバーになっている、という特徴がある。
再登場する詐欺師、神志名と鷹宮の確執、詐欺師をつぶすために詐欺をしながら一方で別の詐欺師の利益になるという矛盾。詐欺のシステムが複雑化高度化するのに合わせて、黒崎の心の中もより複雑に絡み合っていくようだ。
新クロサギ 9 戦慄の詐欺サスペンス (ビッグコミックス)
2011/02/28 21:20
自分とは違う道を進む者
1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:くまくま - この投稿者のレビュー一覧を見る
事業の運転資金を傘下の消費者金融経由で住宅ローンとして目的外に融資し、焦げ付きそうになったら銀行が住宅を抵当に入れて追加融資、最終的には債務者を自殺させて団体信用生命保険で住宅ローンは弁済させ、追加融資分は抵当で回収するというローン詐欺をテーマにしている。他には、素人が手を出すチケットの偽造詐欺、医療法人詐欺を扱っている。
結局のところ、詐欺は強い方が弱い方を騙す犯罪だ。ローン詐欺では融資してもらいたい債務者側は銀行の言いなりにならざるを得ないし、チケット詐欺ではどうしてもプレミアチケットを欲しいから怪しいのに信じてしまう。そういう心理的なサヤを抜くのが詐欺師という存在なのだろう。
今回黒崎は、自分と同じ様な境遇に陥りながら、正面から銀行にぶつかって玉砕した女性を助ける。それは代償行為みたいなものに見える。自分とは違うまっとうな方法で対した人を助けることで、自分も救われた気分になる。しかし、その気持ちに反して、もう後戻りできないことを実感する結果になるのだ。