秀吉の思うがままに行けるのか
2023/12/10 20:30
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投稿者:トマト - この投稿者のレビュー一覧を見る
天下取りに向けて、総仕上げに本腰を入れる。果たして、天下を取ったらとったで落ち着くのか。本能寺の変に絡む秘密が秀吉の胸にどんなしこりを残しているのか。権力っていったい何だろう、と考えてしまいました。
その執着やその「枷」
2023/05/28 06:13
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投稿者:マーブル - この投稿者のレビュー一覧を見る
信長の死の秘密。そして己の血筋を残そうとする執着。天下人となった秀吉を心安らかにさせてくれぬ枷。信長の背中を反面教師としてきたはずの秀吉も判断を誤り、部下は離れ、孤独に苛まれる。人には語れぬ枷のために。作者の提示したその執着や「枷」を考えると決して幸福な成功者とは見えてこない。本能寺の変についての秀吉の関わり具合や、その子を巡る淀君の策謀。あるいは朝鮮出兵や秀次を死に追いやった理由など、独自の解釈を与えている。史実や資料の狭間を見過ごさず「WHY」を投げ掛けているであろう姿勢に感心する。
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戦国3傑の中では秀吉がいま一つ好きになれない方は
この「闇」の部分があるからではないでしょうか。
私もその一人でした。
今回そこにいたる部分にスポットを当て、感情移入も
出来た結果、すこし秀吉が好きになりました。
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秀吉が本能寺の変の陰の主役と推理、織田家への負い目を背負って生きる晩年を茶々の不倫も重ねて描く。自身の才覚一つで生きた藤吉郎時代だけでなく、天下を取り欲のままに朝鮮出兵を敢行した太閤時代の陰惨な生きざまを克明に描く。痛快な前半生で筆を置いた吉川英治、司馬遼太郎の太閤記と一線を画している。10.4.2.
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2010/10/23 Amazonより届く
2011/11/14〜11/16
淀の方の台頭から、跡継ぎの誕生、それに伴う親族、古い家臣達の粛正、そして寂しい末期を描く。秀頼が生まれてからの秀吉の行動は確かにおかしい。一般に幼い我が子の行く末を案じて、と言われているが、それだけでは考えられないような奇行である。加藤氏はそのあたりを深く描いている。歴史の事実はこの本に書かれていることかもしれない。
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先日衝撃を受けた「空白の桶狭間」の作者による「本能寺三部作」の第2作目。「空白の~」で予期した通り、本能寺の変の黒幕は秀吉であった。本能寺の変に至るまでの動向や、行方不明の信長の遺体をめぐっての葛藤など、斬新で面白く読み進めた。
中盤以降は、秀吉が負う「枷」として、信長を弑い奉った後ろめたさのみならず、帝・公家など朝廷に対する盲目的(あるいは暴力的)ともいえる敬意や、子供ができないことへの焦りなど、息苦しい展開となる。市を投影した淀の方の存在も「枷」となったのかもしれない。自らを追い詰めた天下人の悲哀が目立つ。
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文字通り秀吉の「枷」を描いた作品。
ミステリーの要素を含むが、実はこれが真相であってもおかしくない裏付けがある。
天下人となった秀吉に子供ができない葛藤、淀君との関係、家康への嫉妬と非常にわかりやすく面白かった。
欲を言えば家康との絡みがもっとあってもよかったと思う。
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下巻
本能寺の変のしがらみと茶々(その子供)との係わり。
関白秀次はなぜ自害に追いやられたか。
茶々の陰謀と秀吉の勘違い?
朝鮮の役の真相は?
フィクションとしても信じがたいが、真実がはっきりしないのも事実
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秀次を死に追いやった裏には茶々の陰謀あり。秀頼は懐妊時期を遡ると秀吉の子足り得ないという話。最後は信長様ごめんなさい的な死に方で悲しさを煽っていましたが、ざまぁみろとしか僕には思えんかった。やはり秀吉は好かん。
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秀吉の生涯をたどると,それはただの歴史上の人物だからとか,現代では考えられないような権力をつかんだからとかいう理由でその人生を理解不能としてしまうのではなく,秀吉の人生から現代人にも通ずる何か大切なものあるのではないかという感じました。
この小説はフィクションで,筆者の推理がかなり織り交ぜられていますが,史実が外されている訳ではありません。はじめてその説に触れる僕としてはショックですが,そこから見えるドラマは現代の日本人にも通じるところがあり,一人の人間としての秀吉を見ることができたような気がしました。
秀吉の生涯,特に本能寺の変を中心にそれ以後が描かれています。上巻からかなりの量がありますが,飽きさせない構成になっており最後まで一気に読むことができました。
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肩すかし!
っと言う表現が一番しっくりします。
信長の遺体は?光秀はどうなった?
家康も上巻では黒幕的な存在で、
「おっ、こいつが操るかぁっ」
とか勝手に想像して、悦に入っていたのですが、
結果は期待外れ。
ただ、秀次粛清・淀の方のこと・ミソサザイは面白い発想だなと
感心しました。
尻切れトンボ感が何故か悔しいので、「明智左馬之助の恋」も
いつか読みます。
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まるで晩年の光源氏(源氏物語)を見ているかのよう。淀殿不倫説(大野治長、石田三成。本書が採用する名古屋山三郎)を採用する小説は多々あるが、それを秀次謀殺まで結びつけたのは、なかなか面白い着眼点。この点は、史実から離れ、子供のない独裁者が如何にふるまい、如何に心を病んでいったかを抉り出す小説の読破として、なかなか楽しい時間を過ごせた。しかも、辞世の句「なにはのことも夢のまた夢」の意味付けも上手い。そして、秀次謀殺を裏で糸引きしていたのを朝廷、殊に近衛前久としたのはさもありなんというところで、面白いなぁと。
著者に関しては、通説とは異質と目される史実を謎解きしようとした「謎手本忠臣蔵」が、小説としては余りにも面白くなかった。むしろ、老醜と悲哀と独裁者の孤独という人間を描いた本作の方が圧倒的に面白く、このような作品をもっと紡いだらなぁとの感を強く持った。
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秀吉の栄華と盛衰を分かりやすく書いていて、秀吉嫌いだったけどこの小説で信長殺しの罪に苛まれ信長の姪に豊臣家を滅ぼされてしまった秀吉を可哀想と思えるような書き方で、ずっと読めずにいたけどもっと早く読んでいれば良かった。
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私はあまり歴史に詳しくないので、これがミステリーなのかどうかがよくわからなかった。秀頼が、秀吉の子ではないというのは世間一般の通説なのか、作者が初めて言い出したのかそれもよくわからないので、ミステリーというよりは秀吉一代記として読んだ。
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天下人・秀吉の命運は【茶々(信長の姪)】の懐妊により下降線を辿るようになる。秀吉の跡継ぎとして豊臣の血脈を継ぐはずだった【鶴松】の病死、明国征伐と朝鮮派遣軍の大敗の中で、第二子懐妊の知らせを受けるに及び、出生疑惑に翻弄される秀吉の心中は、本能寺の井戸の底深い闇を映し出すかのようだ。謀略によって掌握した秀吉の天下は、六十二歳の生涯をもって〝夢のまた夢〟として、苦悶のうちに閉じられた。