行動分析学入門 ――ヒトの行動の思いがけない理由
著者 杉山尚子 (著)
失敗行動や犯罪の原因は、“心”に求められることが多い。「あいつはやる気がない」「過去のトラウマだ」等々。しかし、これでは評価にこそなりえても、問題解決にはつながらない。行...
行動分析学入門 ――ヒトの行動の思いがけない理由
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商品説明
失敗行動や犯罪の原因は、“心”に求められることが多い。「あいつはやる気がない」「過去のトラウマだ」等々。しかし、これでは評価にこそなりえても、問題解決にはつながらない。行動分析学は、ヒト及び動物の行動を「行動随伴性」という独自の概念によって明らかにするもので、行動の原因を個体内部、つまり心ではなく、個体を取り巻く外的環境に求めていく。アメリカの心理学者スキナーが創始した学問体系である。介護や医療、ビジネス、スポーツ、家庭などさまざまな現場で応用されており、大きな成果をあげてきた。本書は、日本における第一人者による、わが国初の一般用入門書である。【目次】まえがき
著者紹介
杉山尚子 (著)
- 略歴
- 東京都生まれ。慶應義塾大学大学院心理学専攻博士課程修了。山脇学園短期大学助教授。日本行動分析学会常任理事、日本行動科学学会事務局長。共著に「看護学生のための心理学」ほか。
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分かりやすい入門書
2023/02/13 11:57
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:kkzz - この投稿者のレビュー一覧を見る
とても分かりやすく書かれたタイトル通りの良い入門書でした。いわゆる心理学では意志や欲求を通じて説明される事柄にたいして、行動のみに焦点をあてて見事に因果関係を説明できる点が面白かったです。とても分かりやすく行動分析学の入門内容が説明されているが、帯に書かれている「超実践的」を始めとした紹介はどうなんだろう……。応用事例は取り上げられているが、改善するための方法が書かれたハウツー本などではないのだから、ビジネス本のような謳い文句がつけられていることには首を傾げてしまいました。
横書きで教科書以上な入門書
2022/08/05 17:52
1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:.ばっは - この投稿者のレビュー一覧を見る
既読類書の参考文献一覧から行動分析学についてもう少し深堀してみようかと読んでみた。
入門書としては少し難しめだが既に2冊ほど読んだからそれほど苦にはならなかった。
一つ一つの言葉を噛み砕いて説明されているし、疑問を解決されるような順に書かれているので、読みやすかった。
第1章
P.11 行動分析学 behavior analysis は、1930年代に米国の心理学者B・F・スキナーによって創始された心理学の一体系。
P.14 人間や人間以外の動物の行動には、それをさせる原因があり、行動分析学はその原因を解明し、行動に関する法則を見出そうとする学問である。
★行動とは死人にはできない活動のことである。
P.44 行動随伴性:行動の原因を分析する枠組みで、行動とその直後の状況の変化との関係をさす
行動分析学の対象:
「レスポンデント行動」行動の原因は行動の「前」に発生、
「オペラント行動」行動の原因は行動の「後」にある
第2章
P.46 強化:行動の直後の状況の変化によって、行動の回数が増えること。
P.47 好子(こうし):行動の直後に出現した場合に、行動が強化される刺激や出来事。
P.56 弱化:行動の直後の状況の変化によって、行動の回数が減ること。
P.53 嫌子(けんし):行動の直後に消失さた場合に、行動が強化される刺激や出来事。
P.52 出現:変化の方向が『ない』→『ある』
P.52 消失:変化の方向が『ある』→『ない』
P.47 好子出現の強化:行動の直後に好子が出現すると、その行動は繰り返される。
P.53 嫌子消失の強化:行動の直後に嫌子が消失すると、その行動は繰り返される。
P.57 嫌子出現の弱化:行動の直後に嫌子が出現すると、その行動は将来しなくなる。
P.61 好子消失の弱化:行動の直後に好子が消失すると、その行動は将来しなくなる。
P.64 消去と復帰
行動しても何も起こらなければ、いずれ行動しなくなる:「消去」
弱化随伴性がなくなると行動は元に戻って増えてしまう:「復帰」
P.74 「般化」…刺激や条件が違っても同じ行動をする⇔「弁別」
第3章
P.80 なぜやらないのかという問題には、必ず知識や情報の不足が絡んでいるわけではない。
P.83 指示を出せば相手はその通りにすると考えるのは、ある意味では幻想である。
p.107 好子を使う場合は、毎回の行動に好子が出現しなくても行動は維持されやすい。
嫌子によって行動を制御するには、嫌子を頻繁に与え続けなければならない。嫌子出現の弱化はコストがかかる。好子消失の方がベター。
★有能なリーダーはフィードバックを細かく入れる。具体的な指示を出す。
【シェイピング】即時強化:目標達成後すぐ褒める。目標は徐々に引き上げる。挫折した時は直前の目標を再度練習する。
【チェイニング】行動手順を鎖のように繋げる。最初は教え、後に実践させる。徐々に実践を増やす。
第4章
スキナーの哲学:フランシスコ・ベーコン、エルンスト・マッハ、ジョン・B・ワトソンの影響。実験を通して行動の原因を分析。
消去抵抗:消去しているのにもかかわらず、行動をなおも続けること。(ex. エサは出てこないのにキーつつきをやめない)
バースト:消去直後に行動が一時的にエスカレートすること(ex. 自販機のジュースが出ない→もう一度押す、強く押す、叩く、蹴飛ばす)
部分強化:行動が100%強化される連続強化と、まったく強化されない消去の中間部分。
第5章
話者の言語行動を強化するのは他者(聞き手)だが両者は共通の言語共同体に属していなければならない。
超実践的な心理学?
2021/01/14 10:33
1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:積ん読太郎 - この投稿者のレビュー一覧を見る
うつになって認知行動療法を習得していました。
その中で、行動療法の流れは行動分析学の知見をもとに
編み出されたとのことなので、本書を購入。
行動分析学がどういう学問なのかは、
なんとなくつかめる。
しかし、行動の原因として、「やる気の有無」「意思の有無」などを
原因とは「しない」という考え方が、どうしても腑に落ちない。
(いつも私の行動は「やる気」に依存しているような気がするのだが。)
ちなみに、表紙に次のPR文がありますが、
これらの疑問に対する答えを得られるかというと、
「NO」だと思う。
本文中に下記に対する答えは書かれていない。
部下に慕われないのは「指導力不足」?
仕事が遅いのは「能力がない」から?
片付けられないのは「性格」の問題?
人付き合いが苦手なのは「コミュ力」不足?
超実践的な心理学で、「ビジネススキル」が改善!
さすがに、言い過ぎかと。。。
あくまでも、行動分析学の入門書です。
改善するには、日頃から「直前ー行動ー直後」を
分けて分析し、随伴性を見極めなければならない。
本書に記載されている例は、読者にもわかり易い例を上げているが、
実際に問題としている行動を、うまく分析できるかというと、
難易度が高い気がする。
やってみる価値はあると思うが、習得難度が高すぎます。