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投稿者:いしかわ - この投稿者のレビュー一覧を見る
劇的にどんでん返しがあるとかではないが探偵役ヴァンスの知識量がえげつない。
つまり作者本人の知識量がえげつない。
ヴァンスの頭の良さをこれでもかと説得力たっぷりにえがいてくれる。
「見立て殺人」ものの代表作
2019/07/21 21:33
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投稿者:KTYM - この投稿者のレビュー一覧を見る
推理小説黄金期を代表するヴァンダインの傑作(1929年)。
だあれが殺したコック・ロビン?
「それは私』とスズメが言った
「私の弓と矢でもって コック・ロビンを殺したの」
ニューヨークの高級住宅街で殺人事件が発生。胸に矢を突き立てられた被害者の名前はロビン。新聞社には「僧正」を名乗る人物から、英国の童謡マザーグースの一節をタイプしたメモが届けられる。そしてマザーグースの歌詞に導かれるかの様に、第2、第3の殺人事件が。緻密、狡猾かつ凶悪な犯人に翻弄される捜査陣。「僧正」と名探偵ファイロ・ヴァンスの息詰まる駆け引き。これといったトリックは出てきませんが、異様な雰囲気に引き込まれ、衝撃の結末に至るまで一気に読まされます。
所謂「見立て殺人」ものの嚆矢にして代表作。音楽、美術、最新の理論物理学からチェスの名手に至るまで様々な分野への夥しい言及がなされるペダンティックな語り口が特徴。当時としては相当スタイリッシュな作品だったと思われます。
ミステリファン必読の一冊
2019/11/30 23:24
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投稿者:ねったいぎょ - この投稿者のレビュー一覧を見る
他の推理小説を読むと、たまに「僧正殺人事件」がどうという会話が出てくることがありますが、それはつまりこの小説が画期的だったということでしょう。この小説に似たものも読んだことがあります。ですから、ミステリファンなら必読の一冊なのだと思います。ただ、「グリーン家殺人事件」が面白すぎたからか、面白さという点ではもう一歩という印象を受けました。
ヴァン・ダインは何をしてる?
2017/05/22 07:46
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投稿者:まんだかず - この投稿者のレビュー一覧を見る
探偵ファイロ・ヴァンスの友人で書き手でもあるヴァン・ダイン。
ヴァンスといっしょに行動しているヴァン・ダインは
シャーロック・ホームズのワトスンのように会話をすることもなく
まるで透明人間のように存在感がないのはなんでだろう。
ところで、マザー・グースの童謡になぞらえて殺人事件が起こる
見立て殺人の傑作といわれる作品ですが、
動機はともかく、それ以外はちょっと期待外れ。
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ファイロ・ヴァンス・シリーズ
コックス・ロビン殺人事件。アーチェリー場で矢に刺された被害者。頭を撃ち抜かれたジョニー・スプリングス殺人事件。佝男のドラッカー殺人事件。同時刻に発作で死んだドラッカーの母親。そしてチェスの名人ディラードの自殺。犯行終結と思われた時に起きた少女誘拐事件。助けられた少女、発見された演劇のシナリオに隠された罠。真相を見破った後のヴァンスの行動。
2010年4月24日読了
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せっかく新訳になったので再読。
無邪気な子どもの遊びと凶悪な殺人事件が絡み合う“童謡見立て殺人”は当時の推理小説家たちに大きな影響を与えたらしい。
でもメインの童謡見立て殺人にはそんなに惹かれなかった。
古典ミステリってデビュー当時は衝撃的だったとしても現代ではその古典のアイディアを散々ひねったものが使われているので、「当時はこれがすごかったんだー」ってことを頭においておかないと何が凄いのかわからない方が多い気がする。
