- 販売開始日: 2013/01/11
- 出版社: 新潮社
- ISBN:978-4-10-330814-0
雲の都―第五部 鎮魂の海―
著者 加賀乙彦 (著)
悠太もいまや六十代半ば、娘・夏香は父親が神戸で町工場を経営する青年と結婚し、息子の悠助もプロのピアニストを目指し始める。ところが、阪神大震災と地下鉄サリン事件が二人の運命...
雲の都―第五部 鎮魂の海―
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商品説明
悠太もいまや六十代半ば、娘・夏香は父親が神戸で町工場を経営する青年と結婚し、息子の悠助もプロのピアニストを目指し始める。ところが、阪神大震災と地下鉄サリン事件が二人の運命を大きく変える……。昭和初期から世紀末までの波乱の時代と一族の歴史を描く著者のライフワークついに完結。
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ボランティアとして勤労奉仕を敢行するくだりは感動的
2012/09/08 09:47
2人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:あまでうす - この投稿者のレビュー一覧を見る
前作と同様どこまでが事実で、どこまでがフィクションか分からず、その中途半端さがこの物語への沈入と熱中を妨げてはいるものの、60歳を過ぎた主人公が震災の翌日に家族と共に芦屋に駆けつけ、親戚の遭難と災害を救援するのみならず、おのれの精神科医師としての技量を罹災者の心身のケアに役立てようと単身過酷なボランティアとして勤労奉仕を敢行するくだりは感動的で、小説の出来栄えはともかくその犠牲的精神には深い感銘と共感を覚える。
その阪神淡路大震災やオウムのサリン事件、NYの9.11テロなどが生起する中で、登場人物はどんどん歳を取り、その多くが次々に死んでゆく。誠に人世は儚く、諸行は無常の世の中といわざるをえない。
外国では胃ろうなぞせぬと聞く死ぬときは死ぬがよかろう 蝶人