人の上に立つ、ということ
2011/10/16 14:20
8人中、8人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:木の葉燃朗 - この投稿者のレビュー一覧を見る
土光敏夫氏の発言や著作の一部を紹介し、著者が解説を加える、という形式の本。著者はテレビ朝日のニュースデスク。
土光敏夫氏の名前が、どのくらいの世代に知名度があるかは分からない。少なくとも私は、リアルタイムでは知らない。その名を知ったのは、数年前に再放送されたNHKのドキュメンタリー番組(1982年に放送された「NHK特集 85歳の執念 行革の顔・土光敏夫」)。1981年の「第二次臨時行政調査会」の会長に就任した際に、作られた番組だという。有名な「メザシの土光さん」という呼び名も、番組で放送された質素な食事風景がきっかけ。
その程度の認識だったが、改めて経歴を見るとすごい方だったことが分かる。戦前に石川島造船に入社。その後社長となり、播磨造船所との合併を行う(石川島播磨重工業となる)。その後、不況もあり業績不振に陥っていた東芝の社長となり、再建を果たす。そして経団連の会長に。更には80歳を過ぎてから、臨調会長に就任し、政治にも関わるようになる。
しかし土光氏がすごいのは、そうした結果としての経歴だけではない。むしろ、そうした結果に至るまでの働き方がすごい。徹底的に現場を見て、従業員を大事にし、その上で一生懸命働くように指示をする。そして本人も指示をするだけでなく必死に働く。それは、土光氏が東芝の社長に就任した時の言葉からも感じる。「一般社員は、これまでより三倍働け、重役は一〇倍働く、僕はそれ以上に働く」(p.77)。この、「僕はそれ以上に働く」という考えがあるかどうかが、人としての魅力なのだろうと思う。
土光氏は、人の上に立つ仕事について、「経営者や幹部は、ほんとうはつらい人なのである」(p.90)と言っている。だから、「だれかを重役に推薦するとき、あらかじめ本人をよんで、家庭を犠牲にするくらいの覚悟があるかどうか奥さんとよく相談して欲しいと、一~二週間の猶予を与えることにして」(p.90)いたという。そしてそれは、他の人間に対するだけでなく、土光氏自身の生き方でもある。「豪邸に住んで派手な生活をするような人は、あまり信用できない。真に強い人は、一人でなんでもやっていけるものですよ」(p.80)とか、「人間、庶民感情を失くしたらアガリだ。雲上人になってしまうと、本当の世の中が見えなくなってしまう」(p.159)と言って、働き、勉強した様子がこの本からは分かる。そう思うと、今や人の上に立つ人、例えば政治家や経営者の中に、少なからずそうした覚悟のない人のいることも感じる。それを見分けるために、この本で土光氏の考えに触れてみるのが大切なのではないかと思った。
投稿元:![ブクログ](//image.honto.jp/library/img/pc/logo_booklog.png)
レビューを見る
土光さんが生きていたら、怒鳴られるだろうなぁ。
自助、自立の精神。
この間読んだ学問のすすめとつながる。
投稿元:![ブクログ](//image.honto.jp/library/img/pc/logo_booklog.png)
レビューを見る
最近、「理想のリーダー」としてテレビで紹介された土光敏夫氏の語録。
土光氏は、戦後の混乱から、IHI、東芝を企業改革によって復活させ、経団連会長として行政改革にも携わった人物。その質素な暮らしぶりから「めざしの土光さん」と呼ばれた。(自分らの年代だとあまり知らないのかも)
100ある彼の言葉の1つ1つが、胸に突き刺さった。
「おっ」と思ったものをいくつか紹介。
まずは、働く者の姿勢の中で、時間を有効利用するというくだり。
人類皆全て、平等に与えられているもの、それは「1日24時間」ということ。昨日という日は取り戻せない。もちろん明日の時間を前借りすることもできない。だからこそ、今この時を大切に生きる。日々、「今日という日を大切に生きたか」と自問自答する。全て仕事や勉強に充てる必要はない。ただ、無為に過ごすことだけは避けたい。やるときはやる。休む時は休む。
次に、トップとしての姿勢。
土光氏の"モーレツ"なやり方の裏には、「企業は国民の信頼がなくなると、成り立たない」という意識、危機感がある。だから、現場にも、経営陣にも、それなりの覚悟・パフォーマンスを求める。現場に対しては、働く者の目線に立ちつつも、トラブルについては徹底的に追求した。経営陣については、トップとして範を示すことを求めた。
では、今のこの国のリーダーたちは、どうなのか。危機感はあるのか。"越後屋と悪代官"のような関係の政治家と企業。首相や大臣の軽率な言動。そもそも、"三バン"さえあれば何とかなってしまう、日本の政治家の排出システム。今回の震災・原発事故を見ていると、暗澹たる思いになる。
社会人の方から、総理大臣まで、是非手に取ってほしい本だと思った。
投稿元:![ブクログ](//image.honto.jp/library/img/pc/logo_booklog.png)
レビューを見る
父のススメで読んだ本。経団連の会長、東芝の社長など輝かしい経歴を持ちながら、ずーっと質素な生活を送る。
若い技術者時代から、会社のトップまでの話を各章に分けて話が進んでいく。晩年は、日本を良くするために最後まで全力を注ぐ。
ソニーの井深さん、ホンダの本田さんなど、今でも伝説的な企業のリーダーも所々出てくる。
東日本大震災後の日本には、こういったリーダーがいないように感じる。毎年、日本のリーダー(首相)は変わり、またリーダーに付いて行こうと思える人もいない。いつから、日本人は贅沢に溺れ、自分の事しか考えないようになったのだろうか。
投稿元:![ブクログ](//image.honto.jp/library/img/pc/logo_booklog.png)
レビューを見る