その中でもヴァン・ダインはかなり特徴的で、相当受けいれられにくいんじゃないかと思う。というか、私が初めて読んだ時は「えっ…何これアリ?」ってなった。
物的証拠より心理的証拠を重視するという心理的手法を使った推理法や、極端な自殺肯定主義など、ヴァンスの行動には納得がいかないことが多く、どうしても正義感の強い助手役マーカムの肩をもちたくなる事の方が多い。
それでも、こういうヴァンスの蘊蓄や鋭い理論が実はけっこう好き。 色々つっこみたい部分があるものの、それでも十分面白い本だと思います。なんだかんだで好きなシリーズです。
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「僧正」の名前の意味するところが明らかになったとき、思わず震えた。まさに狂気ここに極まれりだと思った。
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苦手な数学があって、うんうん唸ってましたが、これって凄い作品。思わずマザー・グースの本を買ってしまったほどです。犯人はなんとなくで分かるけど、他が全く分からないので作者の凄さに驚嘆ですよ、本当。他の作品も読みたいので早く出て欲しいものです。
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ミステリーの中でしばしば使われる見立て殺人。
そのはしりがこの作品ーらしい。
内容は、読みづらい感じは少し受けたものの古臭さはあまり感じませんでした。
だあれが殺した駒鳥
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読んでいてやはり現代とのズレは感じずにはいられないが、見立て殺人という発想はすごい。題名の真意を知ったとき愕然とせずにはいられない。
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ヴァン・ダイン『僧正殺人事件』を読了。国外ミステリに詳しくなくても、おそらく耳にしたことくらいはあると思われるほどの有名作。
翻訳者が合わなかったのか、それとも単に翻訳ものを読み慣れていないだけだったのか、慣れるまで多少かかってしまった。途中からは作品を純粋に楽しめた。もちろん自分なりに推理をしながら。
しかし、これは相当難しかった。自力で謎を解ける人はいるのだろうか。相当の熟練者でなければ厳しいだろう。
犯人は僧正(ビショップ)を名乗り、マザーグースの童謡に見立てて殺人を犯す。しかし、怪しいと思われる人物(不審な言動等をする)が多く、その時々の犯行が誰に可能だったのか見当がつかない。
ただ、作者はヴァン・ダインなので、ミステリの有名な決まりごと「ヴァン・ダインの二十則」は守っているはずだと思っていた。なので、さすがに中盤や終盤になって登場した人物が犯人のはずはないと思い、けっこう序盤から出ている人物、さらに使用人などではない人物に絞っていた。
そして実際に、犯人はかなり始めの方に登場した人物だった。
ただし、ここから驚くべきどんでん返しがある訳だが、ネタバレになるのでそれは書けない。
それにしても、僧正は気の抜けない奴だった。最後まで何があるか判らないのもミステリの面白いところだろう。
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1ヶ月以上かかって読破した為、あまり集中出来ず、面白さも半減・・。
しかし、ラストのラストには衝撃!
ヒース刑事は彼を逮捕しないのだろうか・・。
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古典的名作である。恥ずかしながら初読。なんだか悔しい。ヴァン・ダインは「ベンスン」「カナリア」「グリーン」と読んで、なぜか「グレイシー・アレン」や「ウインター」に飛んでしまった(ケンネルとカブトムシは読んだかな?)。で、その後期のつまらなさにあきれてしまって、時代遅れの作品群として脇に追いやってしまった印象がある。なぜ、シリーズの中でもっとも評価の高い作品の一つである「僧正」を抜かしているんだろう?
