読割 50
電子書籍
いつでも夢を
著者 辻内智貴 (著)
手にカッターナイフを握りしめ、街角で雨に打たれつづける女。その姿を放ってはおけない二人の男。女と同様、胸の奥に深い哀しみを抱えるヤクザ者。生きるのに無器用な、売れない小説...
いつでも夢を
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いつでも夢を (光文社文庫)
商品説明
手にカッターナイフを握りしめ、街角で雨に打たれつづける女。その姿を放ってはおけない二人の男。女と同様、胸の奥に深い哀しみを抱えるヤクザ者。生きるのに無器用な、売れない小説家。それぞれの孤独が出会ったとき、ほのかに希望は生まれ、やがてそれは、大きな愛情へと育ってゆく。太宰治賞作家が描く、ひとを愛するよろこびに満ち溢れた「純愛小説」の傑作!
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紙の本
限りなく優しい純愛小説
2005/10/14 14:40
6人中、6人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:佐々木 なおこ - この投稿者のレビュー一覧を見る
読み終わりは、ぷふぁ〜というため息が出て、本当に良かったねぇという感じ。決してありきたりな二人が登場して、ありきたりな恋愛をするわけではないのです。
登場するのは、中年の売れない小説家ジローと、見るからに訳ありで、幸せなんてフレーズは私の人生にはなかったのと全身で訴えている20代の洋子。この二人がある時、どしゃぶりの雨の中で出会うべくして出会う。洋子には簡単には語れない過去があり、それで苦しんでいた。それが出会ったあの雨の日以来、洋子は拾われた子猫のようにそのままジローのアパートに居ついてしう。まるで保護者のように洋子の傍らにあるジローの存在。
一体この二人はどうなるのか…。
ジローのアパート下に住む気のいいおじちゃん、おばちゃんや、洋子を担当する精神科の先生、はたまたあのどしゃぶりの雨の日にすれ違ってたヤクザ、そしてその子分達、二人を取り巻く様々な人たちの好意が微妙に作用して、この二人は華々しいラストシーンを迎える。この舞台準備が凄い。なんとも凄い。
「人間は−心に陽が射せば、かわるものです。−いくらでも、おどろくほど、かわるものです」小説半ばに出てきたこの言葉がしみじみ心に沁みる。
電子書籍
完成度野高い作品
2020/11/09 23:29
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:なのはな - この投稿者のレビュー一覧を見る
辻内氏は最高だとあらためて思いました。「TOKYOオトギバナシ」という副題がついているこの小説は、まさに「大人のおとぎ話」という言葉がぴったりな夢のような話です。ジローや洋子や龍治のそれぞれの思いを深く描き出すとともに、周囲の人達のあたたかさに包まれる様子もしっかり描かれていて、温かさと冷たさの入り混じった鮮度のいい小説でした。洗練されたユーモラスな会話も巧いのだけれど、なんといってもラストの大芝居ぶりが印象的でした。露骨すぎる感じもしないではないのですが、「大切なもの」を丁寧に書きたい気持ちがすごく伝わってきます。
印象としては「センセイの鞄」(川上弘美)の世界観に近いですが、真面目な恋愛小説であるにもかかわらず、堅くなく読み手に優しいです。非常に完成度の高い作品であると思います。