姉ちゃんの詩集
著者 サマー (著)
その物語は、「姉ちゃんの自作の詩集をみつけた」という、掲示板に書き込まれたひとつの投稿からはじまりました。お姉さんがひそかにつづり、書きためていた詩を弟が発見。一編ずつネ...
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商品説明
その物語は、「姉ちゃんの自作の詩集をみつけた」という、掲示板に書き込まれたひとつの投稿からはじまりました。お姉さんがひそかにつづり、書きためていた詩を弟が発見。一編ずつネットの掲示板に公開していったのです。その詩は、思春期の女の子らしい奔放さで読む人をどきっとさせながら、たとえば描かれる家族の情景のあたたかさが人の心に癒しと笑いをもたらすという、今まで誰も見たことがない魅力に満ち溢れていました。サマーさんの詩は、楽しいだけではなく、ときに比類なく美しい瞬間を見せます。
目次
- まえがき 吉田戦車
- 第1章 サマー
- エッセイ 不思議な弟
- 第2章 おやすみなさい
- エッセイ 秘密
- 第3章 たぶんそうなのだ
- 寄稿 ピエール瀧
- 第4章 ふたりなら
- 童話「金木犀」
- エッセイ これは私のもの
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吉田戦車のまえがきは、最後に読むことをお勧めします。
2007/02/12 08:59
4人中、4人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:yukkiebeer - この投稿者のレビュー一覧を見る
姉ちゃんが小中学生時代に書き溜めた詩のノートを、ある日見つけてしまった弟。面白半分にネット掲示板にアップしたところ評判を呼び、やがて書籍化に至ったというのが本書の成り立ちです。
詩に登場する言葉は、計算づくの上に紡がれたものというよりは、後先を深く考えることなくほとばしったものを紙に書き留めたという印象の強いものです。時にそれは、リズム感や音の繰り返しの面白さを優先したもので、深遠な意味より諧謔味が優先したかのような言葉の連なりに終始する場合もあります。
一方で、理屈ではない恋に身と心をやつした詩の数々は、大人であろうと子供であろうと変わることのない恋の苦しさと喜びを、飾ることなく言葉にとどめておこうとするサマーの精一杯さが表れていて、実にほほえましく感じられます。
その幼さもこの詩集の後半へいくと、大人の賢(さか)しらさに染まる様子が見えてきて、幼いがゆえの無垢な姿が、失われていくように思える瞬間もあります。
「あらそうなの
ならしたがうよ
不本意だけどねー私は大人だからさー」(168頁「カメレオン」より)
成長するという、誰もが辿る道のりは、こういうことなのか。ヒヤリとした寂しさを感じないでもありません。
最後に、これから本書を手にする読者にひとつ助言をしておきます。
本書冒頭に吉田戦車による前書きがありますが、これは最後に読むほうが賢明でしょう。吉田戦車の書く内容は、もっともではありますが、自由で奔放な言葉の飛躍を前提とする詩という形式をとったこの著作物の見方を、最初にひとつに方向づけてしまう危険性があります。この前書きは決して本書をミスリードするようなものではありませんが、多様で幅広い解釈を封じる恐れがあると思います。吉田戦車による「この詩集の醍醐味」の細かい講釈を、この詩集を紐解く前に読んでしまうと、読者は自由を奪われかねないと私は感じるのです。
内容紹介
2006/12/04 10:57
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:講談社 - この投稿者のレビュー一覧を見る
ことの発端はインターネットの掲示板に現われた1件の投稿でした。
「姉ちゃんの自作詩集を見つけた」と。
それはある家族の物語。お姉さんが小学生のころから密かにつづっていた詩集を
弟が見つけてしまい、それをネットに公開してしまったのです。
その詩はとても奔放でありながら、家族に対する思いやりに満たされ、ユニークな表現の中に、人間愛が溢れていました。
それは読む人の心に、静かに癒しと笑いを届けるものでした。
お姉さんの詩を支持する人の輪は瞬く間に広がり、
検索エンジンでは100万ヒットを記録、
今年のネットワーク世界最大の事件となりました。
さまざまな事件が「家族」のありかたに疑問を投げかけた2006年。学校では生徒の自殺が続き、家庭では児童虐待や子どもを殺してしまう事件すら起こり、マクロな社会のみならず、社会の最小単位である家族の問題がクローズアップされています。
そうした世の中にあって、思春期の女の子の新鮮な感性で、学校や、家族、そして子どもから見た社会問題などを語る「姉ちゃんの詩集」は、人の心を安堵させ、癒します。
12月20日緊急発売される詩集には、未公開作品を含む約140点の作品に加え、彼女の書き下ろしエッセイ、特別寄稿などが収録されています。
是非、彼女の詩に興味を持ってみてください。
そしてゆっくりと、ホッと、癒されてください。