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投稿者:名取の姫小松 - この投稿者のレビュー一覧を見る
イタリアはフィレンツェのメディチ家直系のカトリーヌはフランスの第2王子アンリの妻となる。ところが王太子の第1王子が急死し、カトリーヌは王太子妃になる。メディチがメディカルから来ているから薬屋の娘、平民出と軽く見られ、陰謀を企んでいるのではと疑われ、夫は寵姫に夢中。宮廷では辛い立場にいる。
カトリーヌは耐えに耐え、どっしりと根をおろす。
ノストラダムスは名前ばかりでオカルト色や権謀術数は少なめ。
モノローグで語ろうとも、腹の底の見えない、それでいて生真面目に居場所を作ろうとした女性の話。
東西南北今も昔も、信心ほど恐ろしいものはない
2013/01/18 18:54
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投稿者:あまでうす - この投稿者のレビュー一覧を見る
イタリアのメディチ家からフランス王家に輿入れし、国王アンリ2世の王妃となった一代の女傑カトリーヌ・ドゥ・メディシスの半生を描く著者お得意の史伝小説である。
夫が騎馬槍試合における不慮の事故で亡くなって以来、彼女は常に黒衣を纏ったことから、「黒王妃」と呼ばれるようになったという。ここで興味深いのは当時フランスでは喪に服す着衣は白であったにもかかわらず、あえて黒を選んだことである。
服飾史研究家の増田美子氏の研究によると、本邦で喪服が黒になったのは奈良時代からで、それまでは白だった。その後室町から江戸時代にはふたたび白に戻り、明治維新で西欧にならってまたしても黒となって現在に至るそうだが、その倣った欧米というのはおそらくドイツだろうから、独仏自体も白黒いろいろ変遷していたのではないだろうか?
この国でもむかし血族の死に際会して、どうしても黒服を纏うことをがえんずることなく断固として平服で通した人がいたが、私にはその気持ちがよく分かるような気がした。
だいぶ話が書物から飛んだが、ともかくこの腹の据わった黒衣のイタリア女が、周章狼狽する息子の国王シャルル9世やアンジュウ公アンリの首根っこを押さえながらあの有名な「聖バルテルミーの大虐殺」を引き起こす。
1572年8月24日、現在のルーブル美美術館一帯は数千人のユグノー(プロテスタント)教徒の死者で溢れ、セーヌ河は深紅の血に染まったというが、東西南北今も昔も信心ほど恐ろしいものはない。
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舞台は16世紀フランス。
イタリアのメディチ家から嫁いだカトリーヌは夫であるアンリ2世の死後、
自分の子どもたちの王政を支えます。
書かれているのは、長男フランソワ2世と三男シャルル9世の治世です。
この頃のヨーロッパは宗教革命の最中で、各国同士の争いに加えて、
国内のカトリックとプロテスタントとの争いも激しくなっている時代です。
物語は歴史を辿る描写と、
その中でカトリーヌが思ったことを独白しているような部分とで構成されて、
淡々と進んで行きます。
黒い衣服を好んで着たから黒王妃と呼ばれたカトリーヌ。
平民の出身でありながら、どの王族よりも国の長としての自覚があって、
芯が通っていて血を見ても怯まず、堂々と迷いなく政策を進めていきます。
歴史小説というジャンルになりますが、
ある意味で家族小説、とも言えるんじゃないかなと思います。
母と子どもたちの関係が描かれ、兄弟間の嫉妬が描かれます。
それから、母子家庭でもあるので、
子どもが家臣に父親の姿を重ねている様子も描かれています。
やがて、その兄弟間の不満、というか満たされない心が、
家庭を狂わせて、不幸を引き起こしていきます。
さらに、もう一つの側面として、
恋愛小説とも言えるんじゃないかなと思います。
カトリーヌが独白している部分では、夫であるアンリ2世と
その愛妾であるディアーヌ・ドゥ・ポワティエのことも語られます。
夫に愛されたい、愛妾が憎たらしい、
悔しい状況が続く中で彼女はひたすら我慢しました。
辛い恋愛だったんだろうなぁと思います。
いろいろな読み方のできる小説でした。
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東西南北今も昔も、信心ほど恐ろしいものはない
イタリアのメディチ家からフランス王家に輿入れし、国王アンリ2世の王妃となった一代の女傑カトリーヌ・ドゥ・メディシスの半生を描く著者お得意の史伝小説である。
夫が騎馬槍試合における不慮の事故で亡くなって以来、彼女は常に黒衣を纏ったことから、「黒王妃」と呼ばれるようになったという。ここで興味深いのは当時フランスでは喪に服す着衣は白であったにもかかわらず、あえて黒を選んだことである。
服飾史研究家の増田美子氏の研究によると、本邦で喪服が黒になったのは奈良時代からで、それまでは白だった。その後室町から江戸時代にはふたたび白に戻り、明治維新で西欧にならってまたしても黒となって現在に至るそうだが、その倣った欧米というのはおそらくドイツだろうから、独仏自体も白黒いろいろ変遷していたのではないだろうか?
