kkzzさんのレビュー一覧
投稿者：kkzz
母親になって後悔してる
2023/02/13 11:54
刷り込まれていた「良い母親」像
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無意識的に刷り込まれていた「良い母親」像は社会的圧力を生み出すほどの偏見の塊だという気づきを与えてくれる一冊。言われてみると「子供を持てば母性は自然に生まれてくる」「苦労は多いが報われる時が来る」といった子育てに関する常套句は、冷静に考えると異様だということに気づかされる。しかしそれを今までは当然のものとして感じてしまっていた無意識下への社会的刷り込みは恐ろしい。母親には社会的に崇拝する母親像を押し付け、結婚・出産しない女性には未熟のレッテルを張り付ける。複合的な社会問題に実際の声とともに触れられました。
いやな気分よ、さようなら 自分で学ぶ「抑うつ」克服法 コンパクト版
2022/07/15 11:07
生きるうえで役に立つ名著
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ストア哲学や森田療法などと考え方に重なる部分があったりするが、認知と感情についてであったり、認知の歪みの類型化であったり、論理的に自身の認知の非論理性を紐解こうとすることが療法としての特徴に思える。また読書療法としての効果が序章で示されているように、丁寧で読みやすい口語調の文体は理解と納得を助け、自己との対話によってセルフカウンセリングを可能にしてくれる。様々な対処法が紹介されているおかげで自分に合うものを選ぶことができ、また紙一枚で手軽に始められる点が良かった。もっと早く出会いたかったと思える名著です。
忘却のための試論 歌集
2022/02/25 10:50
死に接するからこそ見える世界がある
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ある女生徒の日記と哲学書を交互に引用したうえで短歌が詠われた「小倫理学」が、生の生々しさと死の恐ろしさをありありと感じられて印象的だった。引用を通して歌への理解の足掛かりを得られ、分かりやすかったこともある気がする。全体としては、短歌を理解できる学がないので正直分からないものも多かったが、読むそのときそのときで異なる理解を得ることになりそうな気がする。日を改めて読み直してみたくなる、仄暗い魅力が光る歌集でした。
日本ＳＦの臨界点 恋愛篇 死んだ恋人からの手紙
2022/02/25 10:46
魅力あふれる様々な作品たち
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怪奇編に続き、こちらも魅力あふれる素晴らしい作品の数々。特に好きだったのは藤田雅矢さんの「奇跡の石」。SF×感覚がもたらすイメージ喚起の力に思わず震えてしまった。
行動分析学入門 ヒトの行動の思いがけない理由
2023/02/13 11:57
分かりやすい入門書
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とても分かりやすく書かれたタイトル通りの良い入門書でした。いわゆる心理学では意志や欲求を通じて説明される事柄にたいして、行動のみに焦点をあてて見事に因果関係を説明できる点が面白かったです。とても分かりやすく行動分析学の入門内容が説明されているが、帯に書かれている「超実践的」を始めとした紹介はどうなんだろう……。応用事例は取り上げられているが、改善するための方法が書かれたハウツー本などではないのだから、ビジネス本のような謳い文句がつけられていることには首を傾げてしまいました。
くるいきちがい考
2022/07/15 11:06
絶版であることがただただ惜しい
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古本で入手。絶版であることが本当に残念に思えるほど、今でも通じる内容。というよりSNSなどで他人との比較が加速した今でこそ求められる一冊に思える。クルッテイルという判断、正常か異常かは相対的なものであり、絶対的な尺度で決められるものではなく、原因も一様に在るわけではない。不安を抱く人たちは単なる安心を求めてすぐに答えを欲しがるが、不安によって思考を停止させずに、自分のものさしを得るべく自らで考えるための素材を、対話形式を通じて多く提供してくれている。
二十億光年の孤独
2022/07/15 11:05
直筆ノートも収録されていて良い
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詩を書いていると言ってこれだけのものを見せられたら、そりゃ驚くだろうに……。活字でも味わい深い詩の数々だが、直筆ノートの方だとさらに良い。
密やかな結晶
2022/07/15 11:03
