「第二の創業」を成し遂げた富士フィルムの経営哲学が分かります!
2018/11/03 13:32
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投稿者:ちこ - この投稿者のレビュー一覧を見る
本書は、富士フィルム・ホールディングスの代表取締役兼会長である古森氏による書下ろし作品です。カメラのフィルム市場が、デジタル化によって巨大な縮小した中、富士フィルムは新たな道を模索しながら、その新たな道で大きな成果を上げている企業です。その陰にはどのような苦難の道、努力があったのでしょうか。本書は、その経営哲学、リーダー哲学を説いた貴重な書です。
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主戦場である写真フイルム市場が10年間で10分の1以下に縮小する逆風下で、いかに事業構造転換を成し遂げたか。興味深かった。
特に東日本大震災での「写真救済プロジェクト」のくだりはいい話だった。
・ニーズとシーズのマッピングのため、現在/新しい技術、現在/将来の市場、という4象限で整理した。
・リーダーのやるべきことは4つに集約できる。すなわち、読む(現状把握&将来予測)、構想する(Priority&Plan)、伝える、実行する、である。ニュースを読んでいても、次はどうなるだろう、なぜいま発表されたのだろう、背景はなんだろうと考えて訓練する。構想し、スピード、タイミング、スケールを決めるには野性的勘、賢さ、力が要求される。
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富士フィルムも某業界と近いわ、本業が消滅するわで興味深い企業。写真関係の業界の特殊性は知らんかったがそうなっておったのか… ただ、なぜ本業消滅に際してむしろ躍進を遂げたのかについては踏み込み不足な印象。まだ会長だし書けないのかね。社長に至るまでも経営者目線でやってたら肩書きは後からついてくるもんなのかなあ。
ただし、タイトルとか終盤の内容についてはやや古いというか精神論寄りでどうなんだろ。まあ著者自体、戦前育ちなので古いのは当たり前だが。
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アナログ写真を撮らなくなって久しいが、デジタル化の波を真正面から受けながら、沈没せずに、規模縮小もせずに、みごとに業態変換を遂げた富士フィルムのCEOによる経営論。古くは、繊維、製鉄など、業界全体の市場規模が縮小し、各社が業態変容した業界もあるが、富士フィルムは、劇的かつ大成功の事例だ。
経営者本人による著作で、激動の時代を見事に乗り切った経営者の達成感と自信に溢れている。
別の書籍で、客観的、分析的な富士フィルム論も読んでみたい。
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読みの精度を高める
次はどうなるんだろうと常にその後の展開を考えて情報を入手する
個別の事象を読むと同時に大きな時流を読む
とことん悩んで決められないのならどちらに進んでも同じ。進んだほうで成功すれば良い
海外では自分の意見を主張する
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経営論というより精神論。
体育会系の自分には分かり易かった。
ただ、コダックが民事再生に入った時期と、富士フイルムの変化を2007年度業績で紹介しているところが同期しておらず、すべてを鵜呑みにする話ではなさそう。
あと、10年くらい経っても富士フイルムが一流企業だったら、やられたことは正解だったと思える内容。
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写真フィルム市場 2000年から10年で1/10になった
現実をみる勇気があったか
勝てる事業でなく、勝ち続ける事業を選ぶ
そのような時代に勝ち続ける企業は、変化にすばやく、うまく対応できる企業であり、そこからさらに進んで、変化を先読みし、先取りできる企業でなけれはならない
ベストは自分で変化をつくりだせる企業になることだ 新しい仕組み、新しい製品、新しいアイディアを提供し、新しい価値を生み出し、世の中を変えていく。しかも、そうした商品を、絶えず生み出していく企業。そこを目指さなくてはならない
表面にコーティングが施されている銀塩写真 被災地で拾い上げられても表面がのこる インクジェットのプリントではだめ
リーダーはやるときめたら、俺にまかせてくれと使命感をもって指揮し、組織を勝利に導くための行動をするのみである。もし仮に多少の抵抗があったとしても、やるべきことは断固としてやる。それがリーダーの役割だ。ましてや、会社が危機に陥っているのであればなおさらのことだ
有事のリーダーは学級委員ではつとまらない
