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裂壊 - 警視庁失踪課・高城賢吾
著者 堂場瞬一 (著)
半年に一度の失踪課課長査察を間近に控え、室長の阿比留が忽然と姿を消した! 自宅に急行した高城たちだが、私生活を隠す阿比留の失踪の原因は掴めず、その行方は杳としてしれない。...
裂壊 - 警視庁失踪課・高城賢吾
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裂壊 (中公文庫 警視庁失踪課・高城賢吾)
商品説明
半年に一度の失踪課課長査察を間近に控え、室長の阿比留が忽然と姿を消した! 自宅に急行した高城たちだが、私生活を隠す阿比留の失踪の原因は掴めず、その行方は杳としてしれない。同時期、一人の女子大生の捜索願が出された。ストーカーによる拉致も疑われたが、二つの事件を追ううちに意外な接点が判明する。緊迫の書き下ろし長篇第五弾
著者紹介
堂場瞬一 (著)
- 略歴
- 1963年生まれ。茨城県出身。青山学院大学国際政治経済学部卒業。「8年」で第13回小説すばる新人賞受賞。ほかの著書に「複合捜査」「夏の雷音」など。
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紙の本
どうも詰まらない署内恋愛ものになるんじゃないか、って心配していたんですが、軌道修正があったのか、英国の警察小説に似て実にいい味を出し始めました。法月馬鹿親子が動き回らないだけで、こんなにも話がまとまるなんて、立派・・・
2011/02/08 19:18
3人中、3人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:みーちゃん - この投稿者のレビュー一覧を見る
鹿島茂の『「ワル姫さま」の系譜学 フランス王室を彩った女たち』を読んでいると、「ヤメラレナイ、トマラナイ」という表現がよくでてきます。この本には、それ以外にも私たちが日常的に使う言い回しが「 」にくくられて頻繁に登場します。それが悪ふざけになることなく、文章に親しみを覚えるようになる、これは鹿島の学識と性格あってのことなんだろうなあ、なんて感心します。
で、私がいま「ヤメラレナイ、トマラナイ」状態なのが堂場瞬一の小説、もっと限定すれば警察小説ということになります。なかでも、私が堂場本と付き合い始めるようになった「警視庁失踪課・高城賢吾」は、出来不出来はあるし、大人の皮をかぶったガキみたいな愚かな人物が登場してリアリティを失ったりもしますが、でも、その文章の読みやすさと頁の多さもあって、いつのまにか私は彼の作品に「ヤメラレナイ、トマラナイ」思いを抱いてしまったわけです。
そういう私の願いが通じたのか、もとからいいカバー写真を使っていたこのシリーズですが、今回はその中でも、もっとも写真の質が高いのではないでしょうか。佐々木光の写真もいいことは間違いありませんが、ブックカバーとしてみた場合、モノトーンに近い色合いと被写体の数のバランス、タイトル文字のレイアウトとグレーの使い方が上品で、「壊」の字の中に白で小さく「れっかい」とあるのも好ましいわけです。もう、完全に坊主憎けりゃ袈裟まで憎いの逆パターン。そんなカバーデザインは、松田行正。
カバー後ろの内容紹介をそのまま利用させてもらえば
*
半年に一度の失踪課課長査察を間近に控え、
室長の阿比留が忽然と姿を消した! 自宅に
急行した高城たちだが、私生活を隠す阿比留
の失踪の原因は掴めず、その行方は杳として
しれない。同時期、一人の女子大生の捜索願
が出された。ストーカーによる拉致も疑われ
たが、二つの事件を追ううちに意外な接点が
判明する。 書き下ろし長篇第五弾
*
となります。小説全体として浮ついたところがなくなり、今までも何度か仄めかされながら真面目に取り上げられることになかっら真弓室長の私生活の謎が前面にでてきます。私などは、真弓の家庭と綾奈の失踪、この二つがはっきりしない限り、このシリーズは終わらないのに、と思っていたので、今回その一つが扱われたこと、それを巡る人間の動きが、海外小説並みになってきつつあることを素直に喜びたいと思います。ただし、最近の『沈黙の檻』を読む限り、良くなったのは『裂壊』だけだったのかも、なんて思っています。