この国でもむかし血族の死に際会して、どうしても黒服を纏うことをがえんずることなく断固として平服で通した人がいたが、私にはその気持ちがよく分かるような気がした。
だいぶ話が書物から飛んだが、ともかくこの腹の据わった黒衣のイタリア女が、周章狼狽する息子の国王シャルル9世やアンジュウ公アンリの首根っこを押さえながらあの有名な「聖バルテルミーの大虐殺」を引き起こす。
1572年8月24日、現在のルーブル美美術館一帯は数千人のユグノー(プロテスタント)教徒の死者で溢れ、セーヌ河は深紅の血に染まったというが、東西南北今も昔も信心ほど恐ろしいものはない。
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佐藤賢一の本で今までで一番面白かった!
カトリーヌ・ド・メディチの自分語りが秀逸。
この時代の歴史を知ってるとより面白く読める
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フランス王アンリ2世妃カトリーヌ=ドゥ=メディシス~メディチ家からフランス王フランソワ1世の次男に嫁いだカトリーヌは,料理を始めとする文化を持ち込んだが,地味な女として知られ寵姫ディアーヌ・ドゥ・ポワティエの陰に目立たない存在だった。ディアーヌはスペインに父の身代わりに人質となる7歳以来,母親の愛情に飢えていたのだが,ディアーヌだけは優しく額にキスをして送り出したのだ。北西と南東と西に戦いに駆けめぐり,大元帥の保身の為に煮え湯を飲まされ,王妹の輿入れのための馬上槍試合で試合に勝ったにも拘わらず相手の折れた槍が面貌内に入り,右眼を失って命を落とした。そもそも一つ年上の兄フランソワが生きていれば王になることもなく,冷遇の故に無口になった夫だった。フランス王家で喪服は白と決まっていたが,カトリーヌが黒を使ったのは王家こそが我が家であると自覚できたからだった。長男フランソワ2世の年上の嫁マリー・スチュアールはスコットランドから我が家を奪いに来た女に見える。中耳の膿が脳に回ってマリーは必死に開頭手術を求めるが,我が子に余分な苦しみを与えないことが母の愛だと断念した。嫁はそうそう郷に帰す。次男のシャルルを王にして実質摂政と地位の占めるが,新教徒も旧教徒も王家の権限を奪いに来る。シャルル9世を数年に及ぶ行幸を続け,体格に優れた王となったが,新教徒との戦いに王家を担ぎ出そうとする勢力にはうんざりだ。精力は外に及ぼすべきだが,力を注ぐべきは長女の嫁ぎ先であるスペイン・フェリペ2世ではなく,反乱を起こしているゴイセンのネーデルラントでもなく,半島であるべきなのだ。子の中でしっかりしているのはスペインに嫁いだエリザベトだが,すっかりスペイン人になって死んでしまった。一番可愛いのはアンジュー公アンリで,シャルルを抑えて戦功を挙げさせることができたが,男色に走っている。次女マルグリットは兄たちと関係を持ち,新教徒のキーズ公アンリとも関係を持っているとなれば気が気でない。シャルルは新教徒のコリニィ提督を父の様に慕ってネーデルラントに誘い出そうとしている。気を変えるためには,マルゴとナヴァル王アンリの婚礼で,コリニィの暗殺を仕掛け,母か父代わりかを選ばせ,狂喜に走らせるしかなかった~イタリア女にとって最も大切なのは家族。店屋の娘と蔑まされたカトリーヌ=ドゥ=メディシスにとっては,夫の寵姫が威張り散らしている一家を夫の死に際して自分のモノとすることだけが大事だった。世界史の中で出てくるサン=バルテルミの虐殺を詳細な検証により,旧説を覆らせる大胆な試みだ。でも・・・王母の回想があちこちに飛んでしまって,しかも登場人物が多くて,関連が複雑だから,ちょっと視点が元に戻せないなぁ
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この時代には、以前から興味があったので、おもしろく読めました。
カトリーヌ・ド・メディシスという歴史上の女性を身近な存在に感じました。
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フランス王妃カトリーヌ・ドゥ・メディシスの半生を描いた作品。フランスに嫁いでから、聖バルテルミーの虐殺まで。