平時であれば、みなであっちにいくか、こっちにいくか合議をしていては、勝てる戦いにも勝てなくなる。誰かが皆を引っ張っていくしかない。それがリーダーの役割であり、リーダーシップの本質なのだ。
有事に対して経営者がやるべき4つのこと
読む、構想する、伝える、実行する
決断を誤る3つの要因 現実を直視しない 情報が偏っている 思い込みや偏見などの先入観がある
プライオリティを決める。絶対にやらなければならないことはなにか。一番大事なことは何か。その順序付けをしあんくてはならない
どのようなスピード感、タイミングでやるか、どれくらいのスケールでやるかを謝らないことが経営者としては重要だ
トップのメッセージが伝わらなければ組織は動かない
ウィンストン・チャーチルの第二次世界大戦
三国志、十八史略
宮本武蔵
ベートーベンがモデルにしたロマン・ロランのジャン・クリストフ
日本の課題 販売費および一般管理費の比率が高い
日本の課題 責任を曖昧にしてしまう体質
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主幹事業が衰退した時のお勉強。
要するに、経営の構造改革を行い、技術とニーズを照らし合わせて新規事業を計画するということ。そのときには、徹底した調査を行い数値に基づき考え抜き、現状と将来を「読む」。方向が決まったら周知して現場を動かす。
おそらくこの方は粘着質。共感するのは難しいが、これも一つの勉強と思い、がんばって読みきった。
第二の創業
・写真文化を守る
・フレーキを踏みながらアクセルも踏んでいる
・技術とニーズを照らし合わせ、新規事業を模索する→四象限マップ
・商品が作れる作れないで選ばない。勝てるで選ばない。勝ち続ける力があるかどうかが選択の基準
・議論は社内だけで行う。最大限の情報を集めて最終的に読みを計る
・M&Aでは、双方のシナジーによって他社と差別化できる製品を作る。売上を増やすだけのM&Aは意味なし
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巨大企業・富士フイルムの経営者がどのように意思決定をするのか、というのはとても興味のある部分であるが、この本を書いてあることは至って普通だった。
基本的に体育会系の精神論。「私はこう思う、実際に昔こうやってうまく行ったんだよ」これの繰り返し。
残念ながら、飲み屋で自分の上司や先輩から同じことを聞けそうな話だった。(だとすれば、上司や先輩に聞いたほうがよっぽど自分の仕事に役立つだろう)
一流の経営者であるはずの古森氏はこんなものではないはず。
対コダックの話や、フイルム市場消失後のV字回復の話など、もっと深く踏み込めばドラマチックに書くことだってできただろう。
決して彼の思慮が浅いということではなく、物書きとしてまだまだだったという印象。
(これが初の著作らしい)
IBMのルイス・ガースナー『巨像も踊る』のようにはならなかった。
あるいは、『小林陽太郎 性善説の経営者』のようにプロのライターに書いてもらったほうが良かったのでは。
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■古森氏は富士フィルムホールディングス代表取締役会長兼CEO。2000年6月の社長就任以降、同社にとってメイン事業である写真フィルム市場が10分の1に縮小。その間に写真フィルム業界の巨人だったコダックは衰退し2012年1月に連邦破産法を申請。しかし、富士フィルムはその間に事業構造を転換して危機を乗り切った。古森氏はまさにその「本業の消失の危機」の時に、会社をどのように経営したのかを本書の中で淡々と語っている。
■古森氏は本書の後編で書物を読むことの大切さを説いており、その冒頭にチャーチルの言葉「人間は事実をよく見なければいけない。なぜなら事実が人間をよく見ているからだ」を引用している。間違いなく古森氏を動かしている信条の1つだ。
■自分自身の全体の印象は、競争環境の中にいることを認識し、「賢く、正しく、強く勝つ」「打ち克つ」「勝ち続ける」という至極真っ当な経営だった。このことを会社の隅々まで行き渡らせ、徹底していくことが大切であるということを理解した。
■印象的だったのは、東日本大震災で同社がわかったことという話。被災地で被災者の方々が必死になって探していたものは写真だったということである。(テレビでもそれは見たことがある。)お金はいずれまた稼ぐことができる。家も建て替えることができる。しかし、とりわけ家族を亡くされた方にとって思い出を写した写真は2度と手に入れることのできないかけがえのないものだ。古森氏もこの震災で写真の持つ価値を再認識されたようだ。しかも、家庭用インクジェットプリンターで印刷した写真はインクが水に流されてしまうが、表面にコーティングが施された銀塩写真や写真店でプリントされた写真が自衛隊員によって拾い出されていたとのことである。