丁寧に冷徹に
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時おり“何か”が消滅する島で、消滅を徹底するために秘密警察が記憶狩りを行っている――そんな設定を聞けばいわゆるディストピアものかと想像していたが、読み進めていくうちにまったくの別物だと思うようになった。ジャンルとしてSFやファンタジーといえるのだろうが、丁寧な心理描写等を考えると幻想文学の方が合いそう。丁寧に冷徹に描写していく美しい文章のおかげで異常な世界を易々と受け入れてしまったが、さすがに身体の消滅が起こると、自分はあくまで「わたし」ではなく「R氏」の側だと気づかされた。怪しい輝きを秘めた名作でした。
2022/07/15 11:00
魅力あふれる世界観の数々
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どれもこれも魅力的な世界観を宿した名作ばかりで最高でした。ファーストコンタクトやテクノロジーが暮らしに与える影響を描いたSFから、バベルの塔やゴーレム、災害的に天使が顕現するファンタジーなど、魅力的な世界観だけでなくそこを入り口に人間性などの深いテーマを描いていて面白かったです。個人的な好みでいえば、お気に入りは『ゼロで割る』。他者と苦しみを本当の意味において分かりあうことはできないという私自身の考えにとてもよくマッチして、面白かったです。
日本ＳＦの臨界点 怪奇篇 ちまみれ家族
2022/02/25 10:48
魅力あふれる様々な作品たち
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すべての作品に異なる魅力のある、幅広く素晴らしい作品選び。個人的に特に気に入ったのは石黒達昌さんの「雪女」。
森田療法
2022/02/25 10:44
自らを見つめなおす客観的な視点を
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自らのうちで肥大化した苦悩に対処するために手に取りましたが、本当に素晴らしい名著でした。様々な症例を取り上げつつ、それらに共通して存在する原因を客観化していき、「生の欲望」「とわられ」「はからい」という概念に集約されており、自分自身の苦悩についても客観的に分析するのにとても役立ちます。定期的に読み直しながら、自らの「生の欲望」と向き合い、逃避的にならずに「目的本位」の行動をとれるように努めていこうと思います。
あなたの人生の物語
2022/02/25 10:42
想像力あふれる世界観の数々
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どれもこれも魅力的な世界観を宿した名作ばかりで最高でした。ファーストコンタクトやテクノロジーが暮らしに与える影響を描いたSFから、バベルの塔やゴーレム、災害的に天使が顕現するファンタジーなど、魅力的な世界観だけでなくそこを入り口に人間性などの深いテーマを描いていて面白かったです。個人的な好みでいえば、お気に入りは『ゼロで割る』。他者と苦しみを本当の意味において分かりあうことはできないという私自身の考えにとてもよくマッチして、面白かったです。
象られた力
2015/08/23 00:13
素晴らしい文章
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世界観も良いですが、それを支える文章力がまたすごい。五感に呼びかけてくる文章で、イメージ喚起力が凄まじいです。好みの問題はありますが、自分にとっては最高のものでした。
運動脳 ＢＲＡＩＮ
2023/02/13 11:58
読みやすく配慮された良書
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専門的な内容はあまり専門的になり過ぎないように配慮された、一般向けのとても読みやすい良書でした。七つほどのテーマについて運動により得られるメリットがデータを基に提示され、最終的には「運動をしよう！」に帰着するため、運動をしない言い訳を探す自分自身を理詰めで黙らすには最適の書物。
生の短さについて 他二篇
2023/02/13 11:55
現代にも通じるものがあった
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友人についての一節が好きでした。「忠実で心地よい友情ほど心に喜びを与えてくれるものは他にないであろう。どのような秘密でも安全に納めてくれる用意の出来た心の持ち主、自分だけが知っているよりも、その人にも知ってもらうほうが安心な友、その人と交わす会話が不安を和らげ、みずからの意見で助言し、快活さで憂鬱を吹き飛ばしてくれ、その姿を目にするだけでも喜びを覚える親友は、どれほど得がたい大きな宝であろう。」（『心の平静について』七-3）
