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投稿者:井端隕石 - この投稿者のレビュー一覧を見る
2022年2月に亡くなられた私小説作家の快作。
マ○コはくさい、か……ふむ、違げえねえ(「陰雲晴れぬ」)
痺れるような主人公のゲス振り。哄笑しながら読むのが正当だと思います。違げえねえ。
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貫多と秋恵。
芥川賞受賞作の「苦役列車」は未読。
あたしには向かない。
かなりの努力を伴って読み進めた。
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読めば読むほど不思議な小説である。
書いてあること自体は何の変哲もなく、別して感動も驚きもない。
でも、なんつうかジワッとくるんだよね。
新作が楽しみな作家であります。はい。
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北町寛太シリーズで貫太にようやく秋恵という恋人が出来て一緒に暮らし始める「隠雲晴れぬ」から秋恵と別れたあとの話しの「腐泥の果実」まで貫太と秋恵の話しが4編収録されている。
相変わらずの賢太節で仔細な事に腹を立てて自分の事は棚に上げて秋恵に怒り出す。最後の作品では出て行った秋絵に未練たらたら・・・
マンネリで少しパワーも落ちたかなっと思うこともないんだけどこれはこれで面白く読むことが出来ました。
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西村賢太氏の最新単行本。
おなじみ北町貫多が、恋人秋恵と同棲し、やがて去られてしまうまでの物語。数篇の短編小説が連作の形で収録されている。
秋恵のことを書いた小説は、秋恵シリーズというらしい。今回の小説の中で、同じテーマ(秋恵)ばかり書いているようなことを貫多が言っている。秋恵は西村氏にとって永遠のテーマのひとつであるようだ。
あいかわらず筆が冴え、これ以上ない自虐的なエピソードにしばしばうんざりする思いになりながらも、やっぱりクスクス笑ってしまう。自分を落としこんでユーモアをもたせる腕が達者である。
秋恵は実在するのだと思うが、こんなにあからさまに書かれてしまうと、本人としてはたまったものではないだろう。
私小説を書くということは、回りの人間との関係性を壊してしまうくらいでないと、作品としては成り立たないのだと、あらためて思う。
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いつも通りの短編集。芥川賞受賞後初の短編集らしいが、受賞前と何が違うのか、あるいは何かが違っているのかは知らない。
個人的にもっとも面白かったのは「腐泥の果実」。木枯しの吹く寒い日、主人公北町貫多は文具店で以前交際していた女性が誕生日にプレゼントしてくれたものと同じペン皿が売られているのを見つける。自身が犯した過ちを悔いるとともに思い出の世界に没入するが・・・そんな話。
秋恵に未練は無いと前半で言っておきながら終盤で「今もただ一人の女性」と認めてしまうところは安定の面白さ。しかもどうしょもないオチまで付いている。
ただ、大切な恋人を失ったと言うより、心の寂しさを埋めてくれるピースを無くしてしまった・・・という感じの印象を受けるのは何故だろう。
甘えさせてくれる対象を求めるマザコン、とも違う気がする。ボロボロの家に入り込む隙間風から必死で身を守ろうとしているような・・・
こんなモノを読んでしまっては、誰かに好意を抱くたびに「それは愛情なんかじゃなくて自分の空虚・寂しさを埋めようとしてるだけなんじゃないの?」と自分に問いかけたくなってしまう。余計なことは考え過ぎない方が幸せになれるだろうに。
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めんどくさい女子って話はよく聞くけど、本作はほんっとめんどくさい男子が出てくる。その男貫多の夢の同棲生活、相手とのやりとり、全体的にレトロ感ただようのに、なぜか新しいおもしろみがあるのは、さすが平成の四畳半小説家のなせる技か。
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「ぼく、おまえをずっと大切にするから、今後ともひとつよろしく頼むよ」
待望の恋人との同棲生活の始まり。
仲睦まじく二人で迎える初めての正月に貫多の期待は高まるが、些細な事柄に癇の虫を刺激され、ついには暴言を吐いてしまう。
二人の新生活にあやうく垂れ込める暗雲の行方は―。
…
これは"秋恵シリーズ"というんでしょうか。
新潮文庫から出ている「廃疾かかえて」(読みた〜い)にも"秋恵"が出てくるそうなので。
本書は連作短編集になります。
収録内容は、
「陰雲晴れぬ」
「肩先に花の香りを残す人」
「寒灯」
「腐泥の果実」
…
主人公はお馴染み貫多。
待望の"恋人"との同棲生活の始まり〜破局に至る過程が描かれます。
いやー、もう…よく1年持ったなぁと。秋恵ってば忍耐強い!
私だったら、貫多とは同居、ぜっっったい無理ですね。
お付き合いも無理。
とてもじゃないけど耐えられない(苦)
でも私も案外、貫多タイプなので…うわぁ凄いサイテーじゃん;
でも、小説として読む分には面白い1冊です。
最初は互いに気を使って〜貫多の横暴さとそれに耐える秋恵〜冷めた秋恵の流れ、特に秋恵の変化が生々しくて!
