紙の本
このまま裁判員制度を受け入れていいものなのか疑問を喚起する書
2008/07/22 22:06
5人中、5人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:JOEL - この投稿者のレビュー一覧を見る
本書の内容は、書名がすべてを言い表していると言ってよい。裁判員制度に対して極めて否定的な見解を持つ著者によって書かれている本である。
実際のところ、世論調査でも、裁判員に選ばれたくないという声が強い。裁判員法が成立した当時は、世間の関心が薄かった。しかし、いろいろな報道にがなされ、その負担の重さが伝わるにつれて、敬遠ムードが強くなっている。
政府は広告代理店を通じて、マスコミに裁判員制度に関する普及啓発記事を書かせているが、逆効果となっている。裁判員制度が相当にやっかいな代物であることが、知れ渡る一方なのだから。
来年5月にも始まると言われる裁判員制度の問題点を、執筆時点でなるべく平易に解説しようとしたのが本書である。裁判員制度を一刀両断に切ってみせる手さばきは一貫している。あらゆる角度から、いかに問題が多い制度であるかを示してくれる。
拘束されるであろう日数、死ぬまで守らなくてはならない秘匿義務、有罪・無罪だけでなく量刑までさせられる無理、裁判員候補に選ばれたあとに根掘り葉掘りプライバシーを暴かれる理不尽さetc。
頭から裁判員制度を否定してかかっている本であることを念頭に置いて冷静に読んでも、これだけの負担が、法律に疎い国民にふりかかってくるのかと驚いた。
率直に言って、このような負担は背負いたくない。とてもではないが、重大犯罪の量刑など、ごく普通の国民にはできない。死刑を言い渡したあとに残る心の痛みをずっと抱えて生きていくことなど、はたして可能なのだろうか。
検察、弁護人の双方から証拠や反証が出され、その妥当性を吟味する行為は、法律のプロにして初めてできることだろう。そのための「資格職業」として、裁判官や弁護士が存在するのだから。
欧米では、市民の司法参加は一般的であるなどというところから導入が図られたらしいが、あちらでもおかしな審判が下っていることには枚挙にいとまがない。
最後の方の章で、裁判員に選ばれるのを免れる方策をたくさん示してあるのには笑えた。しかし、そのくらい避けたい裁判員制度である。
地方の弁護士会の中には、裁判員制度の延期を決議したところもある。プロが決議するのだから、よほどひどいということだ。
泳ぎを知らない者が、ある日、水泳インストラクターの指名を受けるなどということがあれば、だれしも無謀なことと思うだろう。それに近いことが、裁判員制度では起きる。
司法改革のように見えながら、実は裁判員制度は、国民の個人情報を収集するシステムとしても機能させられるようにしてある。裁判員として適格かどうか判断するために、洗いざらい調べられ、申告をさせられる。このあたりに、ソフトな管理社会の意図が見え隠れする。
近年に比較するものがないほど、おそろしい制度の導入ではないだろうか。司法に携わる人たちは、もっと本音で裁判員制度について語り、問題があるなら出直しさせてほしい。
「裁判員参上!」という看板がセンスがないとして直ちに書き直された。そのくらい国民の意識から遠いところで仕事している人たちの手になる法律であり、制度であることはおさえておきたいものである。
(本書は裁判員制度を最悪のシナリオで描いてある。この点をあらかじめ承知の上で読み始めないと、書きぶりだけで好みが分かれてしまうので要注意である)
紙の本
悪意と屁理屈にみちた本
2008/06/20 23:29
12人中、5人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:Kana - この投稿者のレビュー一覧を見る
本書では裁判員制度のさまざまな問題点を攻撃している.問題点を知ることは重要だが,悪意をもって攻撃し,問題を解決するのでなく問題があるから破壊してしまおうという態度が適切なものだとはかんがえられない.本書では裁判員制度が憲法に違反しているということをくりかえし主張しているが,それは裁判員制度が他の法律とのあいだには矛盾がないので,無理矢理,憲法をもちだして屁理屈をならべているとしかおもえなかった.問題点を知るのには役にたつだろうが,あまりおすすめできない.