きれいにまとまった古典的傑作である。マザーグースの歌のとおりに連続殺人が起きていく。もっと時代があとになるとそういう見立てそのものにひねりが利かせてあったりするのだけど、びっくりするほどストレートである。見立てをトリックとして使うのではないのが逆に新しく感じられる。端正な構成をしているだけに、見立てが醸し出すゆがんだ美意識のようなものが、次第に登場人物の心理を追いつめていくのが鮮やかで、作品世界そのものに緊張感があって楽しい。
名探偵ファイロ・ヴァンスは、まさに古典的な雰囲気のアマチュア探偵である。物語の進行を無視してまでうんちくを語りたがる癖があるイメージがあるが、この作品ではそれが不快でなかった。数学やチェスの話がきちんと殺人事件と結びついていて、特にチェスについてはなかなかお見事。そのほか、博識であることをうまく利用した物語の展開が効果的で、特に最後の方は鮮やかである。雑談の部分にしても、ちょうど相対性理論が構築された頃なので、僕にとってはとても興味深かった。乃木将軍にちらりと言及されるあたりも、思わずニヤリとするところだった。
とにかく、今まで読まないでいたことが悔やまれる傑作。新しいものを追い求めるよりも、定評ある古典を引っ張り出してみようかな、限りある命なのだから、と思うことしきりである。
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ヴァン・ダインという人は二十則といった推理小説の規則を設定したり、エラリー・クイーンに強い影響を与えたということから、論理的な謎解き推理小説を書く人なのだと勝手に思い込んでいましたが、数冊読んでイメージがだいぶ変わりました。
僧正殺人事件では、マザー・グースの詩を模した殺人事件が次々に起こっていくのですが、証拠を残さない知的な犯罪者が相手とあって、事件解決の手掛がかりとなるような物証に乏しく、解決編を前に本を閉じて読者が犯人を指摘してみせる、などという事はたぶん無理なのではないかと思います。でも、それじゃあ本書が推理小説として全くつまらないかというと、これが結構面白い。たぶん、ヴァン・ダインは、証拠や手掛かりをパズルのピースのように組み合わせて解いていく論理的な推理小説を目指したのではなく、決定的な物証の乏しいなか、いかに知的推理だけで探偵が犯人にたどり着くか、その過程を面白く描くことを指向したのではないかという気がします。
特に、ヴァン・ダインは登場人物に疑いの目を向けさせるのが本当にうまい。次から次へと別の人物に嫌疑がかかるような書き方をするものだから、最終的には主要登場人物全てが疑わしくて、物語の後半に容疑者が絞られていく段階になっても、誰が犯人でもおかしくないという状況を作り上げています。このことが最後に劇的な効果をあげる訳ですが、そこは読んでのお楽しみということで。
ところで、一時期サイコキラーを扱った小説が流行って、「またか!」とうんざりしたこともあるのですが、本書は現在に続くサイコ・サスペンスものの嚆矢ともいえる作品なのだそうです。そんな犯人に対する探偵役ヴァンスの心理分析は正直ちょっと強引というか牽強付会な気がしなくもないのですが、当時、新しい知識が古い常識を脅かしつつある様子が伺い知れて面白く感じました。
いつの時代でも異常殺人者というものは存在するのだと思いますが、より多くの人が、従来の価値観が新しい価値観に脅かされていると強く意識する時代に、こうした理解し難い犯人が小説などでもてはやされるのかもしれないと漠然と感じた次第です。
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やっぱフリークとしてはこの辺も押さえとくべきよね!(今更…)というわけで、新訳刊行に合わせて手に取りました、初・ヴァン・ダイン。ノックスの十戒と合わせて有名な二十則をまとめた作家としても有名ですね( ^ω^ )…何か、この辺の王道を押さえてないのにフリークって言うのも恥ずかしいな…ま、いっか←
探偵役のファイロ・ヴァンスの迂遠な言い回しや、マザーグースに見たてて次々と死んでいく容疑者達、そしてこれでもかと言わんばかりの見取り図とタイムテーブルのオンパレード!そして、二転三転する真相追求!
これぞ本格推理小説の真髄です。ちょーっとペダントリーが過ぎる気もしますが、そこはそれ、お約束ですよね(笑)。
犯行を重ねるにつれ容疑者を限定していく犯人の行動に若干の違和感を感じつつ、「そんなん言ってたら孤島ものとか山荘ものは違和感ありまくりよね…」と言うわけで、様式美の前にあってはリアリティなんて何の意味も無いのよね!寧ろ邪魔!!←と改めてミステリの非日常に酔いしれました。
…読み終わって結構経つせいか、あまり書けないな…
【だあれが殺したコック・ロビン?
「それは私」とスズメが言った
「私の弓と矢でもって
コック・ロビンを殺したの」】
マザーグースの有名な童謡と酷似した状況で死体が発見された。新聞社に送り付けられた犯行声明文は「僧正(ビショップ)」を名乗っており、世間はあまりにセンセーショナルな犯行に騒然となる。そして、第二・第三の童謡に見たてた死体が発見された!