想像ラジオ

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わかるはずもなくわかるなどと言えるわけもない。きっと、だからこそ想像をするしかない。
実際にあった事象を題材としたフィクション、という想像の上に、想像ということばを重ねる。こういう書き方もあり、こういう繋がり方もあるのだと、思わせてくれた。

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「ノーライフキング」が好きだった。何度か読み返したものだ。
だから、この本も読んだ。読み終わってなんだかがっくり打ちのめされている。

人間の能力の中でもっとも恐ろしいもの。それは「想像力」だと思う。
「ない」ものを思い浮かべる能力。
DJアークがかけたと主張する音楽はほとんど知らない曲ばかりだったし、そもそも私は音を脳内で再生する能力が低い。ましてや、実際に聞こえていない声を聞き取ることなどとうていできない側の人間である。そのことを、読んでいる間中強く強く思い知らされた。
もっとも恐ろしかったこと。それは、死んでも意識が、声がなくならないという「想像」。私は黙って静かに死んでいたい。それだけが「死の恐怖」に対する救いだったのに、こんなふうにリアルに死後の状態を想像されてしまうと、生きているのも死んでいるのもどちらも耐え難い苦痛のように思えてくる。
私もかつては深夜放送に耳を傾けた世代だが、私にとってのラジオはいつも「どこか遠くの別世界」だった。選ばれた人たちだけが親しげに言葉を交わす世界。私はそれをこぼれ聞いていただけだった。
DJアークの、そして彼と言葉をかわす人たちの会話を読みながら、あのころの疎外感が生々しく蘇ってくるのを感じた。
ずーーっと昔から人はさまざまな理由で死んでいった。これからもきっといろんな理由で死んでいく。私は黙って死んでいたいと思う。

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この著者の本、初めて読んだか、良かった。この想像ラジオ、途中から、"やはりそうだったのか！"となりつつも読み進んでしまう。おかげで上海までのフライト、短く感じました！

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死んだらどうなるのか、という永遠の謎について、
人は長い年月、考え続けている。

それは、道徳や哲学や宗教というものにつながっていて、
結局どう生きるかということにもなる。

身近な者を亡くした時に、どう考えるかというのは、
生者のエゴかもしれない。
彼らのことをどう想うかは、彼らにはわからないし、
それを知るすべもないのだから。

だから、このラジオの存在は、生きている私たち、
この世に残る私たちの希望であり夢であり、
自己満足なのかもしれない。

それでも、逝ったあの人たちが救われる気がするし、
送った私たちも救われる気がする。

気が付いていないだけで、
私にもきっと聴こえているんだ、このラジオは。

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ラジオには、深夜が似合う。

おそらく誰でも（何でも）が受信し発信していて
周波数さえ合えば聴くことが出来るのだろう

毎日毎日がその人の、その時々の
一瞬一瞬が、大事なことの積み重ねであるのだけれど
ことさらこの日のことを大事なことだとして題材にした話は今後も増え続けるのだろう

この本の言葉は想像することの難しさと自由を教えてくれると思う

結局は自己満足であるのかもしれないが、祈れる自分でありたいと思う
あなたとわたしの体組織は違うし、同じ体験をしても見るものも聞くものもまったく同じではないけれど、
それでも一瞬でも共感できる奇跡があるから
わたしは祈り続けることができる

想像してください
生きるということを

生者と死者への愛に満ちた一冊

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今日、この日3.11に、なみなみならぬご縁を感じて読んだ。

想像すれば、聴こえるはず――。

高い過ぎのてっぺんに引っかかったDJアークから発せられるラジオ、”想像ラジオ”。

想像によって受信できるのこのラジオには自由がある。

パーソナリティとリスナー、リスナーどうしのつながりで浮き彫りになること。
生と死との境界

東日本大震災が大きなテーマなのだけども、生と死はどこにでもある。
大きな災害も、戦争を含め幾つもある。

１章、３章、５章はDJアークの想像ラジオ。
2章、4章は、作家Sを通して、別場面としての話が展開されいてる。

２つの流れに共通した、死の世界と生の世界、その交流。

2013年3月１日　初版印刷
2013年3月１1日　初版発行

聞きたい声がある。
想像すれば、聴こえるはず。

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【内容（「Amazon」より）】
想像すれば、聴こえるはず――。文学にしかできないことがある。「文藝」掲載時より口コミで話題を呼び、かつてない大反響を呼んだ、鎮魂と再生の物語。著者16年の沈黙がついに破られる。

海沿いの町で、なぜか高い杉の木のてっぺんに引っかかっているというDJ（ディスク・ジョッキー）
アークがパーソナリティをつとめる番組「想像ラジオ」。
彼は「想像」という電波を使って、「あなたの想像力の中」だけで聞こえるラジオ放送を続けている。
リスナーから次々に届くメールを読み上げ、饒舌におしゃべりを続けるアークだったが、彼にはどうしても聞きたい、ひとつの〈声〉があったーー。
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震災を経て生まれた文学作品の中でも、とても大切にしたいと思わせてくれる作品だった。
読み進めるにつれて物語の輪郭がはっきり見えててきて、この物語が「言いたい事」を伝えるために、どれだけ慎重に組み立てられているかがよく解る。

こんな表現の仕方があるんだなあ。

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☆3.8
東日本大震災の後、DJアークがお送りするラジオがあなたには聞こえますか？杉の木の上から、一羽の小さなハクセキレイに見守られながら放送する想像ラジオ、主なリスナーは死者たち。
と言っても悲観的な感じではなく、どこかとぼけたようなDJ&リスナー。声で音で音楽で最期に繋がるこのラジオ。

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最初に抱いた“ふんわり“した感触が形を成し始めた時、この小説の持つ厚みがわかった。
死者の戸惑い、想いが柔らかくでも硬く描かれていて切ない。
こういう表現があるのか…。
震災を経て産まれた傑作だと思う。

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杉の木の上に引っかかりながら、想像でラジオを発信するDJアーク。
ポスト3.11小説で震災で亡くなった方とつながっていきますが、どうも入ってこず…
震災に関心がないわけではないですが、想像が足りないからなのか。

評価が高かっただけに残念でした。

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亡くなった人の気持ちは想像しても絶対にわからない。
でも身近な人だったら、絶対に考えてしまう。
想像している。
じゃあ身近な人じゃなかったら？
想像してわかった気になることはできないけれど
想像することは、悪いことじゃないのかもしれない。

想ー像ーラジオー。

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おもしろかったとも違う（でもおもしろかった）
感動したとも違う（たぶん感動した）
すごく複雑な気持ち。
悲しくて辛くて怖くて、止めたいに止められなかった。

でも、全部、想像。

DJアークがCORINNE BAILEY RAEの"the sea"を紹介をしたときに、iPodからちょうど流れてくるという冗談のようなことがあって、電車のなかで涙腺が崩壊するかと…。
しかも最後の数ページを読んでいるときは”is this love”
この相乗効果で泣けてしまった。

地震の後にとあるライブを見た時、本当はこれを見るはずの人がいたんだよな、って思った事があって、その事実にガーンと思ったんだけど（それが何かはうまく言えない）、5章に出てくる”21歳　女子”が繰り返し頭に浮かべる1日の描写を読んだ気持ちは、まさにこのときのガーン、に似てる。

でも、それも想像。

あと、私の頭のなかで”想ー像ーラジオー。”は女性の声。