釣りバカ日誌に出ていた名前だ!というのが最初の印象。
テレ朝の番組で特集が組まれていて興味を持って購入。
あっさりエピソードが書かれているけど,相当アクの強い人だったように思える。大企業を2社も経営し,経団連会長,臨調会長のポストで仕事をするには圧倒的な執念と体力が要るだろうから。
「自立,自助,そして共助」という言葉に共鳴した。さっそく協同学習の授業の導入で使った。
この本は捨てずに取っておこう。
投稿元:![ブクログ](//image.honto.jp/library/img/pc/logo_booklog.png)
レビューを見る
「国の滅びるは悪によらずして その愚による」
後頭部をぶん殴られた後に土下座の姿勢のままため息が出るような、今まさに自省すべき言葉でした。
投稿元:![ブクログ](//image.honto.jp/library/img/pc/logo_booklog.png)
レビューを見る
清貧の人といわれる、土光さん語録を解釈補足したもの。
リーダーたるもの、かくあるべきなんだなぁとは思うが、贅沢思考の強い自分には真似できないだろうな。
その境地に達せる日が来るのだろうか。リーダになるには、清貧でなければならないのだろうか。
示唆が多いが、自分にはまねできないと自己嫌悪に陥る1冊。
投稿元:![ブクログ](//image.honto.jp/library/img/pc/logo_booklog.png)
レビューを見る
いつも大変お世話になっている経営者から紹介いただき、読みました。私利私欲、贅沢は良くない。働く心構えを改めて正されます。
ちなみに、その後スティーブジョブズの伝記だと、ギャップが激しい(ーー;)
投稿元:![ブクログ](//image.honto.jp/library/img/pc/logo_booklog.png)
レビューを見る
亡くなって20年以上経つけど、この人の先見の明は本当に素晴らしいものがある。福島第一原発を導入する時に、GEの技術そのまま入れたらいけないって、頑として譲らなかったとのこと。実際、GEの技術は津波を想定している技術ではなかったとのことだし。
叩き上げの技術者で、徹底した現場主義で良いものを作る・社員を幸せにするというごくごくあたり前のことだけに注力してきた経営者。ごくごくあたり前のことが本当に難しい。
自分の会社の技術者上がりの役員はエコノミークラスで海外出張するし、駐在するときは会社から提示された家賃は高すぎると半額の所に住んだけれど、外から来た事務屋出身の役員は中国までファーストクラスで出張しやがったのを思い出した。
技術者出身の経営者は賛否両論あるけれど、本社で何でも人に頼んで自分一人で何もできないような事務屋の経営者は、この人の頼みだから、って言われるような経営者にはならんだろうなと本読みながら思いました。
投稿元:![ブクログ](//image.honto.jp/library/img/pc/logo_booklog.png)
レビューを見る
IHI社長、東芝社長、経団連会長、第二臨調会長を歴任しながら極めて質素な生活を送り徹底した現場主義を貫いた土光敏夫の言葉を集め説明を加えた本。こういう経営者の下で働く経験をしてみたいと思えてくる。
投稿元:![ブクログ](//image.honto.jp/library/img/pc/logo_booklog.png)
レビューを見る
メザシの土光さん。もうこういう財界人はいなくなったな。
それにしても彼も相当な逆境から這い上がってきたから、ここまで強く質素に信念を貫けたのだろう。
受験も4回も失敗しているし。
上げ底人間は総じて弱い。たたかれ踏まれた経験がないものだから、僕らがなんとも思わぬことでも何か問題が起きたとき、その対応に右往左往する。しっかり受け止めて冷静に対処することができないのだ。
困難を受け入れ、困難にお挑み、困難に打ち勝つモチーフを自らのうちに持たなければならない。
仕事に困難や失敗はつきものだ。困難に果然と挑戦し失敗に屈せず再起させるものが執念である。
土光さんの人間力が伺える本だ。
投稿元:![ブクログ](//image.honto.jp/library/img/pc/logo_booklog.png)
レビューを見る
親と同じ田舎で実家にあったので拝読。
土光さんに関する著作をはじめて読んだ。
あー短絡的には言えないがこんなに経済と
成功しながら人格高い人が昔はいたんだねー。
今の経団連とかからこのような深いメッセージは
浅学ながら聞いた事ない。
投稿元:![ブクログ](//image.honto.jp/library/img/pc/logo_booklog.png)
レビューを見る
著者は後半を強調したいのかもしれませんが、自分は前半の方を興味深く読みました。巷によくあるサラリーマン向けの安直なハウツー本を読むくらいなら、こちらの方がお勧めです。
投稿元:![ブクログ](//image.honto.jp/library/img/pc/logo_booklog.png)
レビューを見る
同じ岡山県から出て来た土光さん。まさしく清貧の地元の英雄を、本当に誇らしく思う。それと同時に、この危機的な国家状況下で、一国民としてでもこの国の為、子供達の為に何か出来る事がもっとあるのでは無いかと考えさせられる。『日々に新たに』、この言葉を自分の引き出しに加えて、地道に精進していこう!
投稿元:![ブクログ](//image.honto.jp/library/img/pc/logo_booklog.png)
レビューを見る
2012/01/22-02/06「清貧と改革」の精神で、赤字へっちゃらの国鉄・専売公社・電電公社を大鉈をふるって超優良企業に育てた。およそ大衆とあまりにも乖離しているため、共に働く心地よさを共有できたかは疑問。改革者は好かれない。スティーブジョブス・落合博満しかり。「めざしが好きだから、」といえる人間性まで高めたいとは思うが。