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投稿者:テラちゃん - この投稿者のレビュー一覧を見る
高校の図書部員だった6人のその後。連作短編の範疇だが、一風変わったそれである。道東を描き続けている作家だが、文体が美しいし、ノンフィクションともいえるリアリティがある。進化している書き手の勢いか。
紙の本
ひとりの女に何らかの関わりを持つ女たちの、それぞれの話。
2015/09/11 09:53
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投稿者:紗螺 - この投稿者のレビュー一覧を見る
連作ではない。ひとつひとつの話は別個に存在していて、絡み合うことはない。ただ、時折「順子」を思い出したり、話題にしたりすることで繋がっているといえば繋がっている。
順子本人の語りはない。それでも、順子がひたむきで愚直なほどにまっすぐな人物であることは、端々から読み取れる。二十くらいも上の男と駆け落ちして、金も戸籍もない、追われるような生活をし、ようやく得たラーメン屋としての暮らしを「しあわせ」と言い切る女。自らの余命がいくばくもないと知りながら、自分が死ぬことで息子の角膜に移植ができることに喜びを感じる女。まぎれもなく、この作品の中で強烈な印象をもって浮かび上がるのは順子だった。もちろん、それぞれの女たちの生き方や悩み、喜び、様々な心情にもスポットライトは当てられている。でも、本人に語らせないことによって順子という女がより鮮やかに印象を残しているのは事実だった。
ただ、作品の出来とは別に、私自身の好みとしてはあまり雰囲気が好きになれないというのはある。
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ぐずぐずしていたら賞とって人気出て、すっかり借りられなくなってしまった桜木作品。やっと読めた。
関連する女たちのそれぞれを書いた短編で、大島真寿美の『三月』と作りは似ているが色はちょっと違う。 (桜木さんはちょっと焦げ茶でドロドロ?)
男の人はついつい放浪しちゃうけど、女は心の(幸せの?)落とし場所を求めているのかなあ…? などと思ってしまった。
しかし、和菓子屋の奥さんはもっと怒ってもいいんじゃない?
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強く生きる女性たちの連作短編。それぞれ色んな事情を抱えてはいるもののそれを何とか乗り越えて生きていく。
「女性って強いな」というのが読後の正直な感想。
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正直言って、今までの桜木さんの小説は女の哀しさがあまりにも圧倒的過ぎて自分に引き寄せて読むことが難しかったのだけど、これは、なんとうか、自分や自分の周りにいるたくさんの女たちの人生そのものだった。
オンナの幸せは一つじゃない。しみじみそう思った。
高校卒業って一つの大きな分かれ道なんですよね。中学から高校は進学先が違うにしろほとんどが同じような生活(高校生活)を送るけれど、高校を卒業する時点で、それぞれは全く別の道を歩き始める。
最初は小さな違いであっても10年20年たつうちにその違いはとても大きなものとなる。
友だちのその後の人生が気になる。懐かしさであったり、嫉妬であったり、心配であったり…
幸せであってほしいと思う反面、自分より不幸であればいい、と言う気持ちもある。自分が不幸であればなおのこと。
年上の妻子持ちと出奔した順子と、彼女とかかわった6人の、20年は決して、幸せに満ち満ちたものではなかったけれど。それでも彼女たちが自分の手で、自分の足で、自分の人生をつかみそして歩き始めるその瞬間は清々しく、神々しく。
オンナは心を捨てて微笑むことができるんだ。それがオンナの強さであり、美しさである。
蛇行する月…オンナは決まりきった道をまっすぐに進む生き物なんかじゃない。
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なかなか最後まで読み切れる本に出会えなかった中、久々に読み切ることができた一冊。
"幸せのかたち"は本当にひとそれぞれなんだなあ。と考えさせられました。
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図書部の同級生。図書部っていう設定 がなんだかいい。文化系。
北海道の寒さと、少し暗めの話。
かのじょたち、そして周りの女性たち。
それぞれ、パッとしないというか、スッキリととしない生活だけど、幸せとは、何か。人それぞれでちがうんだと、教えてくれた。
最後の、直子、の章で、沖縄と言う暖かい場所が出てくる事。
そして、順子が、もしかしたら一番強い女だったのかな。と、少しだけ暖かい気持ちになれた、かも。
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直木賞受賞作の「ホテルローヤル」より,この小説の方がこの著者らしくて好きです。
何気ない言葉なのに,はっとさせる人生の真髄を切り取った文章…。