■本書を読むと、古森氏を身近に感じる人も多いはず。大企業の経営者にも役立つし、中小企業の経営者にも参考になると思われる。単なる成功体験話でもないし、精神論でもない良書である。
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研修でやっているグループワークの課題図書で購読。
2000年からの7年間で売上が倍になるなど、古森さんが凄いのは分かるが、経営者の成功体験書の域は出ておらず、一般人にはなかなか応用しづらいように感じる。最初の著書とのことで仕方ないが。
印象に残った点をいくつか。
・最終的な判断を外部の助言に頼るなんてのはもってのほか。
・しんどいときでも研究開発費は捻出。(この本の話ではないが、3Mもこれにはこだわっていたなあ。)
また、震災時の「写真救済プロジェクト」のエピソードは、『日本型「無私」の経営力』でも紹介されていました。
http://www.amazon.co.jp/%E6%97%A5%E6%9C%AC%E5%9E%8B%E3%80%8C%E7%84%A1%E7%A7%81%E3%80%8D%E3%81%AE%E7%B5%8C%E5%96%B6%E5%8A%9B-%E9%9C%87%E7%81%BD%E5%BE%A9%E8%88%88%E3%81%AB%E6%8C%91%E3%82%80%E4%B8%83%E3%81%A4%E3%81%AE%E7%8F%BE%E5%A0%B4-%E5%85%89%E6%96%87%E7%A4%BE%E6%96%B0%E6%9B%B8-%E3%82%B0%E3%83%AD%E3%83%BC%E3%83%93%E3%82%B9%E7%B5%8C%E5%96%B6%E5%A4%A7%E5%AD%A6%E9%99%A2-%E7%94%B0%E4%B9%85%E4%BF%9D/dp/4334037135%3FSubscriptionId%3D0AVSM5SVKRWTFMG7ZR82%26tag%3Dbooklog.jp-22%26linkCode%3Dxm2%26camp%3D2025%26creative%3D165953%26creativeASIN%3D4334037135
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2014年9冊目。
主力事業の市場が年率20〜30%で縮小する「本業の消失」の危機。
著者である富士フィルムCEO・古森重隆氏は、そんな中で「第二の創業」を掲げて改革に挑む。
断固たる決断力と、負けない戦いにこだわる力強さ、非常に迫力のある経営者。
未来を先取りした多角化戦略と研究投資、そして多角化の中でも培われたコア技術が活かされ相乗効果を発揮しているのが素晴らしい。
たとえばヘルスケア事業。
写真に使われるコラーゲンと酸化を防ぐ技術を応用して機能性食品・化粧品を開発することで、元々持っている撮影技術を活かした「診断」に加えて「予防」の分野を切り開き、創薬メーカーを買収することで「治療」の分野までもカバーする。
2007年には史上最大の利益をたたき出すという、この危機の中でのこの成果は目を見張るものがある。
度肝を抜かれた感覚。
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本業を喪失するとはどういうことか、
一瞬その意味を理解できなかったがその言葉の持つ意味を理解し、自社に置き換えてみた時に目の前が真っ黒く閉ざされる感覚を覚えた。
凄まじい状況。
背水、即断、断行あるのみ。
その際はPDCAではなく、STPD
see think plan doを用いて難局を乗り切ると説く。
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デジカメの普及でメイン事業の消滅の危機にあった写真フィルム会社、富士フィルムを様々な事業に投資し成長事業にすることで発展させた古森社長の本。実際、これだけの事業転換を短期間で見事にやりあげた富士フィルム、そしてその経営を担った古森社長は尊敬に値する。
この本でも、その危機を自らのリーダーシップで乗り切った強烈な自負を感じる。後半では、経営者とはどうあるべきかについて語っているが、一般的なマニュアル本で出てくる「誠意」や「人材育成」「個性を活かす」などという甘いことばはなく、経営とは覚悟を持って判断し、そのための情報を冷徹に集める。失敗は許されない、何よりも戦いだから・・という熱い言葉が続く。
非常に面白い本ではあると思うが、前半部分は富士フィルムの事業転換の説明と自らの若い時の話に終始しており、どういう判断で当該事業に投資をしたのかや、どのような軋轢があったのか、など事業再編の具体的な話を聞きたかったと思う。
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先輩がお勧めしていた本。本業である写真フィルムの、業界全体の急激な縮小に対し、事業の転換と、体質改善に努めたその内情と心情の記録。