内容についてはあまり触れずに、登場人物について語れば、主人公の高城賢吾は、45歳、7年前に7歳の娘・綾奈が行方不明になり、未解決のまま酒に溺れ、捜査一課を外れ、今は新しく出来た失踪人捜査課三方面分室の刑事となっています。地位としては、管理職にある警部ですが協調性はなく、マイペースで捜査をしています。
7年前の事件では、他の事件を優先したために娘を発見できなかったと今も悔やんでいますが、すでに彼の中で娘の影は薄くなっているようです。でも、7年なんてあっという間です、この状況は不自然だし、賢吾の人間性を疑わせることにもなりかねません。海外の小説では、絶対にないことですし、藤沢周平だってこんな馬鹿な設定はしません。それと今回は、賢吾に対する周囲の評価が高くて、逆に違和感を覚えます。
阿比留真弓は、失踪人捜査課三方面分室室長で賢吾の上司にあたります。高城より三つ年上、とあるので48歳。上昇志向は強いですが、権力に迎合するタイプではありません。ただし、問題は私生活を部下に全く見せないこと。今回、登場する場面は少ないですが、名前の出る頻度は高いです。イアンランキンの小説でいえば、リーバスとテンプラーに近い関係ですが、恋愛感情はありません。私としては高城と真弓の年齢を同じにしたほうが良かった気がします。
ランキンの小説でいえば、クラークに当たるのが明神愛美でしょうか。失踪人捜査課三方面分室の刑事で、失踪人捜査課に配属されたことに不満を持っていて、高城に厳しく当たりますが、前巻でだいぶ打ち解けるようになってきています。年齢的には、シボーンとリーバスは相棒に近く、賢吾と愛美は上司と部下ですし、ここにも恋愛感情はありませんが、堂場がイギリスの警察小説に倣ったな、と感じさせます。
今回、存在感を示すのが失踪人捜査課三方面分室庶務担当の小杉公子です。年齢不詳で、存在感があるものの今までは活躍の場が少なかったのですが、今回は特に前半での活躍が目立ちます。公子に対し、中盤以降で活躍をするのが同じ失踪人捜査課三方面分室の刑事六条舞と森田純一です。舞が合コン大好きのお嬢様で、夕方になれば、デートのことで頭が一杯という今までの巻に対し、今回は、時間通りに帰ろうとする姿勢はともかく、合コンの気配もなく、どちらかというと習い事で忙しいというのが面白い。
純一は舞より年下? なのか、今までは舞にいいように扱われるという設定でしたが、今回はそういうシーンは一度も出てきません。むしろ、役立たずとして相手にされないことが多く、でも最後にキラリと光る美味しい役どころを割り当てられています。私としては、毎回不自然な言動で話からリアリティを失わせている法月父娘が登場しないことと、真弓に光があたったことがこの小説の成功につながった、と思っています。
ただし、堂場はマクベインの87分署のように、各巻で順繰りに登場人物に焦点をあてていこうとしているようですから、法月馬鹿親子の再登場もあるのでしょう。定年間際の愚かな人間の行動に振り回されるといった展開や、なんでも他人に責任を負わせずにはいない気の強いだけの弁護士との恋愛なんて、ケッ、です。賢吾が取り戻すべきは失われた家族であるべきなんだから、安直な再婚話はやめてくれい! そんなアホな展開はジョン・ハート『ラスト・チャイルド』だけで結構です!
紙の本
堂場瞬一氏の大人気シリーズ「警視庁失踪課・高城賢吾」の第5弾です!
2020/08/04 10:31
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:ちこ - この投稿者のレビュー一覧を見る
本書は、「刑事・鳴沢了」シリーズや「汐灘サーガ」シリーズなどの人気作品を次々に発表されている堂場瞬一氏の一冊です。同書は、読者から大好評を得ている「警視庁失踪課・高城賢吾」シリーズの第5弾でもあります。同書の内容は、半年に一度の失踪課課長査察を間近に控え、室長の阿比留が忽然と姿を消してしまいます。自宅に急行した高城たちですが、私生活を隠す阿比留の失踪の原因は掴めず、その行方は杳としてしれません。同時期、一人の女子大生の捜索願が出されます。ストーカーによる拉致も疑われたのですが、二つの事件を追う内に、意外な接点が判明してきます。果たして、どのような接点なのでしょうか?続きは、ぜひ、同書をお読みください。