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手抜き審理の横行、裁判員に及ぶ迷惑など、問題山積の新制度が日本の
司法を、国民の生活を滅ぼす! 元判事の大学教授が「現代の赤紙」から
逃れる方法を伝授し、警鐘を鳴らす一冊。
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裁判員制度の批判書。これを読めばとりあえず裁判員制度とは何か、とその欠陥について理解できる。
ただ、最初から最後までこの制度の批判で疲れる。少しは裁判員制度のメリットも検討すべき。それと国民を少々馬鹿にしている記述がある。
結論としては僕もこの制度には賛成しかねる。違憲の可能性が高いと思う。
2年後には開始される制度。選ばれたときに困らないでいいようにこの本じゃなくてもなにかしら裁判員制度について書かれた本を読むべきだと思う。
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裁判員制度の問題点が分かりやすく書かれている。しかしまぁこれだけ問題が山積している中裁判制度を導入して一体誰が得をするんだろう?『拒否できない日本』を読めば分かるのかな。
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尊敬する教授の最新刊。裁判員制度を徹底糾弾してます。同制度に批判的な立場からの意見を理解するには最適の書。
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とにかく裁判員制度について反対という立場で書かれた本。制度自体の詳しい説明、そしてなぜ問題があるのかと丁寧に書かれている。全体的に著者の主張が強く出ているが、それを割り引いて読めば裁判員制度についてよく理解できる一冊。
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やべーよコレ。
もう遠くない将来なのにこんな制度の内容を全く知らないこと自体おしまいっすよ日本!絶対読まなきゃいかんですよ!
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裁判員制度が国民にとっていかに問題の多いものかを力説していて西野氏の意見に概ねは賛同できる。最も致命的な欠陥と思われる点はやはり裁判員制度が憲法に反しているという点だ。これは裁判官、刑事被告人、裁判員になる国民のいずれにとっても関わってくるのでお粗末というより仕方ないように思う。それに、そもそも国民が凶悪事件の量刑に不満があったとしても国民は司法に対して不満を抱くよりはそのような法律しか用意していない立法に対して不満を抱くだろうから、裁判員として参加することは的外れな上に、ただでさえ時間のかかる裁判を長期化させる弊害さえある。ただこの本の難点をあえて言えば、裁判員制度の問題点を極めて網羅的に記しているのでとても説得的である反面、裁判員制度賛成派の思考過程を全くの思い込みか信仰に近いものとしてしか述べていないので、結論としてあまりにワンサイドゲームのような印象を残してその説得力を若干落としている。賛成論がいかに思慮に浅く、討論に時間をかけず、短絡的で、妥協の産物でしかないものだとしても、司法改革審議会がいう問題意識や検討内容をもう少し事実として紹介しておいた上でなぜそのような議論が可能なのか分析しておかないと、せっかくの正論も都合のいいところを貼り合わせたものとして疑われてしまうのではないだろうか。
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080408購入。080422読了。
法学部として、というか一般常識として「裁判員制度」がどんなものか知っておくべきだと思い購入。タイトルからしてすでに、この本が裁判員制度批判の書であることを示しているが、全編を通して、著者はこの裁判員制度というものにこれっぽちの希望も見出していない。批判一辺倒である。裁判員制度の問題がいくつも挙げられている。
?国民は誰も望んでいない
?憲法で定められる76条3項「裁判官の独立」や19条「思想・良心の自由」が侵害される可能性がある
?制度手続自体の問題(手続更新)
?起訴への影響(たとえば、強盗傷害を窃盗と傷害に分割し、裁判員審理の対象外とさせる)
?被告人への興味本位の尋問による精神的損害
?候補者のプライバシー(選任期日時の質問<思想・信条・前科・経歴>に答えなければ最大30万円の過料)
?裁判員の仕事や生活を考慮し、審理が粗雑になるかもしれない
その他もろもろ悪いことばかり。よくもここまで悪い点しか出てこない制度の法案が可決されたものだと思う。著者が批判ばかりしているので、偏向的な本でないかと眉につばをつけながら読んだが、今のところ妥当な批判かと感じる。裁判員制度の目的は「裁判内容に健全な社会常識が反映されるようにすること」であるそうだ。吹き込まれる社会常識が健全であればよいが。
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やはり、反対派からの視点で徹底的にこきおろしている。制度の由来から、制度開始後の逃れ方までが書かれている。制度に対して考える機会にはなるが、支持する気は失せるだろう。
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これは読んだ方がいいです。
内容は、どれだけ「裁判員制度」が未熟な制度であるのか。
国民の事をどれだけ理解せずに作られ制定された制度なのか。
そういった事が書かれています。そして要約すると、
1.裁判員制度を撤廃しろ!