カトリーヌの独白の部分が、王妃っぽくなくて面白い。個人的には、この時代のフランス&イタリア大好き、メディチ家も大好きなので、かなり面白かった。
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フランス王アンリ2世の王妃、カトリーヌ・ドゥ・メディシスの物語。
小説は、ユグノーの台頭に揺れる 彼女の息子フランソワ2世とシャルル9世の治世時代を描きながら、それにカトリーヌの独白が差し挟まれる構造で進行します。
この独白部分がなんとも面白い。嫁の悪口あり、夫の寵姫(←公認の妾、しかも夫より19歳も年上!!)へのうらみつらみ・・・。ひたすら地味で目立たない、影の薄い存在だった王妃が、忍耐の末に、いつしかどっしりとゆるぎない王母へと変貌していく様が非常に興味深かったです。
それにしても、登場人物の名前が、アンリとフランソワだらけで、非常に難儀しました(笑)一応系図は付いているんですが、もうちょっと広範囲だとよかったかな。
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フランス国王アンリ2世の妃カテリーナ・デ・メディチの物語。
現在進行の物語とカテリーナの回顧の物語とが交互に記述される構成が面白い。
現在進行は息子のフランソワ2世の治世からサン・バルテルミーの虐殺まで、回顧の物語はアンリ王子との結婚からアンリ2世の死までが描かれる。
いつもの品のない口語文ではあるが、自分が世界史(フランス史)をよくわかっていないので、物語を理解するのに時間がかかってしまった。
ただ、自分はノストラダムスの大予言ブームの世代なので、回顧後半をしめるアンリ2世の死については懐かしかったです。
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フランスの歴史が良く分からないからちょっと読むのが大変でした。でもその代わりに主人公の黒王妃カトリーヌの語りの部分が面白かったです。
なんというか王妃とここだけの話をしてるみたいでした。
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聖バルテルミーの虐殺にいたる王母カトリーヌ・ド・メディシスの治世を、王母の独白を交えながら描いた歴史絵巻。佐藤賢一の中ではちょっと落ちるかな。しかし、ここら辺のヨーロッパ中世史って分かりにくくて上面の出来事しか知らないので小説にしてくれると高校時代に覚えたことに彩りが加わって楽しい。
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名前がごちゃごちゃして分かりづらく、カトリーヌの夫の愛を争う時代と子供の王としての黒幕の時代が交互に語られて、これもまたややこしい構造で、、、とにかく権謀術数の宮廷の嫌らしさがよく分かった。
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地の文はフランソワ2世の治世から聖バルテルミ虐殺まで、カトリーヌ・ド・メディシスの独白による回想はアンリ2世との結婚から夫の死まで、両者が並行して記述される。
佐藤賢一にしては女性の書き方もあんまり下世話じゃなく、なんとカトリーヌに好感を持たせる記述になっている。
融和指向だったカトリーヌがなぜ聖バルテルミを惹き起こしたのか(乃至許容したのか)をどう表現するのかと思っていたが、それはあまりよく描かれていなかった。融和を求める考えが結構書き込まれていただけに残念。コリニーが息子の父親面したのが家族を守るマンマとして許せなかっただけでは弱いでしょう。コリニー暗殺教唆だけならともかく…
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直木賞作家らしいのですが、、、面白くなかったので、読むのを止めました。
映画「アン・ブーリン」の様なドロドロした面白いものを期待したのですが、黒王妃であるカトリーナの心の声がよくある感じを抜けず。