- カテゴリ:一般
- 販売開始日: 2013/05/21
- 出版社: 小学館
- レーベル: サンデーGXコミックス
- ISBN:978-4-09-157297-4
ヨルムンガンド 10
著者 高橋 慶太郎
「世界平和のために武器を売る」武器商人ココ・ヘクマティアルが少年兵ヨナに初めて出会ったときに、彼にそう告げた。そのセリフの意味をヨナが知ったとき、過酷な展開が2人に訪れる...
ヨルムンガンド 10
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「世界平和のために武器を売る」武器商人ココ・ヘクマティアルが少年兵ヨナに初めて出会ったときに、彼にそう告げた。そのセリフの意味をヨナが知ったとき、過酷な展開が2人に訪れる!!天田南博士と極秘裏に進めていた「ヨルムンガンド」計画発動のため、必要なピースを集めるべく、世界中を旅するココ。一方、ココの動きを察知したCIA工作担当官ブックマンは、彼女の行動からその企みを推測する。そこから見えてきたものは、にわかには信じがたいほど衝撃的な計画の姿であった……。
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ココの出した答えは世界中のエゴを押し潰すほどの、エゴイスティックな答えだった。
2012/01/27 04:32
6人中、6人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:muneyuki - この投稿者のレビュー一覧を見る
「戦争」は起きています。
ただ、この国が舞台となっていないだけで、世界のありとあらゆる場所で戦争は起き、
世界は変化し続けているのです。
『ヨルムンガンド』は現代の戦争が向かう少し先を、生々しく描きだします。
十巻の表紙をデカデカと飾るのは主人公の一人、ココ・へクマティアル。
彼女は若き死の商人、武器ディーラー。
各国に兵器を売り付けて私腹を肥やす、へクマティアル一族の娘です。
一巻の一番最初、もう一人の主人公、元少年兵・ヨナの「僕は武器商人と旅をした」というモノローグから物語は始まります。
彼はココの私兵集団・9人目のメンバーとして、雇われるのです。
その私兵集団のメンバーがまた異様にハイスペックで、各国の軍隊やら、警察の対テロ部隊やら、マフィアやら、自衛隊の諜報部隊やら、と様々な経歴、人種の人間から出来ています。
また、物語は連載期間中、2010年位の、実際の国際情勢を下敷きに描かれます。
アフリカの小国なんかはイニシャルトークで語られたりもしますが、アメリカやイギリス、中国なんかはそのまま登場し、アメリカが使用した無人兵器や中国のアフリカ進出等、現実と話題を同じくする所も多々アリ。
九巻において、ココの兄、キャスパー・へクマティアルは「ヘクマティアル・グローバル・グリッド」という「商品」を打ち出すのですが、これは元々世界中を飛び回って武器を売り付けていたへクマティアル一族の輸送網と、彼らが打ち上げた126機の人工衛星から成る、総合兵站・指揮通信システム。
つまり、世界中の何処でも、輸送物資届けちゃうし、戦況の把握もやっちゃうよ、全部代わりにウチの会社がやっちゃうよ、という戦争の民営化。
それだけでもものっすごい俺は「近未来の戦争像」の恐ろしさに震えるんですが、
ココの思うものは、そのへクマティアル・グローバル・グリッドの更に上を行く構想。
タイトルの「ヨルムンガンド」、北欧神話における「世界蛇」に関しては、毎巻見返しにこんな詩が載っています。
五つの陸を食らい尽くし
三つの海を飲み干しても
空だけはどうすることもできない。
翼も手も足もないこの身では、
我は世界蛇。
我が名はヨルムンガンド。
今までは世界を股に「ビジネス」を展開するココを象徴する言葉だった、「ヨルムンガンド」。
この巻に来て、それは同時にあるシステムの名であることが判明します。
この巻でキャスパーがちらりと喋る台詞。
「我々の都合で戦争を起こし、都合が悪ければ平和を守るのだ」
現代の戦争とは、既に闘争の本来的な意味である、価値観のぶつかり合い等ではありません。
エゴの押し付け合い。
ココが見出した、恐ろしくエゴイスティックな答えは、世界中のエゴを踏み潰し、作中で神に並ぶに等しい、と評価されますが、ココ自身はその評価に対し、自分は神を超えたのだ、と。
それで済んでハッピーエンドなら、作者はわざわざ「ヨナ」なんてキャラを持って来ません。
ヨナの、ココに対する返答は、果たして。
一巻において、ヨナはココに対して「ココはなぜ武器を売る?」と尋ねました。
武器を憎み、武器商人を憎むヨナと、カリスマ的な武器商人のココ。
全く相反する二人。
その問いに対して、ココは「世界平和のため。」と答えます。
一巻の時点では、それがヨナをごまかすためのココの口から出まかせなのか、本気で信じ切っているのか、ココの顔に張り付くような笑顔のおかげで、その真意は見えませんでした。
けれども、この十巻に来て、猛烈に伏線が回収されます。
とはいえ、未だヨナの「僕は武器商人と旅を『した』」が何故過去形で表記されているのかは分かりません。ある種必然的であったこの巻の最終シーン。
次巻、最終巻でどのような決着が着けられるのか、非常に楽しみです。