2.不満や不備など、現行制度においてもっと望まれ改革できる部分がある!
3.例え始まっても、テクニックで裁判員を辞退できる!
以上の3つです。
本書を詳しく読めば分かるのですが、本当にこの制度は劣悪です。
まったく国民の事を考えていない。そして、この制度自体意味がない。
例えば、裁判員制度が実施されるのは「劣悪な事件」の一審だけです。
つまり、殺人や放火、銀行強盗など非常に罪が重い事件が起こり起訴された時に
国民のなかから6人ほど選ばれ、裁判をします。
そして、一審で判決が被告に下されるわけですが、当然弁護士か検察か
どちらかが上訴します。しかし、高等裁判所での二審判決には「裁判員」は
いないのです。つまり、現行の制度から言うと
「二審以降の判決には、裁判員は必要なく、従来通りのプロ達だけで裁きます。
その方が、より公正に判断できる。
という事になります。
二審以降、裁判員が必要ないのであればなんのために裁判員はいるのでしょうか?
本当に意味が分かりません。
それ以外にも、多くの事で国民負担が増えます。
早くこの制度を見直さなくてはなりませんね。
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裁判員制度がどれだけいい加減な制度で、憲法に違反しているか。国民のプライバシーも侵害するわ、果ては経済にも打撃を与える??!
一番びっくりしたことは、「裁判員制度は重大な刑事事件が対象」なのに、裁判員制度を作った人たちの中に、刑事事件の専門家がいなかったということ!!おそろしや。
裁判員に日当等を出さなければならないけど、それって税金だよね?? 裁判員が裁判に出席するために、仕事を休まなければいけない。企業が有給休暇として扱ってくれるとは限らないし、自営業の人にいたっては、商売を休んだ分の保障は、どこからもでない。
また国民が逃げ出さないように、「裁判を迅速に行うこととする」とあるけど、「適正さ」に欠ける裁判になるのではないか。
そもそも素人である国民に、一から説明しなければならないんだから、通常より時間がかかって仕方ないよねー。それなのに裁判の時間を短縮するんだったら、ますます裁判が「適正」かどうかなんてどうでもいいっていう雰囲気になっちゃいそうだよね。
また裁判員と裁判官の一票の重みが同じということは、裁判官のプロ意識を削ぐのではないか。
人を裁く重みを味わうのは、裁判官はそれを覚悟の上で就くのだから、まぁ仕方がない。だけど国民にそれを押し付けるのは酷じゃないか。だが「人を裁くのに自信がない」という理由の辞退は認められない。でもそんな人に裁かれるのって・・・・??
また自由に裁判員は被害者である証人に質問ができる。裁判員によっては、興味本位でいらんことまで聞いてくるのでは??という恐れも。犯罪被害者がますます傷つく可能性も十分にありうる。
こんなとんでもない裁判員制度から、逃れる方法まで書かれている。中には「呼び出し状がきたら、犬に食べられたことにすればよい」との案まで(笑
専門用語をあまり使わないし、わかりやすく書いてあるので、ぜひいろんな人に読んで欲しい!!!!
裁判員制度に賛成している人の本も見てみたいな。
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できれば裁判員に選ばれたくないという気持ちがあるのは事実だが、
本書のように徹底的に叩くものでもないと思った。
おそらく、著者は一般市民に裁判に参加してほしくないのだろう。
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[ 内容 ]
元判事の大学教授が「赤紙」から逃れる方法を伝授。
恐怖の悪法を徹底解剖。
[ 目次 ]
第1章 裁判員制度とはどのようなものか
第2章 裁判員制度はどのようにしてできたのか
第3章 無用な制度-誰も求めていないのに
第4章 違法な制度-憲法軽視の恐怖
第5章 粗雑な制度-粗雑司法の発想
第6章 不安な制度-真相究明は不可能に
第7章 過酷な制度-犯罪被害者へのダブルパンチ
第8章 迷惑な制度-裁判員になるとこんな目に遭う!
第9章 この「現代の赤紙」から逃れるには-国民の立場から
終章 いま、本当に考えるべきこと
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