一番印象に残っているのは和菓子屋の女将の話で,ぐっときました。
全体的を通して,明るく元気をもらえる話とは言い難いので,何度も読み返したいとは思いませんが,
読み終えた後は深い満足を覚えました。
女性は悲しいけれど,強い。
様々な女性の人生を追体験したいときはおすすめです。
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人生の岐路に立つ六人の女の運命を変えたのは、ひとりの女の“幸せ”だった。―道立湿原高校を卒業したその年の冬、図書部の仲間だった順子から電話がかかってきた。二十も年上の職人と駆け落ちすると聞き、清美は言葉を失う。故郷を捨て、東京でラーメン屋を営みながら一人息子を抱え極貧の生活を“幸せ”と言う順子に、悩みや孤独を抱え、北の大地でもがきながら生きる元部員たちは、引き寄せられていく―
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直木賞受賞後もぶれずに重たく静謐な文学を書き続けていることをはっきりと証明して読ませてくれた連作短編の真骨頂作品。
大満足の一作。
この次は長編を読みたいと思います。
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すごい。
あきら(輝)くんの目になるのか。
そうつながるのか。
そうつながるのか。って箇所が多数。
一つの章の中でのつながり(現代文の虫食い問題で順子のひたむきさを描き、後でさらに、「結婚は虫食い問題」、と、大きな効果を生んでいる。まだくるか、みたいな。)
あと船の桃子が、順子への手紙を書き換えるところ、桃子の気持ちを想像させられる。なんとなくわかるような気がするけれど、推測の域を出られない。これぞ読書!笑。みたいな。
和菓子の女将弥生の章で、元だんなが離婚届を握り締めるところ。
各章を通して、順子の人間像が、描かれている。順子の章はないのだけど。
そして、あきらくんの目になるんだね。
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可もなく不可もなく、かな。
■ ■ ■ ■ ■
たぶん私よか、ほんのちょい上世代の登場人物たち。
その頃の自分が、時間が足りないほど遊び倒してたせいか
ぬるま湯的な高校時代を過ごしたであろう登場人物たちに
どうも感情移入が難しくってねぇ。
■ ■ ■ ■ ■
自分のメンテナンスは、お金をかけずともできるんだよ。
それを放置するような女のひとは
どんだけの豊かな人間性を含有してたとしても
やっぱ、好きにはなれんしな。
■ ■ ■ ■ ■
この作者さんのは初めて読むんだけど
きっともっとどろっどろしたお話を書くんだと思う。
ほかの作品も手に入り次第読もうと思ってて
そっちに期待。
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1984清美
割烹ホテルかぐら 女営業 宴会で客からセクハラ
大晦日に退職
札幌の彼氏と文通 おざなり関係
高校の友人順子が不倫 妊娠して東京へ逃げる
北海中央電に合格
1990 桃子
カーフェリー乗務員
不倫相手と甲板でSex 声を出さず
順子に会いに東京へ
寂れた不味いラーメン屋さん
幸せそうだった
1993 弥生
順子に亭主を取られた妻が離婚届と失踪届を持って東京へ
ラーメン屋の前で二人の子供
喫茶店に元亭主を呼ぶ
一度だけ振り向くと3人が立っていた
和菓子屋はデパ地下で新たなスタート
2000美菜恵
順子が告白したが土下座して断った谷川が結婚した女
大学進学して教師になり職場結婚
披露宴に大勢よぶ
順子は谷川に気に入られようと国語は100点 問題を作る立場
順子が谷川が呟いた言葉すら記憶していた
女子高生の欲望への拒絶
2005静江
男出入りの激しかった順子の母
スーパーの仕事は辛い 首切り寸前
東京に会いに行く
順子は保険外交員
旦那の保険受け取りは元奥さん
孫は国立大学建築科の学生
ラーメンは不味い
東京タワーへ観光
自分は60 別れた男は50
30の女のもとへ去った
復縁の食事の誘いを断る
2009直子
看護師 趣味はダイビング
10才以上若い後輩と沖縄へ
離島ドクターから看護師の誘い
順子とは連絡をとっていた
年末に会った順子は末期癌
死んだら母を東京によぶ
自分の角膜を息子に移植
東京から沖縄へ後輩に合流
後輩から一緒に離島で働かないかと誘われている
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女の人生ってほんと多種多様なんだなと実感。
何が本当の幸せなのか?何度も読みながら自分にも
問うてみるが、私には順子のようには達観して生きられないかも。
人それぞれなんだろうけども。
看護師の直子の葛藤も考えさせられる。
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色々な女性の生き方と繋がり。『桃子』の章が好きだな。最後に、友人への御礼や謝罪を書いた手紙を破り捨てて、マジックで『ありがとう』を書いた紙を荷物と共に送る潔さに、明るい未来と力強さを感じた☆