秋恵には悪いけど、貫多がキレて罵詈雑言を浴びせる喧嘩シーンとか笑えます。
人の喧嘩って離れて見ると面白いもんなー(←悪趣味
好きなシーンは、「肩先に花の香りを残す人」から…
嗅覚が鋭い貫多は、タクシーで上着に整髪料の臭いが移ったことに腹をたてます。
「ああっ、何んだよもう! クリーニングに出したばかりのジャケットなのに!」
とキレる貫多。
そして怒りの矛先は秋恵に向けられ…
「今日からぼく、おまえのことを畜膿女と呼んでやるからな」
「…………」
「返事をしろい、畜膿女!」
(略)
「なにがちくのう女だよ! イヤなこと言わないでよ!」
と以降、壮絶な舌戦が繰り広げられる事になるんですが…もうこの喧嘩シーンが最高で(爆)
畜膿女!って…唖然ボーゼン、こうなると笑えますね、もう。
終いには「ゴキブリ女」呼ばわり。かあぁ〜。
しかもヒッドイ事いってるのに一人称は「ぼく」なんだ。
そして秋恵の台詞では「ちくのう女」と畜膿を漢字ではなく平仮名で書く辺りが上手いなぁ、と。
このあと貫多、秋恵にグサリとやられてますが(苦笑)
収録作の中では「肩先に〜」が一番好きですね〜。笑えるし。
面白かった〜♪
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ようやく出来た彼女 秋恵と同棲を始めた貫多。
その約1年の同棲生活を綴った短編集。
秋恵の実家に借金をし、秋恵のレジ打ちのパート収入で生活。
自身は固定収入にならない小説を書き、陶酔する作家の高額な古本を買う。
言ってみれば、秋恵に食べさせてもらっているのだ。
だからと言って彼女を大事にするかといえば、まったくその逆、自分の欲望通りに扱うのみ。
引っ越したマンションの管理人に言いがかりをつけられたと怒り、
それを丸く収めようとした秋恵の常識的な態度にキレる。
帰宅した秋恵の肩先に付いていた香りから、彼女に疑いを抱き、
後日、自分に付いた他人の整髪料の匂いに気付かぬ彼女にキレる。
大晦日、年越しそばの出汁が薄かったというだけでキレる。
キレたら最後、ありったけの屁理屈を彼女に浴びせまくる。
どうしてそうなるのか、私には全然理解できないけど、
出てくる出てくる言葉の数々・・・ボキャブラリーの多さには感服。
決して笑う場面じゃないんだけど、笑ってしまった。
第144回芥川賞受賞「苦役列車」も読んでみようと思う。
この作者は私小説を書くので、この主人公はこの作者なんだろう。
ああ、想像しただけでも、うっとおしい。
そして、秋恵さんは最後には出ていくのだが、すごい人だと思う。
食べさせて、尽くして、キレた貫多をなだめ、悪くないのに謝る。
実在する女性なんだろうけど、今は幸せになっているかな。
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NHK週刊ブックレビューで紹介されていたので読んでみた。
他の人のレビューを見たら、シリーズ物らしい。
主人公は性格がクズな人間だけど、初めて同棲する相手を見つけた。
そのことに浮かれていたが、だんだん本性がでて、相手が去っていくという話。
主人公の性格はホント読んでいて理解出来ないレベルでダメだし、若干の不快感さえ覚えるのに、最後まで読むのは文章の上手さだと思う。
ただ、短編の連作だと思うけど、一冊の本としてみると、これで終わり?って思ってしまった。
最後まで書ききらず、読者に想像させる小説(教科書でいうと羅生門とか)はあんまり好きじゃないので・・・
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やっぱり
西村賢太はいいなぁ…。
読みながら
おいおい!とか
分かるぜ!とか
ヒド過ぎ!とか
ツッコミながら読める。
素晴らしい作家さんです。
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芥川賞受賞後、第一作との事で期待は募ったが、うーん。相変わらずに最低な主人公が主に同棲相手に向けて最低な振る舞いを行うといういつもの西村節なんだが、これに収められた短編どれもが、小手先のテクニックで書かれたという印象以上のものを残さなかった。なんか文章が濃ゆくなかった。話もリズミカルだけど、いささか安易に感じられた。
芥川賞での成功が影響してるのかもしれないが、そこまでは心配してない。俺は、西村賢太の作品は短編集によって、お気に入りとそうでもないものが、2:1ぐらいに分かれるので、今回はたまたま、そうでもないものだったのかなあ、と。 次に期待している。
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とるに足らない痴話喧嘩。ありふれた睦言に由無し言が赤裸に綴られる。いつものように身勝手な爆発が始まり侘びしく哀しい悔恨慙愧に帰結する。4つの短編がいずれもこのワンパターンに終始しているにもかかわらず飽きさせないのは磨き上げられた秀逸な筆力のなせる技。見事というほかない。ただ淡々と流れる何気ない男女の日常風景に夫婦のあり方、他者を思う心を深く見つめ直すこともできた。得体の知れない力に圧倒された。
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北町貫多の念願の女性との同棲生活が中心の内容。
これまでの作品の中でもかなり読みやすかった。
それにしても彼ほど後悔がついてまわる人間もいないのではないか。
後悔する様子を見事に描いていると思う。
彼の女性に対する態度は相変わらずにひどいものであると思う。
ただ「腐泥の果実」におけるプレゼント諸々の件は、その思考過程としてわからなくないところもある…
しかし思うところはあっても彼のような行動は決してとらない。
本作からその顚末を観て絶対に自分はそうならないと思った。
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西村賢太作品5冊目を読み終えた。芥川賞受賞作『苦役列車』よりも後に出版されたものなので、話題も比較的新しい。
以前読んだ作品にもちょくちょく登場していた恋人秋恵との同棲生活が話のメインになる。相変わらずの貫多の性癖、嫌いだわ。秋恵もよくこんな奴と付き合って、1年半以上も辛抱したなと思う。でも、男って未練タラタラなんですよ。好きな女が離れていけば、どんな愚か者でもなかなか立ち直れない未練の生き物なんですよ。そんな俺も未練タラタラなタラ男です。「腐泥の果実」では離れていった秋恵への未練タラタラ感が、情けなさと共に何故か共感できてしまう男の性が表現されていて、タラ男の私、読んでいて切なかったですわ。